村田小泉の熊野神社と氷雨除けの詳細

村田小泉の熊野神社と氷雨除け
秩父・仙台まほろばの道
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記事タイトル 村田小泉の熊野神社と氷雨除け
概要

村田町に立派な熊野神社がありました。 あまり由来などがわからないのですが、 昔、村田の姥ヶ袋から熊野権現が白鳥に姿を変え飛び立って 小泉に向った伝承があります。 その場所に熊野神社が建立されているのです。 姥ヶ袋は、鬼の手形がある石が残されていたり、 三途を想像させ…… more るような川があったり、不動明王があったり不思議な空気が漂う所です。 今回はちょっと違う妄想を。 社殿の門に絵が飾られていて、興味深い伝承の絵なのですが、 これは、ヤマトタケルにちなんで生まれた絵でしょうか? 「景行天皇が~」という話が多い処ですし、白鳥信仰がたくさんある蔵王の麓と 考えると、「鳥が飛び立つ」意味があります。 鳥取部という人がいて、秋田物部氏の文書にも登場する人ですが、 白鳥を捕まえて献上していた役職といわれます。 岩手県にも白鳥氏がいましたが、鳥取部と物部氏に関係する場所だったかもしれません。 そういう場所には、「オナカマサマ」や「オカミサン」のようなイタコさんがいた存在を 感じてしまいます。 ちょっと汚れが目立って残念ではありますが、 この図は、神武東征のトビが飛んできた神話の絵ですね。 熊野神社とはあまり関係なくて申し訳ないですが、妄想したいことがある。 「金色のトビが飛んできてナガスネヒコの目がくらんで降参した」という 話のトビは、鳥見のトミと思う。 ナガスネヒコの妹=巫女。 神武天皇が持っているのが、弓弭(ゆはず)である。 神話によると、「登美夜毘売(トミヤヒメ)、あるいは三炊屋媛(ミカシキヤヒメ)ともいう 自らの妹を、天の磐舟で、斑鳩の峰白庭山に降臨した二ギハヤヒの妻とし、 仕えるようになる。中世の武将の伊達家がナガスネヒコの子孫であると言われている。 神武天皇が浪速国青雲の白肩津に到着したのち、孔舎衛坂(くさえのさか)で 迎え撃ち、このときの戦いで天皇の兄、五瀬命は矢に当たって負傷し、 後に死亡している。その後、ヤソタケルや兄イソキを討った皇軍と再び 戦うことになる。このとき、金色の鳶が飛んできて、神武天皇の弓弭に止まり、 ナガスネヒコの軍は目がくらみ、戦うことができなくなった。 日本書紀・神武紀にはこの時の様子を次のように記している。 「皇師(みいくさ)遂に長髄彦を撃(う)つ。 連(しきり)に戦ひて取勝(か)つこと能(あた)はず。 時に忽然(たちまち)にして天(ひ)陰(し)けて雨氷(ひさめ)ふる。 乃ち金色(こがね)の霊(あや)しき鵄(とび)有りて、 飛び来りて皇弓(みゆみ)の弭(はず)に止れり。 其の鵄(とび)光(ひか)り曄煜(てりかかや)きて、 状(かたち)流電(いなびかり)の如し。是に由りて、 長髄彦が軍卒(いくさのひとども)、 皆迷ひ眩(まぎ)えて、復(また)力(きは)め戦はず。 長髄(ながすね)は是(これ)邑(むら)の本(もと)の號(な)なり。 因りて亦(また)以て人の名とす。皇軍(みいくさ)の、 鵄の瑞(みつ)を得るに乃りて、時人(ときのひと)仍(よ)りて鵄邑(とびのむら)と 號(なづ)く。今鳥見(とみ)と云ふは、是(これ)訛(よこなば)れるなり。 」 「雨氷(ひさめ)ふる。」でわかったのですが、実家の横瀬町資料館に、 「氷雨(ひさめ)除けの神礼」がありました。 今まで氷雨の意味がわからなかったのですが、 武甲山熊野大神と武甲御嶽大神にしか見つかっていない。 カカセオのことを、コオラサメとよんでいた説がある。 秩父の古代史の中で、大星大神と香香背男を妙見宮に置かれていたのを、 天武天皇の時代に、オオナムチと合わせて宮地に(大星神とカカセオを) 移した話があります。 妙見信仰は星神なのですが、疫病祓いが、星神に由来するという説を考えれば、 氷雨除けの護符とは、香香背男(かかせお)に対しているものと考えられる。 遠野不思議空間、岩手のGOさんより 「武甲山の御嶽神社にはヤマトタケルが祀られている。 「古事記」では白猪が山神の使役となっているが、 「日本書紀」では白蛇が登場し、氷雨を降らせている。 牛頭天王の様に厄災はその厄神を祀ってこそ護られるという 前提に立てば、武甲山の神も熊野大神も氷雨を降らせる存在と捉えて良いだろう。」 「香香背男が龍蛇神であると考えれば「日本書紀」での氷雨を降らせたのが山神であり、 その使役の白蛇ならば、「コオラサメ」とは本来「氷雨」を読み間違って「コオリサメ」 と読んだものが「コオラサメ」と読まれ伝わったのでは無いかと考える。 熊野三社権現と伝わる熊野だが、熊野権現であり熊野大神とは那智の神を意味し、 それは那智の滝神でもある事から、氷雨を降らせる神と考えても不思議では無いだろう。 そして香香背男が龍蛇神であるならば、当然氷雨を降らせる事も出来るだろう。」 武甲山は蔵王権現から熊野権現であったと言われる。 元は熊野修験が根付いていた横瀬町なのですが、 大蛇窪という大蛇がたくさんいた鍾乳洞があった。 秩父夜祭にはその大蛇窪から龍が降りるとも言われ、 荒れ狂う荒川は、その龍が降りてくるからとも考えられるのです。 それを鎮めるために、氷雨除けという護符があるのは、カカセオは龍だから。 また、このような信仰は、瀬織津姫信仰をもたらした熊野修験があった為、 武甲山に氷雨除けとして伝わったものと考えられます。 ヒサメのサメが鮫であれば、飯坂温泉でも妄想してましたが、 サバ=サメの海の信仰があった。 ちなみに、トビが飛んできたという話は、猛禽が王朝の起源と関連している神話は、 中央アジアのウラル・アルタイ系の諸種族に少なくないといわれているそうです。 -------------------------------------------------------------- さて、トビが止った弓はどこから由来するのか? シャーマニズムな話になりますが、巫女が祈祷していた時にもっている弓弭 に似ていると思うのですが。 イタコなどの祈祷について。 大乗寺(岩手県)に以前から、お盆の起源となった「目連救母伝説」があり、 宮城県北部~岩手南部に多い「オカミサン」が、巫女であることを実証するための 職能として「口寄せ」由来を説く伝承。 「目連救母伝説」とは、簡単に言うと、このお寺の縁起として巫女たちの間で 語り継いだもので、亡くなった人があの世で下の階層にいる(地獄とか餓鬼とか) のを、釈迦と共に目連が救う(浄土へ早く行かせる)話になっている。 その方法は、招霊という秘宝で、これを「口寄せ」という。 口寄せの道具として使われていたのが、梓の弓や弓弭。 山形県では「オナカマサマ」とよび、口寄せの時に、弓弭を用いた。 死者が男である場合は、末弭(うらはず)に、女である場合は、本弭(もとはず)に。 死者が口寄せの依頼者により年齢が少ない場合は、弓糸に年齢が多い場合は、 弓本体に麻を結びつけたという。 麻をつけると早く浄土へ近づくことができるという。 秋田県では、「イチコ」とよび、口寄せの時に、お米3升の上に麻を置き、 麻は魔よけとなる。他にも桃、柳、麻、真綿など、東北地方に生息する 植物を用いていた道具であったこと。 ということで、東北地方にはイタコさんがたくさんいたのですが、 神武天皇は熊野が由来であり正当な継承をもつことを伝承していくために、 東北のイタコさんたちの間で、金色のトビが降りて先住民が降参した 神話を民間に取り入れたのでしょう。 神々の系譜を記すことを口寄せのようにしていたのは、 天皇家に仕えていた娘など皇室の女性たちであったが、 だんだんと民衆に伝わりイタコさんたちの間で伝承されてきたのだろう。 そのため、ここの熊野神社は神武東征の神話を東北地方に語り継いできた 歴史があったように感じたのです。 東北の熊野信仰は、民間信仰に根づいています。 仏に近くなるために、目連救済の話のように「あの世」での行儀を大事にしている感じは受けます。 東北地方の熊野信仰は、名取老女伝承があるように、「老女」ですから、 イタコなどによる招霊を重視していたのではないか、と思う。 古くは伊勢から来た斎宮に仕えた巫女であった神降ろしが、 霊(亡くなった人の)を降ろす口寄せが広まったと思います。 今の生きる世界より、黄泉のあの世を重視していた風習です。 次の生まれ変わりのために生きているのは、ヒマラヤやチベットと同じです。 渡来人は、あの世を大事にする祈祷が理解できなかったと思います。 羽黒修験は、女性の巫女(オナカマサマ)がたくさんいたと言われます。 後に太平洋側の熊野修験に伝わったものだと思うのですが、 イタコ寺といわれる大和宗が岩手県と宮城県境の一関に位置しているのは、 このあたりもエミシ征伐が最も大きかった所と言えますし、 鎮魂するには、招霊をしていたオナカマサマの存在が重要だったことがみえます。 一関にある熊野神社由来によると、 「人皇73代堀河天皇の長治年間(AD1104-1106)、奥羽両国の夷賊が猖獗を極め、 加うるに悪疫流行して領内の衆民大いに苦患に悩み、 鎮守府将軍藤原清衡これを憂い、紀州那智山熊野大権現に祈願せしに著しき霊験ありて 忽ち賊徒を定め領内静謐に帰せるを以て、 深く御祖徳の広大なるを感謝し報賽として領内に祠堂を建立し 熊野大権現を勧請せんとせしが事成らずして没する」 水の災い(大洪水)があったために、熊野神社が置かれたようです。 鎮魂したのは磐井川が流れていたからですが、 昔は人柱という風習をしており、多くは貧しく美しい少女が選ばれたそうです。 美人は、神に通じているような霊力と考えていたのかどうか・・・。 近くに滝神(瀬織津姫)を祀る神社もあるので、 水の災いを鎮める強い女神が瀬織津姫になったと思います。 巫女は、流産した胎児も含め水(水葬)に流しあの世に行ってから、 再び母の胎内にかえす循環祈祷?とも言えるような口寄せを行っていたと考えられます。 それを広めたのも、イタコたちだったわけです。 実際、遠野に行った話で、山奥に祀られていた不動明王があった時、 ヤタガラスの絵が飾られたお社がありました。熊野とは書いていないのですが、 女性たちの願掛けがたくさん手紙に書かれて置かれていました。 遠野こそ、瀬織津姫信仰が残されていると感じたものです。 多くは、流産、幼いうちになくなった子、不妊などで、とても厳しい現実です。 それに向き合い救ってくれる水神が、早池峰の女神(山神)にあると思う。 ※白鳥神社 婦人病は今も昔も悩みのひとつ。 また、出産のリスクが非常に高かった時代、 遠野の「おないさん(俗名)」もオシラサマ信仰が元であるとされ、 多くの女性たちの間で、「水の祓」をすることで、ちゃんとあの世へ帰し、 また新しい命を宿させる祈祷をしていたことは、自然なことだった。 東北地方に多くのイタコ伝承が残されているのは、母系社会が浸透していたからです。 トミ族は母系社会だったので、二ギハヤヒが神武側についてから男性の社会になり、 政略結婚があり(妹との婚姻)、また、祓戸神が脅威となった背景がある。 トビが飛んできて目がくらんだというのは、ナガスネヒコは、妹によって 諭されたと思うのです。時代が変わったと。 トミナガスネヒコは北東北へ逃れ、阿部氏や安東氏と共にその土地の豪族と 暮らしていたのですが、後に物部氏が秋田へ逃れてトミ族が迎え(ニギハヤヒ降臨の鳥海山) 今まで神や天皇に対して行っていた祈祷を、民間の信仰に変え、 東北のイタコたち(招霊の口寄せ)になったと考えるのです。 もしかしたら、イタコたちが使っていた祈祷の品の多くが非公開らしいので、十種神宝がルーツかもしれません。 女性の願いを排除した男社会から、女社会への転換はもう始まっているので、 これからどんどん自然の力を見ることになります。 私はその方が有難いです。 その破壊力を知らなければ、人は変われないからです。 私は武甲山の破壊をみて育ち、またその破壊を伝えることはタブーな秩父ですから、 人工破壊をみるよりは、自然の破壊から賛同したい。 そんな破壊をみるとは、まさにスサノオ到来なんですね。 気をつけようがないです。 神のみぞ知る。 ※山神社 ずいぶんと遠回りした話になっていますが、境内に「山神社」がありました。 安産の神様になっているので、村田小泉の熊野神社は女性的な熊野神だと思います。 女性たちのご加護がありますよ~に。 close

村田小泉の熊野神社と氷雨除け
サイト名 秩父・仙台まほろばの道
タグ 東北地方の伝説(宮城県) 神社
投稿日時 2018-02-27 17:00:02

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