上御霊神社 怨霊と応仁の乱とイチハツの詳細

上御霊神社 怨霊と応仁の乱とイチハツ
京都を歩くアルバム
ページの情報
記事タイトル 上御霊神社 怨霊と応仁の乱とイチハツ
概要

←目次  2006年1月27日から毎日更新しています。 ※写真は全てクリックで拡大します。 昨日の乙訓寺の記事で登場した早良親王も祀られている上御霊神社に行ってきました。上は南門で伏見城の四脚門を移築したものと伝えられています。 「上御霊神社」は正式には「御霊神社」といい、…… more 延暦13年(794)平安遷都にあたり、桓武天皇が都の守り神として弟・崇道天皇(早良親王)をこの地に祀ったのが始まりとされます。 昨日の記事のように、早良親王は、延暦4年(785)造長岡宮使の藤原種継暗殺事件に連座して廃され、無実を訴えるため自ら食を断って自死しました。(楼門は江戸時代中期の寛政年間(1789-1801)に再建されたものです。) 早良親王は桓武天皇の弟ですが、桓武天皇が即位する過程でも二人が不慮の死をとげています。前の天皇・光仁天皇と井上内親王(いのえないしんのう)との間に生まれた他戸親王(おさべしんのう)が皇太子に立てられました。(授与所) ところが、宝亀3年(772年)に井上内親王が、光仁天皇を呪詛したという罪で皇后を廃され、その子である他戸親王の皇太子の地位も剥奪されます。そして、井上内親王と他戸親王は、幽閉先で非業の死を遂げました。 桓武天皇と早良親王は光仁天皇の子ですが、二人の母親は下級貴族出身の高野新笠(たかののにいがさ)でした。しかし、上の事件によって桓武天皇は新たに皇太子となり、天応元年(781年)に即位しました。 当時、早良親王は出家して親王禅師と呼ばれていましたが、兄の即位と同時に還俗して立太子されました。 桓武天皇には第1皇子・安殿親王(後の平城天皇)が生まれていましたが、45歳という当時では老年だったので、万一の場合に早良親王を中継ぎに即位させようとしたのです。桓武天皇の意思かは不明ですが、早良親王には妃や子孫がいた記録がありません。 しかし、何らかの事情で早良親王が邪魔になったとも考えられています。その後、桓武天皇の皇后や藤原乙牟漏が相次いで亡くなり、長岡京で疫病や洪水が起こり、皇太子の安殿親王(平城天皇)も病となり絶えず怨霊に悩まされたといいます。(向うは拝殿) いつしか、これらは不慮の死を遂げた早良親王たちの崇りであろうといわれるようになりました。そこで親王らの霊を慰めるために、延暦19年(800)に早良親王を崇道天皇と追号し、井上内親王を再び皇后と追称し、墓としてともに山陵を構えました。(本殿) また、その怨霊をなだめ祀るために廟をたて、御霊社と称しました。正確な創祀年月は不明ですが、神社では平安遷都の延暦13年(794)としています。 さらに大同元年(806)桓武天皇の皇子・伊豫親王は、異母兄平城天皇が即位して皇太子となりましたが、翌年藤原宗成が謀反を謀ったことから疑われ、母の藤原吉子とともに捕えられました。そして、川原寺に幽閉されましたが毒を飲んで母子ともに自害しました。 朝廷は承和6年(839)に、伊豫親王に一品(いっぽん、皇位の最高位)、藤原吉子には従二位を追贈し、御霊社の南に霊廟・下御霊社を建てました。その後、崇道天皇、井上大皇后、他戸親王、藤原吉子に加えて、橘逸勢と文屋宮田麻呂も合祀されました。(絵馬舎) 橘逸勢(はやなり)は842年の承和の変に連座して捕らえられ伊豆へ流される途中で没しました。文屋宮田麻呂(ふんやのみやたまろ)も反乱の嫌疑により伊豆に流され、以後の消息は不明です。本殿の左手には末社が並んでいます。 貞観5年(863)朝廷は神泉苑において、非業の死を遂げた人々の怨霊をなだめ祀るために初めての御霊会を催しました。境内のあちこちにイチハツ(一初)の花が咲いています。 その後、吉備真備と火雷神(からいしん)を加えて祭神は八座となりました。ただし、吉備は文武天皇の皇女吉備内親王、火雷神は菅原道真であるとの説があります。上御霊神社では、祭神については古来諸説あって確定していないとしています。 5月18日の祭日は御霊祭(還幸祭・渡御之儀)が行われ、鉾、3基の神輿、御所車(牛車)に加えて、平安貴族の装束をまとった数百人が都大路を練り歩きます。京都で最も古い形の祭だといわれ、2009年には140年ぶりに御苑巡行が復活しました。(祭器庫) 上御霊神社は上京区、北区にわたり13,000戸の氏神となっていて、祭には大勢の方が集まり、京都とは思えないほど威勢がよい神輿が繰り出します。拝殿には既に3基の神輿が備えられ、小さな子供神輿もありました。 南門の横にある「御車舎」 江戸時代初期、後陽成天皇が上皇当時に寄進した牛車を収める蔵で、2015年8月に市の「景観重要建造物」の補助によって改修が行われました。 楼門前の「応仁の乱勃発地」の石碑。応仁の乱は室町時代の応仁元年(1467)に幕府管領家の畠山、斯波氏の家督争に始まり、細川勝元と山名宗全の勢力争い、将軍足利義政の継嗣争いも加わり、全国に戦いが拡大しました。 正月17日の深夜、畠山政長は自邸を焼いて一族や奈良の成身院光宣らと約二千の兵を率いてここに布陣しました。翌日早朝、政長と家督を争っている義就が兵三千余で攻撃、終日激しい戦闘が続きました。義就方には朝倉孝景、ついで山名宗全が加勢しました。 政長方は頼みの細川勝元が動かず、まる1日の合戦ののち敗退しました。これが応仁の乱の前哨戦「御霊合戦」です。3月に年号が応仁となり、細川、山名両陣営ともに味方を集めて体制を固め、両軍の全面的な戦乱は11年間続き、京都の町を焼きつくしました。 上の石碑の表字は、東陣総大将・細川勝元の後裔、細川護煕(もりひろ)元首相の揮毫だそうです。神社の外に出ます。 楼門前にある「水田玉雲堂」、最も古い菓子とされる「唐板」は、小麦粉、上白糖、卵、塩などを材料に短冊形にして焼き上げ、茶人にも好まれるそうです。 このあたりはかって中川が流れていた湿地で、カキツバタが群生していたそうです。やがて湿地は干上がり、昔を懐かしんだ住民らがよく似たイチハツ(一初)を植えました。 イチハツは乾燥に強く、今では境内一円に生えていて、カキツバタより少し早く見頃になっていました。 今日もお越しいただきありがとうございます。お帰りの前に、ブログランキングの応援のクリック↓をよろしくお願いします。   ★こちらを是非よろしく→   ブログ村→ ------------------------------------------------------------------- close

上御霊神社 怨霊と応仁の乱とイチハツ
サイト名 京都を歩くアルバム
タグ 神社
投稿日時 2018-04-25 15:20:01

「上御霊神社 怨霊と応仁の乱とイチハツ」関連ページ一覧

新着記事一覧

”❁〚石山寺;秋月祭』龍神池の御神木に【明王様】出現!”


❁【摩訶不思議の世界シリーズ】〚未曾有(みぞう)写真〛 《峠の祥龍》
    ***先年掲載記事が届きましたので~御紹介させて戴きました。***【摩訶不思議の世界】その他最新版は〖松下輝志ツイッターフェイス...
❁【摩訶不思議の世界シリーズ】〚未曾有(みぞう)写真〛 《峠の祥龍》
お寺
2022-09-26 04:22:34

桜につられてお参り「日照山 真證寺」


歴史めぐり 御朱印好きのあちこち紀行
春のこと満開の桜があまりにも素晴らしかったので車を停めて見に行きましたお寺の境内の桜ですこちらからだと逆光なので反対側に回るとさらに美しい桜...
歴史めぐり 御朱印好きのあちこち紀行
お寺 山口県の寺院 御朱印
2022-09-26 01:01:03

府八幡宮


神社 御朱印 日本巡り旅
府八幡宮ふはちまんぐう静岡県磐田市中泉112-10538-32-4762  鳥居の前でペコリ    手水舎    楼...
神社 御朱印 日本巡り旅
神社
2022-09-26 01:00:10

東光院 風鈴祭り (京都府綾部市上延町堂の奥) <東光院 其の肆>


和辻鉄丈の個人巡礼 古刹と絶景の健康ウォーキング(御朱印&風景印)
風鐸から風鈴へ(2022.6.17)<コース>【往路】JR大阪(5:55) → JR京都(6:27→6:37) → JR園部(7:20→7:26) → JR綾部(8:25)あやべ駅前観光案内所 →...
和辻鉄丈の個人巡礼 古刹と絶景の健康ウォーキング(御朱印&風景印)
お寺
2022-09-26 00:41:52

【2022年9月】京都・奈良・三重県神社参拝&観光まとめ


SERUNAさんちのあじふらい
2022年9月。二日間で京都・奈良・三重に行ってきた記録。URLクリックで記事に飛べます。★一日目(2022.9.6)旅のメインはゴールデンカムイ展。大好き...
SERUNAさんちのあじふらい
【まとめ】旅の記録 神社
2022-09-25 15:00:08

【大阪】住吉大社「初辰まいり」で新たにいただけるようになったステキな【刺繍御朱印】~まとめ版~


~ Destiny 癒しの御朱印巡り ~
【大阪】      住吉大社   初辰まいり とは    毎月最初の辰の日に 種貸社・楠珺社・浅澤社・大歳社の   ...
~ Destiny 癒しの御朱印巡り ~
御朱印 神社
2022-09-25 14:40:07

重陽の節句は陸奥国分寺の菊理媛命さま~【木ノ下白山神社(宮城県仙台市)】


ハロちん♪と参拝歩記
木ノ下白山神社(きのしたはくさんじんじゃ)2022.9.9(金)宮城県仙台市若林区木ノ下に鎮座する白山神社へ行ってきました薬師堂にある鐘楼へ近づいてみ...
ハロちん♪と参拝歩記
お寺 神社
2022-09-25 14:21:24

狛犬たちのモノローグ  File.1249  胡録神社  其の弐


白獅子・黒狛犬
若者と中年をつなぐライン「 えっ えー !! 今の若い人にとっては LINEって中年との連絡ツールになってしまったんだってー」「 ほんとうに ⁈ ...
白獅子・黒狛犬
狛犬たちのモノローグ 神社
2022-09-25 04:40:14

東光院 本堂 (京都府綾部市上延町堂の奥) <東光院 其の参>


和辻鉄丈の個人巡礼 古刹と絶景の健康ウォーキング(御朱印&風景印)
丹波の厄除薬師(2022.6.17)<コース>【往路】JR大阪(5:55) → JR京都(6:27→6:37) → JR園部(7:20→7:26) → JR綾部(8:25)あやべ駅前観光案内所 →...
和辻鉄丈の個人巡礼 古刹と絶景の健康ウォーキング(御朱印&風景印)
お寺
2022-09-25 00:41:01
;