兵庫県宍粟市一宮町下野田、のどかな山あいの田園地帯に、西林寺(さいりんじ)があります。私自身は、パワースポットという言葉をあまり使いませんが、『宍粟市密教寺院PowerSpot!』のホームページによると、宍粟市の観光協会と連携して、宍粟密教寺院パワースポット巡りを有志でたちあげら…… more れたそうです。僭越ながらその流れに乗っかって、西林寺の紹介をさせていただきます。　　☆いつもネタ切れ寸前なので、なにかいい場所はないかと、しょっちゅうネットを検索しています。すると偶然、お寺の建物の背後に、印象的な巨石が写っている写真を見つけました。それが、西林寺の奥の院です。そして先週末、中国自動車道の山崎インターから北へ十数キロにある、宍粟市一宮町の西林寺まで行ってきました。駐車場から石段を上り、お寺の建物の背後を覗いたのですが、山林が広がるだけで何もありません。どう見ても、ごく普通の裏山なのです。お寺の周囲を歩き回りますが、屋根の上にかぶさるような岩などありません。あきらめて帰ろうと思ったのですが、「誰か人がいたら聞いてくる」といって、妻が奥へ入って行きました。お寺にも周囲の民家にもひと気がないので、これは無理だろうと次に行く場所を地図で確認していたら、妻が息せき切って戻ってきました。ちょうどお寺に行く女の人がいて、一緒にご住職の奥様に聞いていただき、所在地がわかったのだとか。そして親切にも、「案内してあげるから、私の車についてきて」と言われたそうです。結局その方の車の後ろにくっついて走り、数分走って奥の院の登り口へ。本当にありがたいと思いました。ていねいにお礼を言って、改めて山を見ると、吊り橋の向こうに石段が見えました。橋を渡ってから、今来た道を振り返ると、こんな景色。すこし薄暗く、長い石段を上ります。そして見えてきた、奥の院虚空蔵堂がこれです。驚きました、まるでＵＦＯが山腹に浮かんでいるような巨石です。磐座や影向石の類はいろいろ見てきましたが、こんなパターンは初めてです。右横からは、岩の下へ通じている様子。薄暗い岩屋の中に入ります。典型的な岩屋信仰の聖地ですね。それにしても、こんな構成の巨石が一体どのようにしてできたのか、不思議としか言いようがありません。周囲は、岩と森林が幽邃な雰囲気を醸し出しています。パワースポットという安直な言葉ではとても表せない、まさに神秘の絶景でした。　　☆さて、この不思議な絶景に満足して帰ろうとすると、「おぜんざい用意しとくから、帰りによって下さいね」と妻は言われていたとか。ご住職の奥さまらしき方にお寺の玄関で言われたので、どうしようかと妻が言います。話は変わりますが、みなさんはこんな話聞いたことはありませんか？京都では「ぶぶ漬けは、いかがどすか？」と聞かれたら、「そろそろ帰ってくださいな」という意味。だから、「じゃあいただきます」などと言おうものなら、もののわからない厚かましいヤツと思われる・・・・・どうも上方落語から出た話のようで、京都で生まれ育った私には、まったく思い当たることはありません。反対に、「中京区あたりの町衆には、こんなことがほんとにあるのかな？気を付けないとヤバいかも」などと思ったくらいです。その感覚で言うと、「ぜんざい食べてって」に素直に応じると厚かましいかも・・・などと変に気をつかってしまい、「次の予定があるので、これで失礼します」と丁寧に遠慮することにしました。それでも親切にしていただいたお礼は言うべきなので、お寺の駐車場に戻って、妻だけがひとことお礼を言いに玄関へ。ところがその妻から電話がかかってきて、「もう用意しているからどうぞと言われてるけど・・・」結局私もお寺に入り、おぜんざいをいただくことになりました。お花の稽古が終わったばかりのようで、ご住職はお留守でしたが、ご家族とお花のお弟子さんなどが和気あいあいと部屋の中におられました。小さなお孫さんに至るまで、おもてなしの心を持った素敵な方々です。私たちが受けた歓待内容やそれぞれの優しいお人柄などを詳しく書きたいのですが、ストーカーリスクの高い昨今では、個人情報の側面もあるため控えさせていただきます。お聞きした話では、このあたりはその昔、サーカスも来る賑やかな地域だったそうです。また戦地へ赴く兵隊さんが、無事を祈って奥の院の岩窟を潜って行かれたとか。　☆この日、宍粟市の北部はうっすらと雪化粧。とても寒い日でしたが、あたたかいおぜんざいで心も体も温まりました。パワースポットとは、訪問者がリフレッシュして、生きる元気や明日へのパワーをもらえる場所のことだと思います。だとしたら、ＵＦＯのような、私たちが今まで見たこともなかった巨石信仰にいい意味の衝撃を受け、さらに見ず知らずの怪しい夫婦に温かいもてなしで対応してくださった西林寺は、間違いなく究極のパワースポットでしょう。神道ではよく神は人の敬によりて威を増し　人は神の徳によりて運を添うと言われます。やはり人の関わりなしに、神仏の威はありません。要は人間なのかもしれませんね。そのことがしみじみわかる、素敵なお寺でした。　　☆もし西林寺の皆様が、万一このブログを読まれることがありましたら、改めてお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。(ただし、西林寺へ行けば、いつも無料でおぜんざいがもらえると誤解した人がもし来たら、どうかご勘弁願います(^_^)/~なお冗談抜きに、このお寺のある地域は不思議な雰囲気があります。伊和神社の宮山をはじめとして、神体山の雰囲気がある整った里山が周囲を取り巻いているのです。磐座と並んで、神体山は日本の古代信仰の重要な構成要素ですが、そんな山々に囲まれた不思議な田園地帯なのです。この不思議な感覚は、私にとっては出雲大社以来でした。家計と休日予定をやり繰りして全国を回っております。ネタがいつまで続くか不明ですが、よろしければ三つクリックしていただくと励みになります。にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

西林寺(宍粟市)・人と岩が織りなす超絶パワースポット