昨日の続きです。私たちが神宮寺に着いたのは、午後四時半。すでに参拝客もなくなり、ご住職が門を閉めようとされていた、ちょうどその時でした。親切なご住職は私たちに気が付くと、門を開け直して招き入れてくださいました。これが、西日に照らされる本堂と、境内の様子です。ここが、お水送りの神宮…… more 寺閼伽水です。毎年3月2日、この若狭神宮寺では、東大寺二月堂の「若狭井」に水を送る神事が行われますが、誰かが山中の長距離を運ぶのではありません。遠敷川の「鵜の瀬」という淵に水を流すと、地下を通って東大寺二月堂の「若狭井」に出てくるとされるのです。それにしてもこの発想、この信仰は、どんな理念を基盤としているのか、何とも不思議ですね(＠_＠;)では、東大寺に通じるとされる鵜の瀬とは、いったいどんな場所なのでしょう。夕陽はかなり傾いていましたが、上流の鵜の瀬へと急ぎます。うのせ資料館がまだ開いていました。館内には、お水送りの写真やジオラマがあります。外国の秘密結社か、という人もいるのが分かりますね。なんとも独特な姿です。何やら謎めいた行事だと思う気持ちが、さらに強くなります。次に、川沿いに歩いて、鵜の瀬を目指します。しめ縄の下に、ちょっとした淵がありますが、ここが東大寺へ通じる場所のようです。ここに水中洞窟でもあるのでしょうか？お水送りの送水神事は、神宮寺から山伏姿の行者や白装束の僧侶らを先頭に3,000人程の松明行列が、ほら貝の音とともに2ｋｍ上流の鵜の瀬へ向かい、河原で護摩が焚かれた後、白装束の住職が祝詞を読み上げ、竹筒からお香水（こうずい）を遠敷川へ注ぎます。(日本の名水百選より)このお香水は10日かけて東大寺・二月堂の「若狭井」に届くといわれ、奈良のお水取りは3月12日に行われます。　　☆それにしても、なぜこれほど東大寺と若狭が深い関係なのでしょうか？そのヒントは、鵜の瀬に立つ、この石碑にあるのかもしれません。ここは、東大寺開山で有名な良弁の生誕地だと伝承されているのです。しかし、何とも驚くべき伝説でした。母親が野良仕事の最中、目を離した隙に鷲にさらわれてしまうのです。(ウィキペディアより)そして、奈良の二月堂前の杉の木に引っかかっているのを義淵に助けられ、僧として育てられたと言われています。たとえこれが歴史的事実ではないとしても、こんな伝説が生まれる背景には、良弁と若狭に何らかの深い関係があったからこそだと思います。さらに、笠置山の龍穴に入り、お水取りの創始者である実忠。彼はインドの出身の僧で、一時期若狭神宮寺に身を寄せ、後にその地出身の良弁を頼って奈良に出たとも言われます。これが事実なら、良弁も実忠も元々若狭と深い関係にあるのですから、お水取りが若狭である事にも納得が行きます。ただし、ここから東大寺二月堂へ水中トンネル？が通じているという発想は、いったいどこから来たのかは謎です。それにしても、インド僧が若狭にいたとは、やはり古代の若狭港はインターナショナルな玄関口だったのでしょうね。取材とネタもそろそろ限界ですが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

東大寺二月堂と良弁和尚と鵜の瀬の謎