興正寺 独立の歴史と伽藍の詳細

興正寺 独立の歴史と伽藍
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記事タイトル 興正寺 独立の歴史と伽藍
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←目次  2006年1月27日から毎日更新しています。 ※写真は全てクリックで拡大します。 西本願寺の南に隣接する興正寺を訪れました。「興正寺」は山号を円頓山(えんとんざん)という真宗興正派の本山です。 「阿弥陀堂門」 明治45年(1912)の宗祖650回大遠忌を期して再建、阿弥…… more 陀堂の正面に位置する興正寺の正門です。四脚門の格調高い様式となっており、門扉には牡丹唐草、柱には龍の彫刻が施されています。 「三門」 阿弥陀堂門と同年に建立され、御影堂の前に位置する二階建ての楼門(三解脱門)です。三つに仕切られた入り口があり、門扉には牡丹唐草に抱牡丹紋の彫刻が施されています。 外観からは西本願寺と一体に見える興正寺は、その歴史も西本願寺と密接に関わってきました。鎌倉時代、法然に師事して専修念仏に帰依した親鸞は、承元元年(1205)念仏教団への禁圧によって越後に流罪となります(承元の法難)。 親鸞は建暦元年(1211)に赦免され、その翌年越後から京都に帰り山科に一堂を創建しました。「御影堂(ごえいどう)」の歴史については後程、昨年の地震と台風で大きな被害を受け修復工事中です。 順徳天皇(1210-1221)の勅願によって、この寺は「興隆正法寺」後に「興正寺」と名づけられました。この名は、聖徳太子がめざした「興隆正法」(正しい法を興し栄えさす)という意味があるのだそうです。 「経蔵」 江戸時代後期の嘉永元年(1848)建立、初層は唐破風付白壁土蔵造、二層は唐破風付楼造、屋根は宝形造です。中には経・律・論のすべてを収録した一切経が収められています。「法宝蔵」の勅額は孝明天皇より下賜され、額字は右大臣近衛忠煕の筆です。建立当初の位置が唯一変わっていない貴重な建築物です。 「阿弥陀堂」は興正寺の本堂です。明治35年(1902)それまでの本堂「ひとつ御堂」が焼失しました。現在の本堂は大正4年(1915)に再建され、本瓦葺二重入母屋造です。 その後、親鸞は阿弥陀仏の本願をひろめるため関東に布教の旅に出ます。笠間郡稲田郷に設けた草庵を拠点として、20年近く関東で精力的に布教を行いました。阿弥陀堂の右手に蔵があります。 元応2年(1320)興正寺第7世了源上人は寺を洛東の汁谷(しぶたに)に移しました。その頃 本尊が光明を放ったといわれたことから、後醍醐天皇から「阿弥陀仏光寺」の名前を賜り、一つの寺で二つの名前を用いることになりました。 その後の文明13年(1481)第14世蓮教上人(経豪)は興正寺を山科西野に再興して、仏光寺は弟・教誉上人が継ぎました。これによって、二つの寺名がそれぞれの別の寺に分かれました。(阿弥陀堂に上がります。) 蓮教上人は当時山科にあった本願寺の蓮如上人と力をあわせて念仏を広めることに奔走しました。(正面が阿弥陀堂門) ところが、戦国時代の天文元年(1532)、六角氏と法華宗徒の焼き討ちにより、興正寺は山科本願寺とともに焼失してしまいました。(塀の向こうに西本願寺の飛雲閣が見えます。) 安土桃山時代(1585年)第15世蓮秀上人は、本願寺とともに大阪天満に移転し、無事だったご真影を祀って天満興正寺を開きました。 永禄11年(1568)本願寺が門跡寺院となったときは、末寺別格として興正寺も脇門跡寺院となり、本願寺に次ぐ位置を占めました。(本陣には本尊の阿弥陀如来、左右にインド、中国、日本の七高僧と聖徳太子の影像を安置しています。) 天正19年(1591)第17世顕尊上人のとき、豊臣秀吉により本願寺とともに京都の現在地に戻り、慶長7年(1602)の本願寺の東西分裂では西本願寺に属しました。本尊の阿弥陀如来 上の本尊の横に、御影堂に安置されていた「親鸞聖人御真影」が遷されています。聖人40歳の姿を刻したものとされ、壮健な雰囲気をただよわせています。 江戸時代を通じて興正寺は西本願寺の末寺でしたが、本山として独立しようとする気運も根強くあり、本末紛争も起こりました。 幕末、池田屋事件で幕府の信頼を得た新選組が大所帯となり、西本願寺を屯所としました。慶応3年(1867)坂本龍馬らの殺害が紀州藩のしわざであると考えた海援隊・陸奥陽之助らが、天満屋を襲いました(天満屋騒動)。御影堂への渡り廊下 そのとき、紀州藩家老が滞在していた興正寺も襲われ、新撰組の土方歳三らがこれを防いだ事件も起こりました。(工事中の御影堂へは行けないようになっていました。) 明治9年(1876)第27世本寂上人(1808~1877)の時に、ようやく本願寺から一派本山として独立を果たしました。 明治35年(1902)不慮の火災により、日光の本廟、知恩院の三門とともに日本三建築の一つといわれた大伽藍のほとんどが焼失してしまいました。 本堂(阿弥陀堂)の再建の際に、両堂様式の御影堂建造を望む声が多く、明治45年(1912)新たに本瓦葺入母屋造の御影堂が建立されました。「興正派宗務所」   三門の脇に紅白の梅があります。最後に見頃の時期の写真があります 「鐘楼」 安永3年(1774)建立、本瓦葺入母屋造の袴腰楼造の鐘楼で、直径約1mの梵鐘があります。同年の桃園天皇13回忌に際し、皇太后恭礼門院(一条富子)が寄進。経蔵とともに明治35年の火災を免れました。 「興正会館」 地上3階、地下1階の近代的な名建物といわれ、宿泊施設の外、各種会議室、和洋兼用ホール、1階にカフェがありましたが、閉鎖されました。 耐震性に問題があるといわれていて、建て替え、耐震補強などの情報がまだありません。こちらは七条通りに面した入口。 親鸞聖人が開いた浄土真宗は、様々な歴史的な事情から現在、本願寺派、大谷派、興正派など十派に分かれています。それらは「真宗教団連合」をつくって共通の課題について行動をしているそうです。 お帰りの前に、ブログランキングの応援のクリック↓をよろしくお願いします。 ★こちらを是非よろしく→   ブログ村→ ------------------------------------------------------------------- close

興正寺 独立の歴史と伽藍
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投稿日時 2019-10-16 15:01:04

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