丹生都比売神社（にうつひめじんじゃ）という名前通り、鮮やかな朱色が美しい境内。この丹生都比売神社については、水銀との関係や、水神としての性格などをはじめ、膨大な研究や書籍があります。この謎の島は何？しかし私が一番不可解に思うのは、鏡池に浮かぶこの島のことです。神社ホームページには…… more 、鏡池という記載はありますが、この島については何も書かれていません。これだけ大きい池の中に、堂々とした石積みの島が作られているのですから、普通の神社なら「弁天社」とか「市杵島比売」などと、少なくとも案内図には記されるのが通例でしょう。同様に、参拝者用の由緒書きを見ても、全く触れられていません。ネットで検索すると、「丹生都比売神社」というワードには膨大な記事が出てきますが、不思議なことに、この島について書かれたものはほとんどないのです。先日の記事で取り上げた、新屋坐天照御魂神社の小さな池の小さな岩。つい見逃しそうなこの岩でさえ、由緒や来歴は明確です。戦国時代に戦火で焼け落ち、無人の期間があったのならともかく、高野山と共に神官・僧侶が大勢でその伝統を守り続けてきた丹生都比売神社に、これだけの島の来歴が不明なはずはありません。そこで『週刊日本の神社　NO.78　丹生都比売神社』を開いて調べます。この島についての記載はありませんが、鏡池についてはこう書かれていました。不老長寿となった八百比丘尼(やおびくに)が池に姿を映し、年老わない自分を嘆いて鏡を投げ入れたと伝わる。えっ、八百比丘尼・・・・？？？ 全く予想もしていなかった名前が出てきました。若狭の八百比丘尼とはある男が、見知らぬ男に誘われて立派な家に行く。そこで偶然、人魚の肉が料理されているのを見てしまう。その後、ご馳走として人魚の肉が出されるが、男は気味悪がって食べず、土産として持ち帰る。ところがその人魚の肉を、男の娘または妻が知らずに食べてしまう。それ以来その女は不老長寿を得て長生きし、夫に何度も死に別れる。周囲からは、人魚の肉を食べて死なない化け物などと言われ、村を出て諸国を巡る比丘尼となった。そして各地に木（杉・椿・松など）を植えたりするが、最後は若狭にたどり着き、入定する。その場所は小浜の空印寺と伝えることが多く、齢は八百歳であったといわれる。・・・・八百比丘尼が入定したとされる、若狭の空印寺。八百比丘尼のお墓は、不思議な洞窟の中でした。どうも謎めいています。さて、紀元前３世紀頃の秦の始皇帝は死を怖れ、蓬莱国の仙人の不老不死の薬を探すよう徐福に命じますが、徐福は日本に上陸して帰ることはありませんでした。一方、仙人の薬が手に入らなかった始皇帝は、猛毒の水銀を含む丹薬を飲んで死去しています。始皇帝が思い込んだように、水銀が実際に不老不死の薬であったのなら、八百比丘尼が丹生都比売神社で水銀薬を飲んで長生きしたというストーリーができます。しかし、水銀の服用は命を縮めます。うーむ、なんで八百比丘尼の伝説が丹生都比売神社にあるのか、よけいにわからなくなりました。丹生都比売神社のご神職のお答えとは？いろいろ考えるより、当の丹生都比売神社に聞くのがいちばんですね。そこで直接ご神職に聞きました。「あのう、鏡池にある島は、どなたを祀っておられるのでしょうか？」ご神職のお答えは意外でした。「はっきりしていません。」「え、祭神とかが不明なんですか？」「はいそうです。弁天さんという話もあるようですが・・・」　　☆若狭地方には水銀が採れたようなので、八百比丘尼と水銀が関係していたとして不思議はありません。しかし、丹生都比売神社の公式見解が「はっきりしていません。」とは・・・？いったい何がどう隠されているのか、二重三重に謎が複雑で、今の私には手に負えません。しかし何か糸口を見つけて、またぼちぼち探って行きたいと思っています。三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

丹生都比売神社・語られぬ不可解な謎