←目次 　２００６年１月２７日から毎日更新しています。 ※写真は全てクリックで拡大します。 先日、天龍寺塔頭の弘源寺の秋の特別公開に行ってきました（12月8日で終了）。天龍寺の総門から庫裏につづく参道右（北）に「山門」（京都府暫定登録文化財）があります。 紅葉がないので後回しに…… more なりましたが、最近の宝厳院や落柿舎の記事にも登場しました。山門を入った左に手水舎があります。 弘源寺は室町時代中期の永享元年（1429）、幕府の管領であった細川右京太夫持之が天龍寺の開山・夢窓国師の法孫にあたる玉岫英種(ぎょくしゅうえいしゅ)禅師を開山に迎えて創建しました。寺号は持之の院号です。 細川家は清和源氏の流れをくみ、足利家より分かれた細川家九代が当寺の開基・持之です。創建時は小倉山の麓に位置し、北は二尊院、南は亀山にいたる広大な寺領を有していました。 落柿舎北に弘源寺の墓地が残っていて、向井去来の墓があります。細川持之は兄の早世により家督を継ぎ、摂津、丹波などの守護を経て、1432年に管領となり、将軍・足利義教に従いました。  1441年「嘉吉の変」で義教が暗殺され、同席した赤松邸より逃れました。義教の恐怖政治によって弾圧された人々を赦免し、追討軍を組織して赤松家を滅ぼしました。幼い義勝を補佐して幕政を主導、1442年管領を辞任して出家、同年死去しました、享年43歳。 その後、弘源寺は幾度かの火災に遭遇し変遷を重ね、明治15年に末庵である維北軒（いほくけん）と合寺、現在地に移りました。（右の本堂に上がりますが、部屋の中は写真が撮れません。） 「本堂」（京都府暫定登録文化財）は客殿形式で江戸時代初期の寛永年代(1624-1645)の造営。正面中央には本尊観世音菩薩、右側に開山・玉岫禅師像、左側に開基・細川右京太夫持之の位牌を祀っています。 前庭は枯山水式庭園の「虎嘯(こしょう)の庭」で、白砂に苔の築山、石が据えられ、右奥（南西）の嵐山を借景としています。春は桜、秋は紅葉が美しい庭とされています。 逆光とガラス窓の反射で鮮明な写真が撮れません。  虎嘯とは「龍吟雲起　虎嘯風生」（龍が声をあげると雲がわき、虎が唸ると風が生じる）という言葉が由来で、禅の悟りの境地を表すといわれています。下はパンフレットの写真で、奥が嵐山です。 幕末の「禁門の変（蛤御門の変）」（1864）に際し、長州藩の軍勢が天龍寺に陣を構えました。その時の柱の刀傷が残っています。ここで専横があったおではなく、血気盛んな藩屏が逸り試し斬りしたものだそうです。 こちらの柱にも傷があります。 京都四条派の竹内栖鳳（せいほう、1864-1942年）とその一門（上村松園・西山翠嶂・徳岡神泉ほか）などの日本画が公開されていました。下は本堂の障壁画。 竹内栖鳳は近代日本画の先駆者で、戦前の京都画壇を代表しました。動物を描けば、その匂いまで描くといわれた達人でで、狩野派の他に西洋の写実画法などを意欲的に取り入れ、日本画の革新運動の一翼を担いました。 帝室技芸員で第1回文化勲章を受章しました。パンフレットから竹内栖鳳作「ねこの図」。 山門からの参道の途中に「毘沙門堂」があり、正面の扁額は弘法大師直筆。祀られている毘沙門天立像（重文）はインドの仏師毘首羯磨（びしゅかつま）の作といわれ、中国を経て日本に伝わりました。 始めは比叡山無動寺にありましたが、変遷を経て開山・玉岫禅師が当寺に迎えました。天龍寺七福神の一つで諸願成就の功徳があり、今もお参りする人が絶えません。（下はパンフレットの写真です。） 天井画として、日本画家の初代藤原孚石(ふせき)筆による四季草木48面があります（こちらもパンフレットから）。 毘沙門堂の前には知恵を授けてくれる「文殊菩薩」のブロンズ像があります。 一時期境内に宝厳院が移転していた縁で、宝厳院と弘源寺は同時期に特別公開され、共通拝観券があります。 お帰りの前に、ブログランキングの応援のクリック↓をよろしくお願いします。 ★こちらを是非よろしく→ 　　ブログ村→ -------------------------------------------------------------------   close

弘源寺　細川持之と毘沙門天