新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は今月７日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を発令しました。 同宣言の対象地域は、特に感染が拡大している東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡の７都府県で、期間はゴールデンウイークが終わる来月６日までと…… more されました。 このような事態を受け、同宣言が発令される前後から、全国各地の神社も様々な対応を発表・実施しています。あくまでも私が見聞きする限りに於いてですが、現状では、各神社は以下の①～⑤のいずれかの対応（①から⑤へ進むに従って対応がより厳しくなります）を採っているようです。 ① 原則平常通りの対応。特に普段と変わり無し。神職も管理人も常駐していない村落の神社などではこのパターンが多いかもしれません。 ② 概ねいつも通りだが、一部、平時とはやや異なる対応。具体的には、境内の清掃・消毒など衛生管理の徹底、社殿内の換気徹底、手水舎の柄杓や鈴緒の一時撤去、御朱印は書き置きのみとする、などの対応を行う。 ③ 明らかに平時とは異なる対応。具体的には、②の対応に加え、開門時間・社務を行う時間・授与所窓口を開ける時間などを平時よりも短縮する、御朱印の対応を一切停止、職員の出社を一部制限するなど。外出自粛により参拝出来ない人のため、期間限定で、普段は行っていない対応（通信での祈祷受付、授与品や御朱印の郵送など）をする場合も有り。 ④ 一定期間、社務所を完全に閉鎖（社務自粛）。原則として職員も全員出社を停止するため、神社としての活動は事実上停止。境内の閉鎖は行わないため社頭での参拝までは制限されないものの、御祈祷、授与品の授与、御朱印、おみくじなどの対応は行わない。 ⑤ 社務を停止するだけでなく、神門も閉じるなどして一定期間境内を完全に閉鎖。そのため、御祈祷、授与品の授与、御朱印、おみくじなどの対応が行えなくなるのは当然として、境内に入って参拝するも不可となる。神社としての活動は原則として全て停止。   北海道内の神社は、当社も含めて、現時点では②の対応を採っている神社が多いようです。 だからといって、①の対応をしている神社が「結局何もしていないという事ではないか！それはちょっと対応が軽いのではないか！」というわけではないですし（対応したくても出来ない事情だってあるわけですし）、逆に、④や⑤の対応をしている神社が「対応としては過剰すぎる！そこまでするのは大げさ！」というわけでも勿論ありません。 この点はちょっと強調して言いたいのですが、神社は、その神社によっても地域によっても、状況がかなり異なっており、そのため、全国全ての神社が統一的な対応を採る事は不可能ですし、そもそも、その必要性は薄いのが現状です。 例えば、大規模な神社と違って当社のような一般の民社では、三が日や特定の行事がある日などを除くとそもそも「密集」という状態が発生しませんので、あえて参拝者の境内立ち入りを制限する必要がありません。しかもこの御時勢ですから、どのみち今は特に参拝者が少ないですし。 政府による緊急事態宣言の対象となっている都府県や、知事が外出を自粛するよう呼び掛けている都府県、特に感染が拡大傾向にある地域などでは、そもそも不要不急の外出自体を控えるべきでしょうからまた事情が異なってきますが（そういった地域では社務を自粛する神社が今後増えてくると思います）、現時点でそうではない地域に於いては、「むしろこういう時だからこそ神社に行って神様にお参りしたい」という、参拝者が抱くごく自然な気持ちまでを、神社側が一方的に否定したり抑制したりする事は、必ずしも好ましい事ではないと思います。 所謂「苦しい時の神頼み」は、この御時勢では止むを得ない事とも思います。 勿論、神社として感染防止に留意する事は当然で、実際どこの神社もその点は留意しているはずですが、その上で、社殿内で御祈祷は普通に行っているという神社も沢山あります。 そういった対応に対しても、なかには「こんな時期にも安産祈願だとか初宮詣とかの個人の御祈祷をするなんて！自粛すべきだ！」とお思いになる方がいらっしゃるかもしれませんが（実際、他の都府県に於いてはそういった声も一部にあるようですが）、大勢の崇敬者や観光客などが訪れる大規模な神社は兎も角、そうではない一般の民社では、御祈祷時に於ける参拝者同士の距離や、参拝者と神職の距離などは、２～３メートルの間隔を保つのは余裕ですし、御祈祷も普段は連続してあるわけではないので、社殿内の換気・清掃・消毒さえ徹底していれば、神職が参拝者の気持ちに寄り添って普段通りに御祈祷を行う事には、特に問題はありません。 なかには、参拝者が触る柄杓や鈴緒を撤去していない、という神社もありますが、その場合は、柄杓や鈴緒をこまめにアルコールで消毒していたりしますし、また、先程③の対応の中で「御朱印の郵送」という事例を紹介しましたが、これについても、「この事態が終息してからお参りに来て下されば良いので、当社ではこういった状況であろうともいつも通り、御朱印の郵送は行いません」という立場の神社もあります。 つまり各神社の対応はバラバラで、それは、各神社のおかれている現状や地域状況などがかなり異なっているからです。ですから、「あの神社はこんな対応をしているのに、この神社はそういった対応をしていない」という一律的な批判は、必ずしも適切ではありません。その点、御理解戴ければ幸いです。   ちなみに、西野神社としては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現時点では以下のような対応を採っております。 ▼ 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う西野神社の対応 https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/2020/03/11/162515 ▼ 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う西野神社の対応（その２） https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/2020/03/16/000000 ▼ 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う西野神社の対応（その３） https://nisinojinnjya.hatenablog.com/entry/2020/03/24/000000   なお、北海道は緊急事態宣言の対象地域外ではありますが、新型コロナウイルス感染症が終息しないうちに大勢の人々が集まる会合の開催は避けるべきとの判断から、毎年４～５月にかけて札幌市内で開催されいる、北海道神社庁札幌支部、北海道神社庁札幌支部青年神職文月会、北海道神道青年協議会のそれぞれの定例総会と、北海道神社庁札幌支部神社関係者大会、北海道神社庁札幌支部氏子総代会の代議員会は、本年はいずれも中止となりました。これら以外にも、札幌で開催予定だった神社関係各団体の本年度の総会も、ほぼ全て中止となる見込みです。   文責：西野神社権禰宜 田頭 close

新型コロナウイルス感染拡大を受けての各神社の対応