奈良県桜井市初瀬（はせ）にある真言宗豊山派総本山の長谷寺は、『枕草子』『源氏物語』『更級日記』など多くの古典文学にも登場する名刹です。27日の土曜日、桜満開の長谷寺に参詣しました。これは仁王門。ここから長い登郎（のぼりろう）の階段を上がり、本堂へと向かいます。本堂は小初瀬山中腹の…… more 断崖に建てられた舞台造です。　　☆長谷寺のご本尊は、参拝のしおりにこう書かれています。ご本尊、十一面観世音菩薩近江高島から来た楠の霊木を用いて三日間で造り上げたといわれ、全国に広がる長谷観音の根本像です。御身の丈三丈三尺（十メートル余）、右手に錫杖を持ち、平らな石（大磐石）の上に立つ独特なお姿をしています。近江高島から来た楠の霊木？そう疑問に思って、ホームページを調べます。すると、こんなことが書かれていました。今は昔、諸国に大洪水があった時、近江国高島郡の岬に大木が漂着した。村人の一人がその木の端を切り取ったところ、家が焼け、村人が多数流行病で死んだ。これは木の祟りだと言って誰も近寄らないパンデミックまで引き起こす、たたりの巨木だったわけです。この話を徳道という僧が聞き、自分が像を作ろうと今の長谷の地に曳いて行ったが、一人では作りかね、七、八年木に向かって祈祷（きとう）した。これが元正（げんしょう）天皇のお耳に入り、大臣藤原房前（おとどふじわらのふささき）も聞いて、その協力のもとに神亀四年（七二七）、二丈六尺（約八・六メートル）の十一面観音像が完成した。すると徳道の夢に神が現れ、北の山の下の大岩を掘り出したその上に像を安置せよという。その後観音の霊験はあらたかで、震旦（中国）までも利益を施した。今の長谷寺はこれである。祟りの巨木から造った観音様を、大磐石の上に立てる・・・・明らかに巨木信仰と磐座信仰の要素がうかがえます。　　☆磐座研究者の古典的バイブルであった、藤本浩一さんの『磐座紀行』によると、長谷寺の僧は毎朝の勤行で「与喜山礼」の礼拝が行われているそうです。それは東側の天神山に向かって行われるのですが、天神山には壮大な磐座があるとされています。ところが今回、長谷寺本堂のすぐ近くにも、磐座らしきものを発見しました。誰も、何も言わない、隠された磐座信仰ではないのでしょうか？それが、ここです。これは、初瀬の地主神を祀る三社権現です。長谷寺本堂の北東裏手に鎮座。中央に滝蔵権現(たきのくらごんげん)、向かって右側に石蔵権現(いわくらごんげん)、向かって左側には新宮権現(しんぐうごんげん)が鎮座しています。三つを総称して三社権現（滝蔵権現）と呼びます。それぞれしめ縄の様式が違います。元々は別の神様なのでしょう。このなかで注目すべきは、その名もドンピシャリ、「石蔵権現」のお社です。その前には、こんな岩石露頭？が目立ちます。もちろんこれだけでは、偶然の露岩かもしれません。しかし、他にも何かあるはずだと周囲を調べると、床下にあったのです。先日も特集しましたが、磐座の上に建つ社殿や祠はたくさんあります。ではなぜ、長谷寺の由緒にも境内案内にも、そしてネットの情報にも、この磐座の事が出てこないのでしょうか。ひょっとすると、公表できない、謎めいた理由があるのかもしれません。つづく三つクリックしていただくとありがたいです。(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

長谷寺に知られざる磐座？を発見