丹波市氷上町西中に鎮座する、箱森稲荷神社。ここには、巨大な磐座がありました。岩の背後。基部の祭壇？です。そして、これが由緒です。本社前ニ箱籠岩（はこもりいわ）ト称スル奇岩アリと書かれていますから、この巨岩は「箱籠岩」という名前のようです。そして岩頭は大きいのに根元は細く、地震など…… more 天変地異にも崩れず、実に不可思議だと記されます。確かに、いつ崩れてもおかしくない形状ですね(@_@)さらにこの岩に関し、こんな奇妙な由来が書かれています。大昔、此ノ地方ニ大洪水アリシ時　何処トモナク箱入リノ神像流レ来タリ之ヲ祀リシ所　翌朝ニハ大岩石トナレリ大洪水で流れてきた箱の中に神像があり、それが一夜にして巨大化したというのです。そういえば、こけし的な雰囲気があり、神像と言えばそう見えないこともありません。さらに、この岩の前には、小さい岩があります。二つ合わせて、夫婦岩なのだそうです。　　☆国家『君が代』さざれ石の　巌となりて　という歌詞については、何度も記事にしています。ウィキペディアには、さざれ石は、もともと小さな石の意味であるが、長い年月をかけて小石の欠片の隙間を炭酸カルシウム（CaCO3）や水酸化鉄が埋めることによって、1つの大きな岩の塊に変化した「石灰質角礫岩」を、日本の国歌である「君が代」の歌詞にある巌（いわお）であるとして、この岩を指してさざれ石と呼ぶことも少なくないと書かれています。このように、たくさんの小石が集まって大きな岩に変化するという、地学的な解釈が世間にまかり通っていますが、これは間違いであるというのが私の考えです。柳田国男は、その著『袂石』の中で、ひとつの小石が毎年少しずつ大きくなるという民俗伝承をたくさん集めています。伊勢参りをして帰ってきたら、いつのまにか着物の袂に小石が入っていた。その小石がいつの間にかこんなに大きくなって、今では神社に祭られている・・・こんなパターンです。寄せ集めではなく、ひとつの石が成長して大きくなるという伝統的観念ですね。そして、『袂石』の最後には、こう書かれています。筍のように早く成長するものでも、やはり人の知らぬうちに大きくなります。ましてや石は君が代の国家にある通り、さざれ石の巌となる迄には、非常に永い年数のかかるものと考えられていたのであります。というわけで、ひとつの石が大きく成長するというパターンは、この箱森稲荷でも同じです。ただ、箱森の巨石は、長い年月をかけて成長するどころか、一夜で大きくなったとされています。ひょっとすると、また別のカテゴリーの信仰要素も入っているかもしれません。いずれにしろ、人智の及ばない驚異的な岩ゆえに、神の岩と崇められてきたのでしょう。　　☆なお、こけしのような巨石は、こんなところにもありました。九州にある耶馬渓の奥深く、どこまでも広い丘陵地帯の中にある不動岩です。通称は「日本のモアイ」。横から見たところです。下に風化した犬がありますから、信仰があったことは間違いありません。ただし、その由来をはじめ、すべては謎の立石です。大きくなったという伝説の有無も不明。いずれにしろ、日本の各地には、まだまだ私たちの常識から外れる不思議な岩、不思議な信仰対象が存在しているようです。三つクリックしていただくとありがたいです。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

箱森稲荷神社・巨大化する岩と「さざれ石の巌となりて」