蘆山寺と紫式部邸宅跡の詳細

蘆山寺と紫式部邸宅跡
京都を歩くアルバム
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記事タイトル 蘆山寺と紫式部邸宅跡
概要

←目次  2006年1月27日から毎日更新しています。 ※写真は全てクリックで拡大します。 昨日の記事で、明日から適用される「まん延防止等重点措置」の京都府の取り組みを紹介しました。そこでは、人の流れを抑制するために「日中も含めた不要不急の外出や移動の自粛」が引き続き要請されてい…… more ます。一方で府市立の施設が順次再開され、要請に対してどう対応したらよいか迷います。 蘆山寺の桔梗が見頃の時期です。今日は、ここが紫式部の邸宅跡とされる理由について考えてみようと思います。上は拝観入口の山門(北門)、下は「薬医門」。 「蘆山寺」は、平安時代の天慶年間(938-947)天台座主元三大師良源によって船岡山の南に創建されたのが始まりです。(「元三大師堂」は洛陽三十三所観音巡礼の札所になっています。) 鎌倉時代の寛元元年(1243)法然の弟子・覚瑜が船岡山の南麓に再興し、中国の廬山にならって蓮社(れんしゃ、念仏結社)をつくり、廬山天台講寺と称しました。(かっての霊場本尊・如意輪観音は国立博物館に寄贈、現在はお前立が安置されています。) 蘆山寺は室町時代の応仁の乱で焼失した後再建。元亀3年(1571)の織田信長の比叡山焼き討ちは正親町天皇の女房の奉書により免れましたが、豊臣秀吉によって天正年間(1573-1593)に現在地に移されました。 度々の火事のため堂宇は何度も消失、現在の仏殿(本堂)と御黒戸(尊牌殿)は寛政6年(1794)に光格天皇の仙洞御所の一部を移築、女院、閑院宮からの御下賜で造営されました。(本堂玄関) 明治維新までは御黒戸四箇院という宮中の仏事を司る四か寺の一つでした。しかしながら、廃仏毀釈により宮中から天台宗預かりとなり、明治天皇の勅命によって蘆山寺だけが復興されて今日に至ります。 仏間には本尊の木造・阿弥陀如来像および両脇侍坐像の3体(平安時代作)が安置されています。 この地は、平安時代の歌人・女流作家の紫式部の住居があった場所とされています。紫式部は藤原北家の越後守・藤原為時の娘として生まれました。(本堂前庭は紫式部にあやかり「源氏庭」とよばれています。) そして、曽祖父の権中納言藤原兼輔が建てた邸宅・堤第で生まれ育ちました。父・為時は副侍読を務めていた東宮・師貞親王が永観2年(984)即位(花山天皇)すると蔵人、式部大丞と出世しますが、花山天皇が出家すると官職を辞任します。 紫式部の名はこの時の父の官職名です。10年後に為時が一条天皇に詩を奉じた結果、越前国の受領となり、紫式部は娘時代の約2年を父の任国で過ごしました。当初は小国の淡路国だったのを藤原道長の力で越前国に変更されたといわれます。 紫式部は長徳4年(998)頃、年が離れた山城守・藤原宣孝と結婚し長保元年(999)に一女・藤原賢子をもうけます。そのときも堤第で生活したといわれています。 ところが結婚生活は短く、長保3年(1001)に夫・宣孝と死別してしまいます。その後、堤第で一人娘の賢子(大弐三位)を育てたと思われます。 寛弘2年(1005)頃一条天皇の中宮・彰子(藤原道長の長女)の女房、家庭教師役となり、少なくとも寛弘8年(1012)頃まで仕えたと考えられています。(向こうの建物が、仙洞御所から移築された御黒戸。) 彰子のもとで宮中に仕えていた時期に『源氏物語』を書いたといわれています。紫式部は宮中を退いた後も堤第に住み、長元4年(1031)頃に59歳ほどで死去したといわれています。 紫式部は、晩年の一時期紫野(北区)に住んだともいわれますが、いずれにしても人生の大半を堤第で過ごしました。大津の石山寺は紫式部が参籠したときに物語の着想を得たとする伝承があり、源氏物語を起筆した寺といわれます。 ところで、堤第は正親町小路南、東京極大路東の鴨川堤にあったとされ、そのため曾祖父の藤原兼輔は堤中納言と称されました。昭和40年(1965)考古学者角田文衛博士(1913-2008)によってこの地が堤第の跡地であることが発表されました。 そして昭和49年に庭に堤第跡を記念する石碑が建てられました。「紫式部邸宅址」と彫られれていて、揮亳は言語学者で広辞苑の編纂者として知られる新村出だそうです。 また、『源氏物語』の空蝉の仮住まいの紀伊守の邸宅や花散里の巻にでてくる屋敷は、この邸宅をモデルにしたといわれています。 花散里は源氏の愛人で、心を安らげることができる女性でした。五月雨の合間のある日、心の憂いに耐え兼ねて橘の香りの懐かしいその住まいを源氏が訪ねる件(くだり)があります。 その家の記述が非常に詳しく、場所的にも紫式部の邸宅があった「中川」に設定されています。中川は鴨川と平安京の間を流れていた川で現存しませんが、その畔に貴族の別荘が並んでいたといわれます。 父を亡くした花散里と姉は、源氏の庇護でこの屋敷でひっそりと暮らしていました。『紫式部日記』には紫式部が藤原道長の求愛を歌で断った話や、宮中の部屋で寝た夜、道長に一晩中戸を叩かれて怖かったという話が出てきます。 それらの話から道長とは何もなかったというのが通説です。一方で、後に道長と恋愛しても日記には書かないという方もいます。また、藤原道長が光源氏のモデルだという説も有力です。 そうだとすると、屋敷だけでなく花散里と光源氏の心理描写にも実在のモデルがあったことになります。中川は向かいの梨木神社のあたりを流れていたといわれ、境内に「中川の家候補地」の看板があります。 本堂の玄関前に紫式部と娘の賢子・大弐三位の歌碑があります。紫式部「めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし 夜半の月(影)」、大弐三位「有馬山 ゐなのささ原 風ふけば いでそよ人を 忘れやはする」 本堂横の小道(墓参道)を行くと、慶光天皇御陵をはじめとする皇族の墓、「雲水ノ井」、豊臣秀吉が造営した御土居など見所がありますが、今日は省略します。 ・ お帰りの前に、ブログランキングの応援のクリック↓をよろしくお願いします。 ★こちらを是非よろしく→   ブログ村→ ------------------------------------------------------------------- close

蘆山寺と紫式部邸宅跡
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タグ お寺
投稿日時 2021-06-20 15:21:03

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