マタギ犬を祀る老犬神社の詳細

マタギ犬を祀る老犬神社
秩父・仙台まほろばの道
ページの情報
記事タイトル マタギ犬を祀る老犬神社
概要

宮城県では、連続35日の長雨になりました。 「やませ」の影響もあり、仙台は昭和9年ぶりの長雨記録になったそうです。 「昭和9年」の長雨で何があったか。 「昭和東北大飢饉」 「森と水の郷あきた」より http://www.forest-akita.jp/data/kiso-bun…… more ka/kisobunka05/kisobunka-05.html 「北東北は、稲作の北限に位置していただけに凶作・飢饉常習地帯であった。 中でも、冷たい北東風「ヤマセ」によって冷害になる筆頭が岩手県北上盆地であった。 その過酷な風土は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」にも記されている。 「奥羽地方ほど頻繁に深刻な飢饉がおこったところはない」というのが 歴史書の定説になっている。 南部・盛岡藩を例にとると、江戸時代に大小あわせて94回、 すなわち3~4年に一度の割で凶作に襲われ、 実に16年に一度は飢饉に苦しむ歴史を繰り返している。」 「飢饉の際に生まれた子供は、育てることができず「口べらし」と称して間引きが行われた。 当時は生まれたばかりの赤子は、霊的に未成熟で間引くことを神に返す行為とされた。 だから、そんな子供は墓ではなく土間や台所に埋める風習があった。 その間引きされた子供がザシキワラシになったと言われている。」 「凶作が決定的となった昭和9年、秋田県保安課がまとめた娘の身売りの実態によると、 「父母を兄弟を飢餓線より救うべく、悲しい犠牲となって他国に嫁ぐ悲しき彼女たち」の数は、 1万1,182人、前年の4,417人に比べて実に2.7倍にも増加している。 身売り娘が多かったのは、秋田の米どころと言われる仙北・平鹿・雄勝三郡であった。 一方、マタギの村・根子の記録によれば、昭和7年、戸数84戸のうち76名が農閑期に 鳥獣の毛皮、熊の胆の行商で潤っていた。 「年額8千円~1万円位の収入」があり、娘の身売り問題とは無縁であった。 秋田では、コメの依存度が高いほど、「けかち(飢饉)」の悲惨な歴史があったのである。」 ----------------------------------------------------------- 今回の秋田県の探訪で「マタギ」について、何かとても重要なメッセージを 受けている気がずっとしていました。 それが、今のこの長雨でもたらされた昭和の大飢饉と繋がっていることがわかりました。 「江戸時代、農民の食べ物は、租税、小作料納入の残りしかないから、 米を常食にするだけの量はなかった。 米は正月や盆の儀礼食くらいで、普段は麦、粟、稗であった。 米中心主義のおかげで他の穀物は雑穀と差別的な言葉で呼ばれるようになったが、 稗は冷害的気象条件にも耐えうる優れた作物であった。」 「だから、青森県の下北や岩手県の閉伊郡、奥羽山脈の山間地帯では、 稲を植えても実らない水田に稗を植えたという過去の歴史もあったのである。 北東北は、気候風土から言えば、稲よりも稗・粟であったはずだが、 それに逆らったために、凶作、飢饉を繰り返すことになったのであろう。 昔から日本は「米食民族」などではなく「米食悲願民族」であったと言われているのも頷ける。」 「マタギの文化を改めて見直す時期」ということを、 マタギ犬が伝えたかったことなんだろう。 その犬に導かれて、「老犬神社」へお参りしてきた事を今になって納得できた。 ある時、若い時でしたが古代米を異常に嫌うおじさんがいました。 その方の知り合いが、ササニシキを発明した人で、東北地方の厳しい自然環境(寒冷)でも 強く育つお米が作りたいと、実験を重ねた結果が「宮城のササニシキ」だと聞きました。 おじさんは、その解明した人を崇拝している。 だから、古代米といった昔ながらのお米を受け入れない。 こういうのが、ヤマトとエミシなんだな、と思う。(笑) お米は食べようと思えば、今では食べられる。 震災で被災しても、餓死することなどない。 流通の発展、人々のボランティア精神など。 今は住みやすい社会になっています。 それでも、満足に食べさせてもらえない子供たちがいるのは、なぜでしょう? 「心の飢餓」 これだけは、誰も解明できません。 ----------------------------------------------------- さて、男鹿半島を抜けて十和田湖を目指していたのですが、 主人が「老犬神社」という看板を見つける。 「老犬」という言葉に何かを感じたのか、 どうしても行ってみたいという。 老犬神社は、有名なマタギ犬(秋田県)を祀っている神社です。 以前にもこのブログでマタギの老犬神社のことを書いていたので、 内容は知っていました。 まさか、その神社のそばに来ているとは・・・。(感激~) 主人が、老犬神社の伝説って何? と珍しく聞いてきたので、「マタギには免許となる巻物が必要だったが、 たまたま狩りに出た日、巻物を忘れて~・・・・。」(めんどくさ) 途中で面倒になり、とりあえず、老犬神社の看板の説明を二人で食い入るように読む。 老犬神社の伝説 「旧南部領だった鹿角の草木に、代々佐太六と名乗るマタギがいた。 なかでも十七代佐太六の腕は優れ、領主南部信直から天下御免の狩猟免状をもらっていたが、 佐太六にはシロという子牛ほどもある猟犬がいた。 ある日、佐太六はシロをつれて狩に出たが、猪を見つけて撃ったが手負いになったまま 逃げるので、その後を追って三戸城近くまで行き、ふたたび猪を見つけて撃った とたん姿を消してしまった。 そのとき、三戸城の役人が現れ、「城に向けて発砲するとは不届き千万」と縄をかけよう としたので、佐太六が「私は天下御免のマタギ・・・」と言いかけて、 その日に限って巻物を忘れてきたことに気づき、言い分もままならず、 ついに三戸城に引かれて取り調べを受け、死罪と決まった。 主人の危機を知ったシロはひたすら走って家に駆けつけ、佐太六の妻に激しくく吠えたが、 佐太六の妻は何のことかわからなかった。 再び佐太六のところへ行ったシロは、佐太六から免状の場所を何度となく教えてもらい、 再びシロは山河を駈け戻り仏壇の下で激しく吠えた。 妻は、はっと気付いて巻物を見つけ、竹筒にいれ、シロの首に結んでやった。 シロはすぐに引き返し再び主人のもとへ走り続けたが、城に着いた時はすでに遅く、 形場の露と消えてしまった。 犬吠森という山があるが、シロが主人の死体をくわえて三戸城の見えるところに運び、 幾夜と続けて恨みの遠吠えをしたところといわれています。 --------------------------------------------------- 私は犬が大好きなので、ムツゴロウのようにハグしたくなる神社です。 「マタギ犬はいねが~。」 と、ナマハゲ風に声をかけつつ(笑)、御堂の中までに入らせて頂く。(見学自由です) たくさん犬が書かれた絵馬がありました。 犬好きというか、犬を本当に愛してやまないひとたちが、 その敬意をしるし、絵馬にその思いをつむぐ。 とても珍しい神社です。 ところで、この話はマタギ文化のある秋田らしい伝説だと思っていました。 が、どうやら実際にモデルになった人がいたようです。 え?もしかして実話? 看板の説明によると、「江戸時代頃、定六(佐太六)という又鬼(マタギ)がいた。 この先祖は、源頼朝の富士の巻狩の際、目覚ましい働きによって 全国通用の子孫永久又鬼免状巻物を頼朝公より拝領し、 代々相伝している家柄だった。」 富士の巻狩とは、1193年5月に源頼朝が多くの御家人を集め、 富士の裾野付近を中心として行った壮大な巻狩のことである。 巻狩(まきがり)とは中世に遊興や神事祭礼や軍事訓練のために行われた狩競(かりくら) の一種で、鹿や猪などが生息する狩場を多人数で四方から取り囲み、 囲いを縮めながら獲物を追いつめて射止める大規模な狩猟の事。 マタギの大会みたいなものでしょうか。 「巻狩り」とも表記するそうです。 という事は、定六は、全国的に知られた有名なマタギだったことがわかる。 であれば、もし免状をもっていなくても、名前を聞けば役人にも伝わるはず。 しかし、これは巻物をもっていなかったという理由だけで、 定六は疑いをかけられ、処刑されてしまったのではないか、と思う。 定六に対する恨みをもったものの行為だったとしたら・・・。 「南部信直から天下御免の狩猟免状をもらった」とあるので、 南部信直の家臣だったと思われる。 「南部信直は、三戸南部氏の家督を継ぎ三戸城へ入城、信直の代へと変わる。」 その城主である南部氏に対し、「三戸に向かって鉄砲を撃った」ことが、反逆者とみなされたのか…。 しかし、Wikipediaによると、 南部信直は、駿馬と鷹を献上して誼を通じるなど優れた一面があったそうです。 ・・・南部信直もマタギのような人だった? その時代の家督争いが、老犬神社の伝説に由来しているような気がするのです。 南部信直=定六?と、考えていたら、なんと!こんな情報を見つけた。 「青森県のマタギといえば、目屋マタギ(江戸後期誕生)や 赤石マタギ(江戸中期誕生)が有名だが大川原マタギの歴史は古い。 平成二十二年には大川原かつて庄屋であった民家から南部藩第二十六代当主で 戦国武将南部信直の狩猟免状が見つかったのだ。 あわせて、マタギたちが山に入る際に身につけていた巻物「山立根本記」も見つかった。 南部信直の狩猟免状は、秋田県大館市の老犬神社にも同じものが保管されている。」 ※「おやまのおもしえ学校」 http://matagi.omoshie.com/whats_matagi やはり、南部信直も優秀なマタギだった。 おそらく、南部氏=定六の狩猟の民を崇拝するために語られた伝説なのでしょう。 しかし、無念な死をとげた人?だったか、マタギに誇りをもっていた人だと思うので、 マタギ犬がそれを知ってほしいと、私たちに吠えてきたのかもしれない・・・。 家督争いとか、今でも家族間のもめごとはある。 相変わらず、うちもカワリモノで手に負えない義姉がいますが。 今も昔も変わらない。 ※四日市祭「富士の巻狩り」 暴れまわる大猪を諏訪神社境内へ追い込み、 子どもが扮した源頼朝公以下の侍たちが射止める。 諏訪神社でマタギ狩りの神事が行われているとは。 やっぱり、諏訪なのですね。 --------------------------------------------------------------- そんな老犬神社に導かれた後は、十和田湖へ向かいました。 ここは、静かな大きな湖ですが、湖畔の静けさは中国で感じた龍の気とよく似ていました。 つづく。 close

マタギ犬を祀る老犬神社
サイト名 秩父・仙台まほろばの道
タグ 東北地方の伝説(秋田県) 神社
投稿日時 2017-08-26 15:40:03

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