◆基礎データ 山号：大雄名山 寺名：万寿常照皇禅寺 宗派：臨済宗天龍寺派 本尊：釈迦如来 創建年：貞治元年（1362年） 開山：光厳上皇 文化財：木造阿弥陀如来及び両脇侍像 北朝初代の天皇となった光厳上皇によって貞治元年（1362年）によって開かれた臨済宗天龍寺派の禅寺…… more 「常照皇寺」、史上にも例を見ない朝廷の分裂による南北朝時代ですが、鎌倉幕府の終焉、建武の新政の失敗、朝廷内に蔓延ってきた派閥争い、そしてその中で後醍醐天皇の皇位に対する執着などがこの悲劇の時代の背景にあるとも言われています。討幕を謀ったとして隠岐に流された後醍醐天皇の失脚を受けて即位した光厳天皇ですが、復権して光厳天皇の皇位を認めず南北に分断した朝廷の南朝に即位した後醍醐天皇に幽閉され、皇位を奪われた後に出家、諸国行脚のうえ、安住の地・山国に寺院を創建、そのわずか2年後に崩御、悲運に終えた光厳天皇の最後の舞台になる常照皇寺です。戦国時代には明智光秀によってこの地は制圧され常照皇寺も全山破壊され焼失しますが、江戸時代になって後水尾天皇の御加護によって末寺7か寺を有するほどの復興を果します。以後、歴代天皇の帰依を得た皇室ゆかりの寺として知られています。 山門 勅額門 勅使門と庭園 周山街道を北上するつもりが車のナビは光悦寺の奥から北上する隘路を指示、すれ違いもままならない不安な時間をひたすら対向車が来ないことを祈りながら走ります。でもそんなに運がいいわけもなくやはり途中数台の車と苦労のすれ違い、そして何とか周山街道へ、その後は嘘のような穏やかな車窓を楽しみながら境内前の駐車場に到着、京都市と言っても最北の地、ついに未踏の山国へ入りました。 菊花紋章の瓦 碧潭池 境内の紅葉 方丈 本尊釈迦如来立像 方丈北の庭園 まっすぐ山門にのびるなだらかな坂道の参道、山門の先には勅額門が、そして勅使門の前には風情ある露地風の庭園が広がります。脇の坂道を上って庫裏の受付で受付を済ませて方丈へ、北側には池泉鑑賞式の庭園が、その先の渡り廊下を進めば開山堂「怡雲庵」へ、その内部には光厳院と思われる座像や釈迦如来三尊像、十六羅漢像など多くの仏像が安置されています。 開山堂「怡雲庵」 阿弥陀如来三尊像と十六羅漢像 境内には光厳天皇お手植えの「九重桜」、後水尾天皇があまりに美しさに御所車を引き返させて見たと伝えられる一重と八重が一枝に咲く「御車返しの桜」、御所の桜を株分けして植えたといわれる「右近桜」など、桜の季節ではなかったのでその美しさにお目にかかることはできませんでした。でも今回は色づく紅葉の鮮やかさ十分といったところで、京の都の北の果て、遠く離れた静かな山里に佇む古刹「常照皇寺」、思い出に残る一寺院となりました。 舎利殿 鐘楼 庫裡の中 close

京都紅葉　常照皇寺　　2017/11/10