お水取り発祥の地、笠置寺で行場巡りの詳細

お水取り発祥の地、笠置寺で行場巡り
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記事タイトル お水取り発祥の地、笠置寺で行場巡り
概要

笠置の桜が見頃だというニュースが流れていた4月上旬、花見も兼ねて笠置寺へと出かけることにしました。笠置町(京都府相楽郡)は奈良と京都の府県境を越えたところに位置し、奈良市街からは車で30ほどの距離。ちょうど木津川沿いの桜は満開となっていました。笠置の町中から寺へと続く急な坂を上っ…… more ていくと、桜吹雪が舞っていました。木津川沿いの桜は満開でしたが、なぜか標高が上がるほど散っているようでした。駐車場に車を停め、坂を少し上ると料理旅館があり、そこからさらに石段を登っていくと山門が現れます。笠置寺の創建は大海人皇子(天武天皇)とも大友皇子ともいわれ諸説あるようですが、笠置山は古くから巨石信仰の霊地であったようです。約1300年前に東大寺の実忠和尚とその師である良弁僧正(東大寺初代別当)によって笠置山の大岩石に仏像が彫刻されてかあらは、その仏を中心として笠置山全体が一大修験行場として栄えていったといわれています。その後寺は荒廃と復興を繰り返しますが、現在もその修行場は「行場めぐり」という形で残されています。入山料を納めてさっそくこの「行場めぐり」を開始。この縄が張られている場所が行場への入口となります。歩き始めるといきなり巨石が現れます。そして見えてきたお堂が「正月堂」です。笠置寺は古くから奈良の東大寺とのつながりがあるお寺で、「お水取り」の開始の場所はここ笠置寺だといいます。東大寺には二月堂、三月堂(法華堂)、四月堂(三昧堂)があるのに一月堂(正月堂)がないと思っていたら、笠置寺にあったというわけです。その正月堂の前にそびえる巨石に刻まれているのが弥勒磨崖仏です。こちらが笠置寺のご本尊ということになります。しかし、現在残っているのは高さ15.6m×幅15mという岩の後背のみ。線刻された弥勒仏は鎌倉末期の戦乱(元弘の乱)に巻き込まれその姿を失っています。こちら正月堂内に飾られていた画像です。岩に残るわずかな痕跡からデジタル技術でそのお姿を復元したものだそうです。正月堂の脇からさらに奥へと進むと、さらなる巨石群が現れます。この岩と岩の間には小さな祠が祀られていますが、ここが「千手窟」と呼ばれる行場だそうです。天平勝宝3年(751年)、実忠はこの千手窟から弥勒菩薩の住む兜率天(とそつてん)に入り、内院四十九院をめぐったといいます。そこで行われた行法を人間界に伝えたのが「お水取り」なのだそうです。お水取りの創始者として実忠和尚の名はしばしば耳にしますが、その始まりの地がここにあったとは驚きです。そして、千手窟の奥にある巨石を見上げると、仏様が彫られているのが見えます。こちらは虚空蔵菩薩だそうで、線刻が綺麗に残っています。この虚空蔵石は、弘法大師が一夜にして彫りあげたという逸話も残されているようです。さらに進むと、巨石のトンネルを通り抜ける「胎内くぐり」があります。笠置山には行場入りする前に身を清める滝がないため、この岩をくぐりぬけることにより身を清めたのだそうです。さらにその先にはある部分を叩けば太鼓のごとく音が出るという太鼓石があります。ここも巨石の隙間を通り抜けて先へと進みます。この辺りまで来ると、道に根っこが張り出し、少々歩きづらくなってきます。さらに斜面を登ると視界が開け、見晴らしのよい場所にでます。ここには「ゆるぎ石」と呼ばれる岩が置かれていました。先にも少し触れましたが、笠置山は鎌倉末期に起きた元弘の乱(後醍醐天皇を中心とした勢力による鎌倉幕府倒幕運動)にまきこまた場所でもあります。この「ゆるぎ石」は、後醍醐天皇側が幕府軍の奇襲に備えるための武器としてここに運ばれてたものだそうです。さらに進んでいくと、ひときわ大きい「平等石」といわれる巨石が現れました。岩の上に登ると、桜越しに木津川の流れが眺望できました。お寺でいただいたパンフレットには「笠置山随一の絶景場所」と書かれています。さて、この平等石から先に進むには、この岩と岩の隙間を進まねばなりません。こはは「蟻の戸わたり」と呼ばれる行場だそうです。この隙間は斜めになっており、見た目以上に通り抜けづらいです。右側の石に寄りかかりながら、なんとか先に進むことがことができました。そこから二の丸跡を経て先に進むと「もみじ公園」があり、そこにはまだ綺麗に桜が咲いておりました。さらに公園の近くからは、上に続く石段があります。これを登ると、元弘の変で後醍醐天皇が入られたという行在所跡がありました。ここが笠置山の山頂のようです。石段を下り、最後に大師堂にお参りして、行場巡りは終了です。写真を撮りながらゆっくり歩いて40分ほどの道のりでした。御朱印はこちら。「弥勒佛」笠置寺(かさぎでら) 見仏メモ■住所:京都府相楽郡笠置町笠置山29■山号:鹿鷺山(しかさぎざん) ■宗派:真言宗智山派■本尊:弥勒仏■創建:682(白鳳11)年■開基:大海人皇子(天武天皇) ※諸説あり■入山時間:9:00〜16:00■入山拝観料:300円■交通:JR関西本線笠置駅より、徒歩45分■駐車場:あり■今回見仏した御仏   ・十一面観音立像■公式サイト:【笠置寺 巨石と雲海の山】■地図  close

お水取り発祥の地、笠置寺で行場巡り
サイト名 南都を一望す、日本を一望す
タグ お寺 見仏(京都)
投稿日時 2018-04-20 01:41:01

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