宗派：臨済宗妙心寺派 創建年：応永11年（1404年） 開基：波多野重通 開山：無因宗因（妙心寺第三世） 中興：亀年禅愉 全国に約3,500か寺を持つ日本最大の禅寺、臨済宗妙心寺派大本山「妙心寺」、境内には40余りの塔頭寺院が建ちますが、その中でも「屈指の古刹」といわれ…… more ている「退蔵院」、応永11年（1404年）、越前国の豪族・波多野出雲守重通が、妙心寺第三世、後に「妙心寺の三祖」と仰がれる無因宗因禅師を開山として千本通松原に創建、日峰宗舜により妙心寺山内に移されます。例にもれず退蔵院も応仁の乱で妙心寺とともに炎上、その後一時期衰退しますが、後奈良天皇の帰依が深かった亀年禅愉によって中興され現在に至ります。 庫裡前 観音様 方丈前 方丈南側は一面に苔が張りつめた平坦地に赤松を植栽されたのみの前庭が、西側には室町時代に画聖・狩野元信が作庭したと伝えられる「元信の庭」、そして昭和を代表する作庭家・中根金作の池泉回遊式庭園「余香苑」、2600平方メートルの敷地に四季折々の美しい景観を楽しむことができます。他にも物事や人の心の二面性を敷砂の色に表した「陰陽の庭」、江戸時代中期に作られた水琴窟など見どころ多しといったところです。 方丈南側の前庭 方丈西側の「元信の庭」 「陰陽の庭」（黒砂の「陰」） 方丈内には、水墨画の祖といわれる画僧・如拙の描いた室町時代の国宝『瓢鮎図』（京都国立博物館に寄託）のレプリカが飾られています。将軍足利義持の命により描いた日本最古と伝わる水墨画、「ただでさえ捕まえにくいなまずを、こともあろうに瓢箪で捕まえようとする、この矛盾をどう解決するか」という、いわゆる「禅問答（公案）」に対し相国寺、天龍寺の住持を務めた高僧・大岳周崇をはじめとする当時の京都五山の高僧連31人が頭をひねって書かれた賛詩（回答）が添えられます。漢詩ですからその場ではまったくわかりませんでしたが、帰って調べてみると頓智のきいた答えもあってなかなか面白いこと。描かれた絵は現存する如拙の作品の中で最高傑作といわれているだけあってレプリカながら精巧にできていてとても素晴らしいものです。 ミシュラングリーンガイドジャポンの二つ星「余香苑」 水琴窟 残り雪を期待しながらの退蔵院、特にミシュラングリーンガイドジャポンでも、二つ星を獲得した「余香苑」の雪化粧、美しい景色が広がっています。そいえば何年か前、外国からの団体客に英語でしっかりした説明を、グローバルな僧侶がいらっしゃるもんだと思っていたらなんと副住職、退蔵院のHPによれば、外国人に禅体験を紹介するツアーを企画、外国人記者クラブや各国大使館で講演を多数行うなど日本文化の発信・交流が高く評価されて観光庁Visit Japan大使として活躍されたり、日本の禅宗を代表してヴァチカンで前ローマ教皇に謁見、また日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談、などなど世界各国で宗教の垣根を超えて活動中…　という方でした。妙心寺境内で通常拝観できる塔頭寺院はほんの数か所、あとの寺院は特別拝観を楽しみに待つ、そんな数年が続いています。JR「花園駅」からも嵐電「妙心寺駅」からもほんの数分、でも団体客さえなければゆっくり楽しめ、いつもながら四季の移ろいを楽しませていただきます。今回は白銀、でも陰陽の庭ではおすすめのビュースポット「枝垂桜」の枝の手入が行われていて少し残念、次回に乞うご期待といったところです。 2013.12.01「紅葉」 close

京都　妙心寺塔頭退蔵院　　2018/01/25