もう先月のこととなりますが、「大元興寺諸仏展」と「大元興寺展」が行われている元興寺を訪ねてきました。秋季特別展期間中の拝観料は600円。普段より100円増しとなりますが、逆にいえば100円で特別展が観覧できることになります。まずは国宝の極楽堂で、知光曼荼羅を拝観。そして、いよいよ…… more 「大元興寺諸仏展」の会場である法輪館へ。館内に入るとすぐ正面には、薬師如来像（国宝、華厳宗元興寺所蔵・奈良国立博物館寄託）、一面観音立像（重文、華厳宗元興寺所蔵・奈良国立博物館寄託）、清涼寺式釈迦如来立像（重文、奈良国立博物館所蔵、小搭院ゆかり）の３体が鎮座されておりました。現在、元興寺は真言律宗元興寺（極楽坊）、真言律宗小搭院、華厳宗元興寺（塔跡）の三つのお寺に分かれていますが、元興寺の創建1300年（飛鳥の法興寺が平城京に移されて1300年）を記念し、宗派を超えて元興寺ゆかりの仏像が奈良博より里帰りされたということです。いずれも「なら仏像館」でしばしばお見掛けする方々ですが、やはり博物館で「見る」のと、お寺で「拝む」とでは有難さが違う気がします。（「大元興寺展」図録）さらに二階では「大元興寺展」もおこなわれています。元興寺とそのゆかりの寺院が所蔵する出土遺物や彫刻、絵画、古文書などが展示されており、文殊菩薩や、釈迦誕生仏、地蔵菩薩などの仏像を拝むこともできました。法輪館を出たら境内を散策。法輪館の前から境内奥には石塔・石仏が並べられた浮図田があります。ちょうど彼岸花も咲いておりました。振り返ると、浮図田越しに極楽堂と禅室を眺めることができます。屋根瓦の色や形が他と異なっている部分が、日本最古の瓦（飛鳥時代）となります。最後にご朱印を受け取り、一つ目の元興寺の拝観は終了。ちなみに、こちらのご朱印は創建千三百年記念の限定朱印となっており、年内いっぱい拝受できるようです。「佛法元興」そして、この後は今回拝観した3像のゆかりの地を巡るこちにしました。いずれも「ならまち」内にあるので、徒歩で5分ほどの場所にあります。まずこちらは西新屋町にある小搭院。この小さな門は「ならまち」の古い街並みにすっかり溶け込んでおり、ここがお寺だと気づかない方も多いのではないかと思いますが、今はさりげなく「元興寺創建千三百年」の看板が立てかけられておりました。先ほど拝んだ清涼寺式釈迦は小搭院ゆかりの仏像なのだそうです。現在は小さなお堂が建ち、虚空蔵菩薩が祀られています。そして、さらに3分ほど歩くと、芝新屋町にあるのが華厳宗の元興寺です。御霊神社のすぐ北側に山門があります。ここにもやはり「元興寺創建千三百年」の看板が立っておりました。ここにあった五重塔は江戸末期に焼失しており、現在は礎石が残るのみですが、先ほどの拝観した国宝の薬師如来立像はここにあった五重塔に祀られていたそうです。また現在は本堂として再建されている観音堂には十一面観音像が祀られていたということです。雨が降ったりやんだりのあいにくの天候ではありましたが、この日は３つの元興寺を巡って帰途につきました。元興寺（がんごうじ）　見仏メモ■真言律宗 元興寺（極楽坊）・住所：奈良県奈良市中院町11・本尊：智光曼荼羅図・特別展：　　「大元興寺諸仏展」　2018年9月13日～9月27日（※終了）　　「大元興寺展」　　2018年9月13日～11月11日・公式サイト：【元興寺公式サイト・元興寺文化財研究所公式サイト】・今回見仏した御仏　　　薬師如来立像 － 国宝、平安時代、木造、像高164.5cm、華厳宗元興寺所蔵　　　十一面観音立像 － 重文、鎌倉時代、木造、像高190.7cm、華厳宗元興寺所蔵　　　釈迦如来立像 － 重文、鎌倉時代、木造、像高78.7cm、奈良国立博物館所蔵■真言律宗 小搭院（小搭院跡）・住所：奈良市西新屋町45・本尊：虚空蔵菩薩■華厳宗 元興寺（塔跡）　・住所：奈良市芝新屋町12　・本尊：弥勒菩薩■地図　■関連書籍　　「わかる! 元興寺 ―元興寺公式ガイドブック―」■「元興寺」関連の記事【元興寺（極楽坊）を一望す】（2014/06/06）【もう一つの元興寺へ】（2014/06/13）【小塔院前を通りかかると】（2014/06/13） close

「大元興寺諸仏展」と３つの元興寺巡り