上黒岩遺跡と御三戸神社・謎めいた縄文ヴィーナスと人骨が語ることの詳細

上黒岩遺跡と御三戸神社・謎めいた縄文ヴィーナスと人骨が語ること
神秘と感動の絶景を探し歩いて  Beautiful superb view of Japan
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記事タイトル 上黒岩遺跡と御三戸神社・謎めいた縄文ヴィーナスと人骨が語ること
概要

愛媛県の久万高原町上黒岩の御三戸嶽(みみどだけ)については、『2018/08/21:御三戸嶽・清流に浮かぶ七色の奇岩絶壁』の記事で紹介しています。面河川と久万川の合流地点にそびえ立つ、高さ約40mの奇岩です。これは御三戸神社の磐座、つまり本来のご神体なのですが、現在の御三戸神社は…… more かなり離れたところに鎮座しています。ふつう磐座と言えば、本殿の裏など、境内にあるのですが、ここではなぜ別々に存在するのか。ちょっとコワいその理由が、境内の由緒書に書いてありました。あまりの神威に近寄りがたく、困り果てた村人が、ここを遥拝殿としてお参りできるようにしたというのです。近くへ行くと、いろいろ恐ろしいことが起こったのでしょう。「荒神」とも書かれていますが、以前に記事にしたように、荒神は祀り方を間違えると祟るとされますから、「さわらぬ神にタタリなし」状態だったのでしょうね。また、郡内で最も古い神社で、古来より地方信仰の中心として崇敬されたとも記されています。  ☆では、これらの強烈な畏怖感は、どこに由来するのでしょう。私は、御三戸嶽が縄文以来連綿と続く聖地で、この地に来たものは皆、この先住の神に遠慮しながら祀っていたのではないか、そんな気がします。まあ現代で言うと・・・景観の良い別荘地を安く手に入れたものの、敷地内に地元の古老が恐れる不気味な塚が存在した。困ったな、どう対処したらいいのか・・・・まあ、そんなイメージかもしれません。もともと自分たちが持ち込んだ守護神なら、遠くから遥拝して誤魔化すなんてことはしないはずです。もしその推測が正しいなら、この地に古くから祀られる恐ろしい神様とは、どんな由来の神様なのでしょう?  ☆御三戸神社のすぐ近くに、上黒岩岩陰遺跡(かみくろいわいわかげいせき)があります。ここは、1961年に近くの中学生によって発見されて一躍有名になった遺跡です。発掘調査の結果、第1層から第9層まで遺物が包含されており、縄文時代草創期から縄文時代後期までの1万年近くにわたって使用されてきた岩陰であったことが判明しました。特に第4層からは縄文時代早期の埋葬人骨、第9層からは縄文時代草創期の細隆起線文土器、有舌尖頭器、矢柄研磨器、削器、礫器、緑泥片岩製の礫石に線刻した岩版7個などが一括して出土するなど、極めて重要な遺跡なのです。屋根とフェンスで覆われた発掘現場がここです。中に入ると、発掘当時の様子がそのまま残っています。隣接する資料館に入ってみましょう。これが日本で最古の「ひとがた」と言われる「縄文ヴィーナス」です。川原石に線刻されたこの女性像は、南アメリカでも全く同じものが出土しており、ミステリーとしてテレビの特番にもなったそうです。素人目には、なんだかよくわからないのですが、この女神像線刻礫は、鋭利な剥片石器を用いて女性像を礫に描いたもので、信仰の対象だった可能性が指摘されています。この種の像が出土したのは日本では上黒岩岩陰遺跡が初めてで、同じ土層からはおよそ1万4千5百年前の、発見当時としては世界最古級の土器も出土したというのですから、まさに日本史のお宝。  ☆さらに、あまりに生々しい全身骨格も展示されています。写真と違って、目の前に横たわる骨の衝撃は相当のものです。この人は、数千年前にここでどんな生活をしていたのか、何を考えていたのか、思わずリアルに考えてしまいます。恐山のイタコさんを連れてきたら、縄文時代のことを語ってくれたりして・・・。しかしまあ、今の日本語とはかなり違うだろうから、口寄せしても無理かあなんて、小学生にもバカにされそうな想像をついついしてしまいました(―_―)!! ☆このブログでも何度か紹介してきたように、縄文起源、弥生起源と推測される神社はたくさんあります。そしてその信仰を遡ると、いわゆる原始神道・自然神道に達します。この地の人々が畏れ、崇敬した御三戸嶽は、この骨の人物が生きていた頃から、信仰の対象になっていたのではないか・・・確たる証拠はないのですが、そんな気がします。そして遺跡の上は岩屋です。このような場所は、日本における伝統的な信仰の場でした。しかも、最初の写真で分かるように、人が大勢長期間住めるような広さでもありません。そのため、ここは常住ではなく、一時的に来ていたのではという説もあるようです。日本の伝統的な信仰形態である岩屋と、信仰の対象とされる「縄文ヴィーナス」。そして人骨。ここは、縄文祭祀の場という側面がある岩窟ではなかったのか。御三戸嶽とこの岩屋が、縄文信仰に関わる場であったなら、その伝統から後世生まれたのが御三戸神社だったのではと、そんな気がしてなりません。家計と休日予定をやり繰りして全国を回っております。ネタ不足の自転車操業ですが、よろしければ三つクリックしていただくと励みになります。にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

上黒岩遺跡と御三戸神社・謎めいた縄文ヴィーナスと人骨が語ること
サイト名 神秘と感動の絶景を探し歩いて  Beautiful superb view of Japan
タグ 神社 遺跡
投稿日時 2018-12-09 00:40:04

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