東京都府中市宮西町5丁目1番地。府中高札場。裏には大國魂神社御旅所。 この場所は甲州街道と北上する川越街道、南下する相州街道（現府中街道）が交差する交通の要でした。 甲州街道…『甲州街道の名は、この道が甲州へ通じることに由来します。この道は、慶安頃（1648-52）に開設され…… more た江戸と甲州を結ぶ幹線道で、五街道 の一つです。』 府中小唄ゆかりの地「⑤御旅所」。 『六社明神さま暗闇祭りヨ 闇に旅所へ渡御なさる あれは灯じゃない空の星 星され府中を出てのぞく』 府中高札場（東京都指定旧跡、所在地：府中市宮西町5の1の1、標識：昭和4年10月、指定：昭和30年3月28日。）…『江戸時代に、禁制・法令等を伝えるために掲げた板札を高札といいます。高札は交通の多い場所などに掲げられましたが、このような場所は高札場と呼ばれます。府中高札場は、甲州街道、川越街道及び相州街道が交差する府中宿の中心を占める場所でした。高札場の裏手は、大國魂神社の御旅所があります。札掛けは屋根を有しており、ここに6枚くらいの高札が掛けられていたといわれています。この高札場の建物に関しては、江戸時代後期から末期にかけての年代が推測されています。平成24年3月建設東京都教育委員会』 大國魂神社御旅所。大國魂神社のくらやみ祭は、主に5月3日から6日にかけて行われる例大祭で、武蔵国の「国府祭」を起源としており、東京都指定無形民俗文化財となっています。室町時代の文書には「五月会」と記録があり、江戸中から見物人が多く訪れており、その後、地域住民の祭礼へと発展していきました。かつては深夜の暗闇の中で行われていたため「くらやみ祭」と呼ばれるようになりましたが、多くの提灯が建てられたため「ちょうちん祭」、神輿が御旅所で出会うことから「出会い祭」などとも呼ばれます。また「けんか祭」と呼ばれたこともあったそうです。江戸名所図会では江戸近郊で盛大に続けられている古い祭りとして紹介されており、「五月五日六所宮祭礼之図」が掲載されています。徳川幕府の時代に現在の神幸の形になったようで、神輿渡御は午後11時頃に開始され、翌日午前3-4時頃に神社に戻ったそうですが、昭和34年に午後4時渡御開始、翌日午前4時に還御開始と改められ、平成15年には午後6時渡御開始となるなど、時代背景に応じて柔軟に変化しています。神輿は従来、本殿から御旅所へ直接向かっていましたが、より多くの人に楽しんでもらうため、参道にあたる馬場大門のケヤキ並木を抜けて一周し、御旅所へ向かうルートに変更。約400年前に宿場の位置が動いたのに伴い巡行路も変更した記録があり、ルート変更はそれ以来。八基の神輿は白丁を身にまとった威勢の良い担ぎ手と大太鼓に導かれて御旅所まで渡御します。府中市の中心部を六張もの大太鼓と八基の神輿が回る壮大な「くらやみ祭」の期間中は約70万人の人出で賑わうそうです。なお神輿や大太鼓は大國魂神社の宝物殿で見ることができました。 府中高札場の向かいにある「酒座中久本店」。 その横にあった案内板「札の辻と問屋場跡」より…『甲州街道（道中）と鎌倉街道が鍵の手に交るところに札場があったところからこの界隈を「札の辻」「鍵屋の辻」と呼び親しまれていました。安政6年（1859年）府中宿本町に大火があり、それを機に萬延2年（1861年）中久本店の店蔵を防火建築物として再建。隣地は問屋場＜江戸時代の宿駅・人馬・駕籠などの継ぎ替え所＞であったため、大道芸人の辻芸を楽しむ人々等で賑わい、武蔵府中の中心として栄えました。』 close

大國魂神社御旅所 ・ 府中高札場