昨日の続きです。その昨日載せた写真ですが、極めて重要なことが書かれていました。六所権現影向石(天地四方を照す岩)当山開闢武内宿禰大臣　此の聖地に於いて祈願し　三百歳以上の長寿を全うす。と書かれています。そして後世、聖徳太子が宿禰の長寿にあやかり、当寺を長命寺と名付けたと伝えられて…… more います。ウィキペディアにも、本堂裏の「六所権現影向石」をはじめ、境内各所に巨岩が露出しており、かつての巨石信仰の名残と考えられている。と書かれているように、仏教以前からこの地には、原始信仰・巨石信仰があった地と考えられています。では、ところどころに巨石が顔を出す、長命寺の美しい境内をご覧ください。　　☆さて、巨石信仰の対象かと思われる岩はたくさんあるものの、やはりこの岩の存在感は群を抜いています。この赤褐色の岩肌が、ところどころ剥げ落ちているように見えるのは、いったい何を意味するのか？「天地四方を照す岩」と書かれていますから、かつては全面が赤く塗られていたのでしょうか？太陽の光を反射して、山麓や遠く琵琶湖の湖面からも目立った可能性があります。さらに、まるで巨岩を上に載せたような構造。もちろん節理と風化でたまたまこんな構造になったのかもしれません。しかし、古代巨石文化として、何らかの意図を持って造られた可能性もあるでしょう。類例は、この岩です。安達ケ原の鬼婆伝説・巨石と人骨と縄文土器の謎上の記事にも書いたように、巨石群・不思議な構成の岩屋・人骨と縄文土器や弥生土器・さらには人骨が発見されているのは、ここが縄文時代の祭祀遺跡であった可能性があると考えています。それは、この長命寺でも同じです。滋賀県教育委員会編集発行の『長命寺湖底遺跡調査概要』によれば、実に十三ヶ月にわたる調査で、縄文時代後期・晩期の土器や石器と丸木舟が出土。長命寺参道直下の琵琶湖の湖底から、縄文土器、弥生土器、須恵器など、遺物整理用コンテナ・バットで１５０箱もの遺物が発見されているのです。その発掘風景です。鋼鉄のパネルで区切り、排水して湖底を調査するのは大変だったでしょうね。(いずれも『長命寺湖底遺跡調査概要』より)ついでにもう一つ、広島県福山市神辺町上御領、御領山の巨石です。これもまた、ヤンキー系ロックバンド、氣志團（きしだん）の綾小路翔さんを想い出すような石組みですが、麓の御領遺跡から出土した土器に描かれた、弥生時代の船がこれです。ここからわかることは、弥生時代、御領の近くに大型船が着く港があったこと、瀬戸内海には大型船が行き来していたことなのだそうです。同じように、琵琶湖の長命寺山の麓からも、縄文時代の丸木舟が出土し、港の湖底には縄文・弥生土器が発掘されました。はたしてこれらは、ただの偶然なのでしょうか？その縄文人や弥生人が、頂上や中腹にある奇妙な巨石を信仰していた、あるいはそれ自体を造ったという確実な証拠はありません。しかし妙義山でも述べたように、縄文ランドスケープの観点からは、これらが原始信仰の対象となっていた可能性は十分あると思います。まあ単なる妄想かもしれませんが、ひょっとしたら程度に、縄文ロマンとして楽しんでいただければ幸いです(^^♪取材とネタに苦労しておりますが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

長命寺の聖地・天地四方を照す岩とは？