稲佐の浜の感動秘話と出雲大社の龍蛇信仰の詳細

稲佐の浜の感動秘話と出雲大社の龍蛇信仰
神秘と感動の絶景を探し歩いて  Beautiful superb view of Japan
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記事タイトル 稲佐の浜の感動秘話と出雲大社の龍蛇信仰
概要

稲佐の浜は、出雲大社の西方1kmにある海岸です。ここは日本神話における国譲りや国引きなどの舞台として、極めて重要な場所だと言えます。またこの浜は、旧暦10月10日に、全国の八百万の神々をお迎えする場所ともされます。この神々をお迎えするお祀りが「神迎神事」で、様々な楽器の音色ととも…… more に祝詞が奏上され、特別な掛け声でふたつの神籬に神々をお迎えします。次に、神籬に降りた神々を出雲大社へとお連れするのですが、その集団を先導するのは誰なのか?それは「龍蛇さま」です。神籬は両側を絹垣で覆われ、龍蛇神が先導となり、高張提灯が並び奏楽が奏でられる中、出雲大社へ行列となって向かいます。では、行列の先頭に奉られる「龍蛇さま」の正体は、いったい何者なのでしょう。その答えは、「セグロウミヘビ」なのです。(ウィキペディアより)出雲大社に限らず、この出雲地方では「龍蛇様(セグロウミヘビ)」は「神々の先導役」と古くから伝承されており、海岸に漂着すると神社へ丁重に祀ります。・・・・では、稲佐の浜と出雲大社の龍蛇信仰をしっかり踏まえて、昨日のテーマに戻ります。朝山小学校の子どもたちが学習していたこと昨日も述べたように、出雲市立朝山小学校は、残念ながらこの三月で廃校となりました。しかし学校のブログはまだ残っているので、朝山エリアの地域学習に何か参考になる事象はないか調べていると、こんな記事がありました。朝山小学校のブログ (2019年2月 6日)より3年生の総合的な学習では、県指定の無形民俗文化財で見々久地区に継承されている「見々久神楽」について学びました。講師には、見々久神楽保持者会の天喰さんを招いて、前半は神楽の歴史や面の種類などを説明していただき、後半は舞いを教えていただきました。子どもたちは榊と小幣を両手に持ち、真剣な表情で舞っていました。ゆとり教育のシンボルとして、「総合的な学習」をよく思わない評論家もおられるようですが、文科省の調査統計では、「総合的な学習」をきちんと計画的に実施している都道府県の方が学力が高いという結果が出ています。この朝山小では、三年生の「総合的な学習」において、見々久神楽にチャレンジされていたのですね。地域の伝統に親しみ、それを受け継ぎ守る意識を自然と身に着ける、素敵な取り組みだったと思います。きっとこの学校は、学力も高かったのでしょう。さらにもう一つ気になったのが、これです。朝山小学校のブログ (2018年12月19日)より 12月8日(木)に人権集会を行いました。講師には、元出雲第二中学校の校長先生の岩崎 巌先生をお迎えし、人権集会を行いました。第1部では、30年の時を経てフィリピンから稲佐の浜に流れついた「奇跡の椰子の実」の実話について、DVDを観たり、語りを聴いたりする中で、ふるさとの良さや友情、家族愛などについて学びました。なかなか素敵な「人権集会」ですね(^_^)/~東日本出身の方はピンとこないでしょうが、西日本の学校では「人権集会」的な取り組みを行う学校がよくあるようです。「差別やいじめは絶対にやめましょう」というタテマエだけの時間にならないように工夫するのが難しいのだとか。しかし「奇跡の椰子の実」は、子どもたちの心を揺さぶる素晴らしい教材だったことでしょう。「奇跡の椰子の実」とはどんな話なのか?ネットにもわずかに記事がありましたので、簡単にまとめます。昭和50年7月13日、出雲市に住む岡さんは、稲佐の浜で釣りをしていた時に、椰子の実を見つけます。その椰子の実には、表皮に昭和19年7月10日  所原 陸軍伍長 飯塚正市君と書かれていました。(市報松江 2015年10月号 より)所原とは、朝山付近の地名です。岡さんは所原で煙草栽培をしている飯塚正市さんを探し出して、椰子の実を渡します。その飯塚さんは、戦時中に陸軍衛生兵として病院船の任務に従事していました。その時知り合いだった、同郷の山之内さんが椰子の実を流したのではと考え、山之内さんの住所を訪ねますが、すでに廃屋になっていました。ところが偶然にも、お墓参りに来ていた山之内さんの妻、きよ子さんとばったり出会います。その椰子の実を見せると、きよ子さんの表情が変り、突然泣き崩れました。きよ子さんが大切に持っていた手紙には「近く飯塚君が帰国する」などと戦地での飯塚さんとの様子が克明に記されていて、椰子の実の筆跡とまったく同じものだったそうです。(上の写真は「おばまブログ ~わたしの想い~」様のブログ「2018年9月16日日曜日」の記事からお借りしました。 )つまり、フィリピンのマニラ船舶司令部に所属していた山之内さんは、昭和19年、戦況悪化でルソン島のジャングルへ後退する前に、望郷の思いから椰子の実に友人の宛名を書いて、そのまま海に流したのです。その1年後には山之内さんは戦死。しかし、海に流した椰子の実は31年間海を漂流し続け、昭和50年7月13日に島根県大社町稲佐の浜へ流れ着いたところを岡さんに拾われたというわけです。これは、テレビでも放映されたことがあるそうで、まさに奇跡としか言いようがありません。椰子の実を見た時の、きよ子さんの気持ちを思うと、デリカシーのあまりない私でさえ、しばらくは感無量でぼーっと考え込んでしまいました。2つの海流と椰子の実しかしよく考えてみれば、フィリピンと日本の距離は約3000km。31年間で単純に計算すると、時速0.01㎞という、極めて遅いスピードで移動したことになります。最大流速が最大で4ノット(時速約7.4km)にもなる黒潮の流れを考慮すると、時速0.01㎞でゆっくり海上を進んだと考えるのは無理があります。黒潮に乗ったり外れたり、行ったり来たりしたはずです。下は、日本列島近海の海流図です。海流の4番は対馬海流で、8番はリマン海流です。この図を載せたウィキペディアによると、リマン海流は、間宮海峡付近からユーラシア大陸に沿って日本海を南下する寒流です。朝鮮半島に当たったリマン海流は、冷海水として南下するため、蔚山付近の海岸では夏でも普通の人には非常に冷たく感じ、海水浴が難しいそうです。その蔚山は釜山の少し北に位置し、対馬まではわずかな距離しかありません。私の勝手な想像ですが、対馬海流で日本海を北上した椰子の実は、北海道周辺でリマン海流に乗って南に向かい、蔚山や釜山の沖合で再び対馬海流に乗るという周回移動を、31年間続けていたのではないのでしょうか。客観的には何十億に一つの偶然なのかもしれませんが、関係者の方々にとっては当然、単なる偶然の出来事ではなかったでしょうね。「♪~名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ」の歌詞は、伊良湖岬に滞在した柳田國男が浜に流れ着いた椰子の実の話を島崎藤村に語り、藤村がその話を元に創作したものです。暖かい土地で生まれた椰子の実は、黒潮本流で太平洋岸に流れ着くことはよく知られていますが、まさか出雲の海岸、それも全国の神様にとっての玄関口とされる稲佐の浜に、フィリピンの椰子の実が流れ着くとは!セグロウミヘビはどこから来たのか?セグロウミヘビの話題に戻ります。この海蛇は、当然ながら日本産ではありません。では元々どこにいるのか。下は、National Geographic  2016.08.29のニュースです。セグロウミヘビ、「漂流」で太平洋を横断かクジラに匹敵する移動距離、唯一の外洋性ウミヘビ手足がなく細長い体の爬虫類が、海流に乗るだけで大洋を旅していることを示す新たな証拠が見つかった。  唯一の外洋性のヘビで毒をもつセグロウミヘビ(Hydrophis platurus)が、海流に乗って何千キロも移動でき、おそらくは10年以上にわたり合計3万2000キロにもおよぶことがコンピューター・シミュレーションで示されたのだ。少なくとも理論的には、フィリピンからハワイの東まで、またはメキシコからインド洋西部のモーリシャス島まで、海に浮かんで移動できたことになる。ナショナルジオグラフィックによれば、この海蛇はフィリピンなどの低緯度海域に生息していて、海流に乗って大洋を旅しているのです。先の椰子の実と同じで、フィリピンなどの海域から、黒潮と対馬海流に乗って出雲に達していることになります。もちろん低水温には弱いはずですから、「死滅回遊魚」と同じで日本海を生きて周回することはないでしょうが。出雲という古代の国際ターミナル出雲といえば、「裏日本」という陰気なイメージがあります。あるいは朝鮮半島経由で大陸文化が流入したというイメージもあります。しかしそれだけではなく、フィリピンからロシアに至るインターナショナルな「日本海ロータリー」のターミナルであったと考えることも必要でしょう。下は、出雲大社に隣接する島根県立古代出雲歴史博物館の展示物です。特に目を引く下の展示は、出雲市斐川町神庭の小さな谷間にある荒神谷遺跡から発掘された、銅剣358本の一部です。荒神谷遺跡における銅剣は、一箇所からの出土数としては最多であり、日本古代史学・考古学界に大きな衝撃を与えました。ウィキペディアには、時代が下って編纂された「式内宮」として認められた神社の、出雲地方での総数と出土した銅剣の本数との奇妙な一致があげられる。とあるなど、荒神谷遺跡の謎はあまりに大きく、いまだに解明されていません。遺跡の博物館では、広く推理論文を募集して、佳作をいくつも冊子にのせて販売していました。専門家でも筋の通った仮説が立てられないことがよくわかります。従来の思考方法では、謎は解けないようです。古代出雲の謎は、稲佐の浜という高天原からの使者、武甕槌神が来臨し出雲大社の聖なる龍蛇と全国八百万の神々とフィリピンからの椰子の実とが依り来るという特別な場所が、たまたま伝説の重なっている、単なる浜辺とのみ考えるのではなく、フィリピンからロシアに至るインターナショナルな「日本海ロータリー」の重要な文化的ターミナルであったと考え、多文化の視点から推理する方が、より実像に迫ることができるのではないかと思う次第です。ひょっとすると、出雲大社の近くにある浜だから稲佐の浜が有名になったのではなく、稲佐の浜があるから出雲大社がその近くに建てられた、とは考えられないでしょうか?上の写真は、沖合から見る稲佐の浜です。左の道路を奥に進むと、すぐに出雲大社の鳥居です。出雲大社の祭神は、正面ではなく、西を向いていることが謎とされてきましたが、稲佐の浜とその彼方を向いているとすれば納得がいきます。本殿が高ければ、直接浜辺が見えることは以前の記事に書きました。いずれにしろ、出雲の謎は、想像以上に深いように思います。取材とネタに苦労しておりますが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

稲佐の浜の感動秘話と出雲大社の龍蛇信仰
サイト名 神秘と感動の絶景を探し歩いて  Beautiful superb view of Japan
タグ 神社 神話 伝説
投稿日時 2019-06-02 03:40:03

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