島根県松江市東出雲町揖屋に鎮座する揖夜神社（いやじんじゃ）は、幾重にも重なる神秘のベールがあるお社です。まずは境内。ここにもあった藁の龍蛇何より驚いたのは、藁(わら)で作った龍蛇などがぎっしりと置かれていることでした。京都市の山科で見た、藁の大蛇ひとつで驚いたくらいですから、この…… more 揖夜神社境内の雰囲気はまさに衝撃的。穂掛祭という船と岩の祭儀毎年8月28日に行われる揖夜神社の穂掛祭は、神前にお供えをして田の神に感謝する祭りです。この後、御神輿は近くの灘から神船に移され、崎田鼻の神石「一つ石」へ向かいます。その神船は、満艦飾の各町内のお供船が一列に並んで曳航する例になっているそうです。(「でれすけ。　地域密着型流山本町八木道洋品店的ブログ」様より)そして「一つ石」での豊作豊漁祈念の祭事が終わると、神船は夕方西揖屋の西端の灘に戻ります。このパターンは、先日記事にした「河内祭」とよく似ています。この海洋系祭祀文化の源流は、両者おそらく同一でしょうね。先日、日和佐の大浜海岸に浮かぶ立島は禁足の小島で、秋祭りのときに神輿が立島へ向かって出ていき、海の中に浸かって戻るという貴重な情報をいただいたばかりですが、陸に近い岩礁や小島に鳥居や祠がある島嶼信仰的景観は、日本全国の水辺に無数に存在します。たとえ現在は廃れていても、昔は立島や河内島のように、島をめぐる祭祀があった可能性が高いと思います。そしてそれらの祭儀の源流のひとつは、この穂掛祭ではないでしょうか？あの世との境揖夜神社の近くには、以前紹介した。黄泉比良坂の比定地があります。また東南方向十数キロには、安来市の比婆山と関連神蹟もありました。正史に記された不吉な出来事とは？『日本書紀』には、揖夜神社で起こった不吉な出来事が、天皇崩御という最凶の不吉を予兆したとする記述があります。何が起こったかというと、斉明天皇5年の条に「狗、死人の手臂を言屋社に噛み置けり」とあるのです。つまり、狗(イヌ)が死んだ人の手を言屋社(揖屋神社)に置いたという、なんとも気持ちの悪い出来事です。そして斉明天皇７年7月24日、遠征中の天皇は朝倉宮で崩御しますが、その時にも不思議な話が語られます。崩御の翌月、遺体を磐瀬宮へ移す時に、「是夕於朝倉山上有鬼、着大笠臨喪儀、衆皆嗟怪」つまり、朝倉山の山頂に大笠を着た鬼が現れ、葬列を見下ろしていたというのです。そしてそのまま日本は、白村江の戦いで大打撃を被ることになります。揖夜神社で起こった不吉な出来事は、朝鮮半島進攻へと突き進む、斉明天皇と中大兄皇子、そして日本という国家に対する、黙示録的な啓示という気がしてなりません。少なくとも、あえてこれらを『日本書紀』に記した理由は感じ取れます。いずれにしろ揖夜神社一帯は、死者の国、冥界の王とつながる不思議な土地だったのでしょうね。そう思うと、藁の龍蛇の顔が、いっそう凄みを増して迫ってくるような気がしました。え？もし明日にでも、揖夜神社境内に不吉なものが見つかったら、なんか怖いなあって？いやいや、『日本書紀』のころの怪しいウワサにすぎないのですから、そんな迷信や流言を令和の現代に持ち込んで気にすることは全くありません。黙示録的な予兆なんて、あるわけないと断言できます。・・・・・まあおそらくというか、多分 (汗) 取材とネタに苦労しておりますが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

揖夜神社・出雲の奥深い謎を秘めた神秘の古社