野本寛一先生の『神と自然の景観論』に画像を添えて、勝手な感想を書くという、野本先生には迷惑な？シリーズです。この本の36ページに、「熊野川の河口閉塞と熊野阿須賀神社」という項目があります。熊野川右岸河口から1.3キロの地に照葉樹に蔽われた円錐形の小山があり、旅人の眼をひく。標高4…… more 0ｍのこの山は、徐福漂着伝説とからめて蓬莱山とも呼ばれる。山の南すそに鎮座する阿須賀(あすか)神社はもと熊野速玉大社の摂社であり、・・・(略)境内からは、弥生時代の竪穴、土師器、須恵器、祭祀用手こね小型土器、滑石製臼玉などが出土し、鎌倉時代の懸仏も出土している。これが、その阿須賀神社と蓬莱山です。境内にある、弥生時代の住居跡です。遺跡の説明がありました。本殿横には、磐座もありました。『神と自然の景観論』には、大場磐雄氏の言葉が引用されています。「阿須賀神社の根源は背後に聳える蓬莱山にあった。最初は熊野河口に孤立した斎き島であったろう。海上航行の船人達からも信仰の対象とされたに相違ない。」蓬莱山は、熊野信仰が広まるはるか昔、弥生時代から神聖な山だったのです。後世、熊野三山信仰に組み込まれても、速玉大社の御船祭で神霊をまず阿須賀神社に鎮めたり、神倉神社の御燈祭で神幣を迎え納めるなど、重要な役を担っています。この由緒書きをご覧ください。熊野権現は、始め神倉山に降り、次に阿須賀の森に移ったと書かれています。これが、その神倉山の巨大な磐座であるゴトビキ岩です。岩の間には、白石の敷かれた祭祀場もあります。そして、これらの岩の上に登ると、岩の谷間から蓬莱山が望め、それはまた夏至の朝日が昇る方向です。オレンジ・・・阿須賀神社紫・・・・・・神倉神社・ゴトビキ岩☆印・・・・・熊野川河口黄色・・・・・宮井戸遺跡茶色・・・・・熊野速玉大社なお「宮井戸（みやいど）遺跡」からは、弥生～古墳時代の土器が見つかっています。この遺跡は、川岸に巨岩が集積して、小さな丘になっています。　　☆熊野速玉大社御船祭りとは、熊野の神々が熊野川を遡上して御舟島に鎮座した後、乙基河原をへて新宮に遷座したという熊野権現来臨を再現するお祭りです。ご神体を乗せた神幸船（しんこうせん）を水先案内する船9隻に、氏子区の若者がそれぞれ11人乗り込み、約1.6キロ上流の「御船島」を3周して速さを競い合いますつまり熊野の神々は、天孫降臨神話のように、高天原から垂直に降下したのではなく、海のかなたから水辺に来臨したのです。そして、この熊野川をさかのぼったところの川中島に鎮座していたのが、本来の熊野本宮でした。野本寛一先生は、阿須賀の神は河口閉塞砂丘の神で、熊野速玉大社における原初の神も、熊野川氾濫を鎮めることにことにあったとされています。熊野三山といえば、熊野の深い山にある信仰と思いがちですが、明らかに海と川の信仰が基盤です。そして阿須賀神社の由緒書きにあったように、熊野最古の原始信仰は、河口部の阿須賀神社にあったのでしょうね。取材とネタに苦労しておりますが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

阿須賀神社とゴトビキ岩と熊野最古の原始信仰・野本寛一と信仰環境論②