西福寺 地獄絵公開 『西福寺の布袋は頭に膏薬を塗っている?』の詳細

西福寺 地獄絵公開 『西福寺の布袋は頭に膏薬を塗っている?』
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記事タイトル 西福寺 地獄絵公開 『西福寺の布袋は頭に膏薬を塗っている?』
概要

京都市東山区 西福寺地獄絵公開・・・8月7日~8月10日(確認をお願いします。)      ①六道の辻愛宕(おたぎ)の寺もうち過ぎぬ、六道の辻とかや。げに恐ろしやこの道は冥途に通うなるものを心ぼそ鳥辺山・・・(謡曲・熊野より)古より十字路(辻)は、あの世とこの世が交わる…… more 場所だと考えられていました。中でも特に西福寺・六波羅蜜寺・六道珍皇寺があるあたりの辻は『六道の辻』と呼ばれて畏れられていました。六道とは仏教において生きとし生けるものが死後永遠に輪廻すると考えられた6つの世界、すなわち地獄道・餓鬼道・鬼畜道・修羅道・人間道・天上道のことです。かつてこのあたりは鳥辺野の葬送地の入り口に当たり、六道にちなむ6つの寺院-六道珍皇寺・西福寺(地蔵堂)・六波羅蜜寺・愛宕念仏寺・姥堂・閻魔堂-があり、これらの寺では死者に引導を引き渡す役割を担っていたそうです。(愛宕念仏寺は移転、姥堂・閻魔堂は現存せず、現在は六道珍皇寺・西福寺・六波羅蜜寺の三寺があります。 )8月7日から10日、京都では迎鐘を鳴らしてお精霊さん(おしょらいさん/先祖の霊のこと)をお迎えする習慣があり、六道詣と呼ばれています。六道珍皇寺の迎鐘が有名ですが、西福寺や六波羅蜜寺にも迎鐘があります。 西福寺 迎え鐘②布袋は弥勒菩薩の化身西福寺の門前には布袋さんの石像が立ち、参拝する人を出迎えていました。西福寺の布袋さんは右手に軍配を持ち、左手を頭の上に載せていました。布袋像は袋を持っているものが多いですが、西福寺像のように軍配を持つ像もたくさんあります。布袋は中国に実在した遊行僧で釈契此(しゃくかいし)という名前でした。大きな袋を背負って各地を遊行し、もらったものは何でもその袋の中にいれていました。仏教ではご法度の生臭物も、布袋は貰い受けたといいます。布袋は『弥勒真弥勒、世人は皆な識らず、云々』という文を残していて、ここから、布袋は弥勒の化身であると言われるようになったとされます。弥勒菩薩とは56億7000万年後に復活するといわれる仏様です。しかし私は布袋が弥勒菩薩の生まれ変わりだとされたのは、死後に復活したからだと思います。というのは布袋には死後にその姿を目撃されたという話が残されているのですね~。死後に姿を目撃されたというのは、死んだ布袋が生き返ったというですよね。 西福寺 地獄絵③布袋の袋の中には髑髏が入っている?宇治・萬福寺の布袋尊が持つ袋の大きさはちょうど髑髏が入っていそうな大きさです。復活するのに髑髏はかかせないものだと考えられていたようで、例えば真言立川流では、髑髏に漆や和合水(精液と愛液の混合液)を塗り重ねて髑髏本尊を作るということです。そしてその髑髏本尊を袋の中に入れ、7年間抱いて寝ることで、8年目に髑髏は命を持つようになると考えられました。布袋の袋の中には髑髏が入っているのではないでしょうか? 萬福寺 布袋尊④軍配は魂を呼び寄せる呪具西福寺の布袋は袋を持たず、かわりに軍配を持っていますね。 軍配は正しくは軍配団扇といいます。現在の団扇は暑い日に扇いで風を起こすためのものですが、古には魂を呼び寄せるための呪具でもあったのです。この六道の辻あたりは普段は観光客もまばらですが、お盆の時期には六道参りをする人々で賑わいます。西福寺では地獄絵が公開され、すぐ近くにある六道珍皇寺ではお精霊さん(おしょらいさん/先祖の霊のこと)をお迎えするために迎え鐘をつく人が大勢訪れます。西福寺の布袋像はお精霊さんの魂を呼び寄せるために軍配団扇を持っているのではないでしょうか。  西福寺 地獄絵⑤頭をさする布袋像布袋像にはいろいろな像があります。a.頭のてっぺんを指差すもの。b.子供に頭をさすってもらっているもの。c.自分で頭をさすっているもの。(西福寺の布袋像はこれですね。)これらの像は、布袋と髑髏信仰に何か関係があるのではないかと思ってしまいます。   西福寺 地獄絵⑥京都の盆歌bの布袋の頭をさする子供は、もう片方の手に小さな小鉢のようなものを持っていました。 これをふまえて京都の盆歌を味わってみてください。さのやの糸桜 盆にはどこもいそがしや 東のお茶屋のかどぐちに 赤前だれに繻子の帯 ちょっと寄らんせ はいらんせきんちゃくに 金がない のうてもだんない はいらんせ おう辛気 こう辛気 よいさっさ よいさっさ これから八丁 十八丁 八丁目のこぐりは こぐりにくいこぐりで 頭のてっぺん すりむいて 一貫膏薬 二貫膏薬 それで治らな 一生の病じゃ 子供が手に持っている小鉢には膏薬が入っているのではないでしょうか。そして子供は布袋の頭をさすっているのではなく、布袋が頭のてっぺんをすりむいたので膏薬を塗っているのでは?西福寺の門前にある布袋像は自分の頭をさすっているのではなく、すりむいた頭の傷に膏薬を塗っているのではないかと思います。ここはあの世とこの世が交わると言われる六道の辻で、お盆の時期に最も賑わいます。すると西福寺の布袋像は京都の盆歌と関係があると考えるのが自然だと思います。さのやの糸桜 盆にはどこもいそがしや 河内音頭では『さーのよいやーさっさ』と囃すように、『さのや』は囃子言葉だとも考えられています。しかし私は『さのや』とは(株)植藤造園の経営者・佐野藤右衛門のことではないかと思います。植藤造園は創業天保3年という老舗で、代々相続者が藤右衛門の名を襲名します。15代佐野藤右衛門氏は桜の保存に貢献し桜守と呼ばれた人物で、円山公園の祗園枝垂桜は15代佐野藤右衛門によって植えられました。さのやの糸桜とは祗園枝垂桜のことではないでしょうか。ところが、お盆の時期には桜は咲いていません。花街で働くの女性のことを祗園枝垂桜に喩えたのではないでしょうか。 西福寺 熊野観心十戒図東のお茶屋のかどぐちに 赤前だれに繻子の帯 ちょっと寄らんせ はいらんせきんちゃくに 金がない のうてもだんない はいらんせ おう辛気 こう辛気 よいさっさ よいさっさ 現在の花街は芸妓遊びをするところですが、かつての花街には芸妓の他に娼妓もいました。お茶屋とは団子を食べる店のことではなくて、芸妓や娼妓を呼ぶ店のことです。『東のお茶屋のかどぐちに』の『東』とは京都の東、つまり祗園や宮川町のことだと思います。かつて祇園や宮川町では赤前だれに繻子の帯をしめた妓が客の呼び込みをしていたといいます。妓が『旦那、ちょっと寄っていきなさいよ』と呼び込みをします。『巾着に金がない』と断ったけれど、『無くてもいいからお入りなさい。』『もう、じれったいなあ、早くお入んなさいよ。』 と 妓はしつこく誘います。 西福寺 壇林皇后九相図これから八丁 十八丁 八丁目のこぐりは こぐりにくいこぐりで 頭のてっぺん すりむいて 一貫膏薬 二貫膏薬 それで治らな 一生の病じゃ『洛中洛外図屏風』にも描かれているそうですが、京都ではかつて町の四辻には頑丈な木戸(町の門)が設けられていて、夜間には閉門されたそうです。『八丁 十八丁 八丁目のこぐりは』の『こぐり』とはこの木戸のことでしょう。宮川町などのお茶屋で遊んだ放蕩息子は夜遅くに帰宅しようとしますが木戸が閉まっています。そのため番子にお金を握らせて潜り戸を開けさせて、帰宅したといわれます。八丁目の潜り戸は狭くて通りにくかったので、頭のてっぺんをすりむいたのでしょう。頭の傷、もしくは女遊びは膏薬を一貫・二貫塗っても治らなければ、一生治らないと。 西福寺 天井画天井画や壁画は展示されている地獄絵とは真逆の美しいイメージ。子供が歌うにはちょっとエロいですねw。子供たちは意味などわからず、歌ってたのでしょう。私も子供のころ、かごめかごめや通りゃんせなどの唱歌を、意味もわからず歌っていました。(不思議な歌詞で、実は今もよくわかりませんw。下駄隠しはちょっとわかる?なばなの里 プロジェクションマッピング くまモンと熊本 『下駄隠しのナゾ』 ) 西福寺 壁画⑦八は復活を意味する数字『八丁 十八丁 八丁目のこぐりは』とあって、やたら『八』が出てくるのが気になりますね。 梅原猛さんは数字の八は復活を意味する数字だとおっしゃっています。八角墳や八角堂は死者の復活を祈って作られたものではないかというのですね~。確かにそう考えると辻褄の会う言葉がたくさんあります。『八咫鏡』は天岩戸に籠もった天照大神を岩戸から出すのに用いられた鏡のことです。死んだ天照大神を復活させた鏡なので、復活を意味する八を用いて『八咫鏡』と言うのではないでしょうか。 『八咫烏』は中国や韓国では太陽の中に描かれることが多いです。『八咫烏』とは復活した太陽神だと考えると辻褄があう。 『八咫烏』は天孫・神武天皇を道案内した烏ですが、神代には猿田彦という神が天孫・ニニギを葦原中国へ道案内したという話があります。 猿田彦は高天原から葦原中国までを照らす神であると記されています。それにぴったりくる名前を持つ神がいます。天照國照彦天火明櫛玉饒速日尊(あまてる くにてるひこ あまのほあかり くしたま にぎはやひ の みこと)です。この神が本当の天照大神だという説もあります。サルタヒコと八咫烏とはどちらも天孫(ニニギ・神武)の道案内をしているので同一神だと考えられます。つまり八咫烏とは復活した太陽神・ニギハヤヒのことだと、こう導くことができると思います。 西福寺 檀林皇后像⑧真言立川流さて、このようなエロい歌がなぜ盆歌なのでしょうか。もしかしたら、それは真言立川流と関係があるかも?真言立川流では、髑髏に漆や和合水(精液と愛液の混合液)を塗り重ねて髑髏本尊を作ります。そしてその髑髏本尊を袋の中に入れ、7年間抱いて寝ることで、8年目に髑髏は命を持つようになると考えられました。そしてお盆には死者の魂が復活してこの世に戻ってくると考えられていました。木戸を潜りぬけようとしたのは死者の髑髏だったのではないでしょうか?で、花街で娼妓と交わり、あの世とこの世が交わる辻を潜り抜けることでこの世に蘇ろうとしたんだったりして? ※まとめサイトなどへ無断で転載することはおやめください。歴史ブログ・旅 free style もよろしくお願いします~。毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!にほんブログ村     close

西福寺 地獄絵公開 『西福寺の布袋は頭に膏薬を塗っている?』
サイト名 心の旅
タグ お寺 京都の祭
投稿日時 2019-08-21 02:01:01

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