勝念寺 信長賜の尊像たちと伏見義民の詳細

勝念寺 信長賜の尊像たちと伏見義民
京都を歩くアルバム
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記事タイトル 勝念寺 信長賜の尊像たちと伏見義民
概要

←目次  2006年1月27日から毎日更新しています。 ※写真は全てクリックで拡大します。 丹波橋にある勝念寺に行ってきました。京阪丹波橋駅から丹波橋通を西に行くと山門があり、横には「天明義民柴屋伊兵衛墓所」、「織田信長公賜・・・」という石標がありますが、説明は後ほど。 「勝念…… more 寺」は正式名称を安養山往生院勝念寺という浄土宗知恩院末の寺院です。通称の「かましきさん」の方が知られています。(山門の脇にはお地蔵様がいます。) 天正10年(1582)明智光秀軍の襲撃によって、織田信長は本能寺で、嫡男の信忠は御池御所(烏丸二条)で自刃しました。(山門をくぐると、萩の花が咲いていました。) 信長・信忠父子の菩提を弔うため、正親町天皇は聖誉貞安(ていあん)上人に信忠自刃の地である御池御所を賜りました。天正15年(1587)貞安上人は信忠の法名にちなんで大雲院という寺院を開創しました。 同時に、天下人となった豊臣秀吉の城下町、伏見丹波橋のこの地に、布教の拠点とするべく一寺を開創したのが勝念寺です。文禄4年(1595)こは下の「地蔵堂」が建てられました。 「身代釜敷地蔵尊」 地獄で釜茹での責めに苦しんでいる人の身代りとなって、自ら煮えたぎった釜の中に入り、地獄とこの世で苦しむ人の苦を取り除き、幸せへと導いてくれる地蔵尊です。織田信長から貞安に賜ったといわれています。 地蔵堂の前に「身代わり釜」があります。 周囲には多数の「身代り蛙」が置いてあります。身代釜敷地蔵尊の「身代わり」の言葉から、みがわり→かわる→かえる、の語呂合わによって生まれたそうです。 苦しみを取り除き幸せへの願いを込めて、信者から奉納された身代り蛙とお地蔵様が境内のあちこちに置かれています。 境内の萩は、現在のご住職が最近植えたものだそうです。現在、十数種、約百株の萩が植えられ、9月の萩の見頃には、道行く人に自由に萩を見て頂くため、「萩振る舞い」として門を開放しています。「本堂」 江戸時代の1779年、火災により本堂、庫裏および創建当初の本尊・阿弥陀三尊坐像、文書などが焼失しましたが、山門と地蔵堂は難を逃れました。1781年には本堂と庫裏が再建されました。 現在の本堂は昭和51年(1976)の再建で、1881年に造られた本尊・阿弥陀如来像が祀られています。 開山の貞安上人(1539-1615)は、後北条氏一族の子として相模国に生まれ、4歳で母、5歳で父と死別し、7歳で小田原大蓮寺・堯誉上人に師事しました。本堂の前の「子安延命地蔵菩薩」は、生まれた子供の安全を守り、その寿命を延ばすといわれます。 1575年能登七尾・西光寺にいるとき上杉謙信の穴水城攻より逃れ、翌年近江・妙金剛寺へ移りました。その後帰依した信長の命で、安土宗論に臨んで法華宗の3名を論破して信長の信任が深まったといわれます。(本堂の裏に墓地があります。) 石川五右衛門や三条河原で処刑された豊臣秀次の子女らに引導を授けたことでも知られます。右が貞安上人、左が歴代住持の供養塔。 山門の横に石標があった「柴屋伊兵衛」(?-1785)は江戸時代の薪炭商です。天明5年(1785)当時の伏見奉行・小堀政方(まさかた)の悪政を、文珠久助ら7人が幕府に直訴、後に伏見奉行は罷免され町民の苦難が救われました。 しかしながら禁を犯した7名は捕らえられ相次いで獄死しました。明治20年彼らを「伏見義民」と称えた顕彰碑(勝海舟撰、三条実美書)が御香宮神社に建てられました。1916年に勝念寺で伊兵衛の名が刻まれた墓が発見されました。 伊兵衛は勝念寺の檀家で、事件の時には既に高齢でした。直訴にあたり死を覚悟していたとみられ、永代回向料として藪地を当寺に寄進し、両親と先祖の墓を当寺に残しました。直訴は大罪で、本人は罪人として他所に葬られました。 ところで、信長から貞安上人に賜った像がもう二体あります。閻魔法王自作霊像(左)と金銅多羅観音菩薩(右)です。どちらも秘仏で10月に寺宝として公開されるそうです。写真が地蔵堂の前に貼ってありました。 以下では、この2体の像にまつわる逸話を紹介しながら、庫裡の前からの道を通って山門に戻ります。 平清盛の頃、摂津国清澄寺の慈心坊尊恵が閻魔法王より自作の閻魔像を賜り、翌日蘇生しこの像を手の中に握っていました。その後、伊勢大神宮の参詣の後、伊賀上野に立寄り十王堂にこの閻魔像を安置し勤行して、再び往生しました。 数百年後、信長が伊賀上野に鷹狩に来た時この像を見て、城に持ち帰り拝みました。その後信長より賜った貞安上人が当寺に安置したそうです。閻魔の真の心を伝えるため閻魔自身が松材で慈悲の相に彫ったといわれています。 「多羅観音菩薩(金銅天竺仏坐像)」の多羅とは梵語で瞳のことで、苦しむ衆生の多さに観音菩薩が流した涙から多羅菩薩が生まれました。ふくよかな胸の女性の姿で、苦しむ衆生を直ちに救いに行けるように右足を前に出しています。 チベットの仏様で、多羅仏母、救度仏母ともいわれ、母親のように親しみやすく、小さな悩みごとも聞いてくれるそうです。戦国時代に異国よりもたらされた大変珍しい観音様だそうです。 お帰りの前に、ブログランキングの応援のクリック↓をよろしくお願いします。 ★こちらを是非よろしく→   ブログ村→ ------------------------------------------------------------------- close

勝念寺 信長賜の尊像たちと伏見義民
サイト名 京都を歩くアルバム
タグ お寺
投稿日時 2019-09-18 15:21:02

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