鳥取市の日本海側、京都の五条通から続く国道９号線を走っていた時、「白兎神社」の前を通りました。昔話の『因幡の白兎』なら知っているけど、それに関わる神社があったとは知りませんでした。まあ、昔話に古代信仰なんてあまり出てこないだろうと思い、通り過ぎたのですが、その先にこんな島が見えま…… more す。よく見ると、上に鳥居が置かれているではないですか。間違いなく海人系の島嶼信仰だと思い、Ｕターンして神社前に車を置き、歩道橋を渡ります。しばらく歩いて砂浜に下りると、まずは岩と灯篭。これだけで「恋島」という島だそうです。波打ち際に近寄って撮影しました。一般的には、海の彼方から依り来る神が、普通まず上陸するとされるのが、こんな島です。この後に、内陸部のお社へ導かれるのが通例です。実はこの島こそ、「淤岐之島(おきのしま)」とよばれ、白兎神社ホームページでは白兎が最初にいた島とされていました。(白兎神社ホームページより)ただし、この島はあまりに近すぎるためか、海上数十㎞の沖合に浮かぶ、現在の島根県隠岐郡隠岐島とする説も有力です。なんとも不思議な造形もありました。祭祀的な意味のある造形でしょうか？この島には、あまのじゃくの塚もあるらしく、どうも重層的な祭祀文化があるような気がします。また陸側から見えない背後には、東西に抜けた洞窟もあるということで、出雲の潜戸のように、朝日が通り抜ける時季があるのでしょうか。　　☆「因幡の白兎」という民話・神話は、みなさん一度はお聞きになったと思います。オオナムチの神が、因幡の八上姫に求婚しようとする八十神たちのお供をして因幡におもむいたとき、裸の兎がいたので訳を尋ねます。兎は淤岐ノ島から本土に渡ろうと思い、海の鰐(わに)を欺いて、その背を踏んで渡りますが、最後に騙したことを言ってしまい、捕まえられて毛を剥ぎ取られます。さらにそこを通りかかった八十神の教えで、海水を浴びて高山の頂上に伏していると、海水が乾くにつれて皮膚が風でヒビ割れ、苦痛のあまり泣いていたのだというのです。かわいそうに思ったオオナムチ神は、兎に水門へ行って真水で体を洗い、蒲の穂を敷いて転がるようにと教えました。すると、兎の体は元通りになりました。助けられた兎は、「八上姫は、きっと優しい大穴牟遅神（大国主命）の妻になりたいと言われる。」と予言します。このストーリーは、白兎神社の由緒そのものでもありました。この説話に関して、白兎神社ホームページには、「先代宮司の考察」という歴史推理が掲載されています。白兎というのは、実は野に住む兎でなく、神話時代にこの地方を治め信望の高かった一族のことを言ったもので、白兎と呼ばれたのは、兎の如くおだやかであったからだと言われています。その一族が航海を業としており、沿海をおびやかしていた「わに」と呼ばれていた賊と淤岐之島付近で戦ったのです。最後の一戦で負傷して苦しんでいる白兎の一族が、大穴牟遅命（大国主命）に助けられ、後に大穴牟遅命と協力して「わに」を討伐してこの地方を治め、大穴牟遅命には八上比売を嫁とらせたというのであります。つまり、「わに」という賊軍と地元白兎軍の戦いを象徴しているというのです。そして苦戦している白兎軍を助けたのは、出雲のオオナムチ軍と言うわけです。なるほど、桃太郎でもヤマタノオロチでも、それぞれの地元では伝説に隠された歴史的事実を推理しています。因幡の白兎伝説では、これが歴史的な核心部かもしれません。では、出雲・因幡連合軍と戦った「わに」集団とは、いったい誰なのでしょう？　　☆先ほどの「淤岐之島」の手前砂浜に、「 川下神社」がありました。この小さな神社について、白兎神社ホームページには、こう書かれています。神話を語る中で、白兎神社に合祀されている豊玉比売を祀る「川下神社」を見逃すことはできませんから、「川下神社」について紹介をいたします。鎮座地 ： 鳥取市白兎 気多ケ前の神ヶ岩祭神 ： 豊玉比売祭神は「綿津見神の女で、神ヶ岩に於て庵を結び鵜の羽を敷き、鵜草葺不合命（うがやふきあえずのみこと）を生み給ひ、竜神となって海に入り給ふ、依って此処に祀った。」と伝えられています。・・・・・・え、ちょっと待って下さい。この祭神である「豊玉比売(豊玉姫)」には、重大な説明が抜けています。日本神話では、出産に望んで、豊玉姫は火折尊に「妾産む時に幸（ねが）わくはな看（み）ましそ。」と請います。見てはだめというのです。しかし火折尊は我慢できず、ひそかに覗くと、豊玉姫は出産の時にヤヒロワニ（『古事記』では「八尋和邇」、『日本書紀』一書では「八尋大熊鰐」）に変身していたのです。豊玉比売の正体は「わに」、即ち襲ってきた敵軍のシンボルではありませんか！神話上の系譜ではあれ、出雲・因幡連合軍を襲ったのは、天皇家の祖先であるプレ大和王権軍だったのでしょうか。疑問はそれだけではありません。「鵜の羽を敷き、鵜草葺不合命を生んだ」というのは、宮崎県の鵜戸神宮と重なる伝説です。しかもその鵜戸神宮では、ウサギを祭っています。鵜戸神宮のあちこちにウサギの像があったり、ウサギに関連したおみくじなどが売られているのです。この同一性は、単なる偶然と無視していいものなのか？　　☆もう一つ、極めて興味深いこと。白兎神社出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』1999年（平成11年）、旧船岡町出身の石破洋元島根県立女子短期大学（現：島根県立大学）教授の研究発表、翌年の『イナバノシロウサギの総合研究』発刊により、この八上の白兎と天照大神伝承、それに関連すると思われる瀬織津姫祭祀、および白兎神社が脚光を浴びるようになった。(以下略)ただの単純な昔話かと思っていたら、なんと天照大神や瀬織津姫まで登場するのです。ますます謎が深まります。どうみても、単なるおとぎ話ではないようですね。次回は、さらに私が見つけた不思議な事実を載せて、少しでも真相に迫りたいと思います。取材とネタもそろそろ限界ですが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

白兎神社と『因幡の白兎』・伝説に秘められた天照大神と瀬織津姫の謎とは？