京都市左京区の下鴨神社(賀茂御祖神社）。ここには、緑豊かな糺の森（ただすのもり）が社前に広がっています。いくつもの小川や泉が森を流れ、祭祀遺跡からは縄文土器も発見されたという、まさに古代の聖地です。これは祭祀遺跡。ところが、右京区の木島坐天照御魂神社（このしまにますあまてるみたま…… more じんじゃ）には、なんと元糺の森と元糺の池があったのです。当然ながら、木島坐天照御魂神社の「元糺の森」が、下鴨神社の「糺の森」の旧地であるという説が有力です。木島坐天照御魂神社は、その名前からわかるように、皇祖神である天照大神とは出自が異なる、別の太陽神を祀る大変重要で謎めいたお社です。もし下鴨神社の「丹塗り矢伝説」を太陽神の来臨と考えるなら、二つのお社には明らかに共通点があることになります。さて、この二つの神社の位置には、重大な謎が秘められていました。京都盆地の地図をご覧ください。どういうわけか、比叡山と松尾大社を結ぶ線上に、この両社はほぼ位置しているのです。黒い星印マークは下(西南)から順に松尾大社　→　木島坐天照御魂神社　→　下鴨神社　→　比叡山頂　→(ポイントはないが延暦寺)と続いています。もちろん京都市内のように、元々神社の多い地域では、テキトーに直線を引いただけで、いくつか神社が乗ってきます。線上に神社があるからと言って、それが何らかの意味がある人為的な配置とは言えません。ところが比叡山と松尾大社を結ぶ線上には、単なる偶然とは思えない事実がいくつもあるのです。　　☆まず木島坐天照御魂神社と下鴨神社は、さきほど書いたように「糺の森」という共通点があるので、緑色のポイントを両方に置いています。では、比叡山と松尾大社にオレンジ色ポイントがあるのはなぜか？『古事記』には、大山咋神。亦の名は山末之大主神。此の神は近淡海国の日枝の山に坐し、亦葛野の松尾に坐して、鳴鏑（なりかぶら）を用つ神ぞ。 とあり、日枝の山(比叡山)も松尾も、同じ「鳴鏑を持つ大山咋神」が坐していると書かれているのです。これが松尾大社。そして、比叡山。次に、黄色のポイントを松尾大社と下鴨神社に置いたのはなぜか？下鴨神社には「丹塗り矢伝説」という重要な神話がありますが、そっくりの伝説が松尾大社にもあるのです。もともと両社は親戚のような関係ですから、似ているのは当然でしょう。さらに平安京遷都後は東の賀茂神社（賀茂別雷神社・賀茂御祖神社）と西の松尾大社はともに「東の厳神、西の猛霊」と並び称され、王城鎮護の社として位置づけられたことはよく知られています。では、紫色のポイントを松尾大社と木島坐天照御魂神社に置いたのはなぜか？木島坐天照御魂神社には有名な三柱鳥居(三角鳥居)があります。これらの神社に詳しい大和岩雄氏の説によると、鳥居の三つの角の二つは、松尾山と稲荷山を指しているのだそうです。もしそれが事実なら、木島坐天照御魂神社は松尾大社と祭祀的な関係があることになります。・・・如何でしょうか。京都盆地の鬼門ラインとでも呼ぶべき、この不思議なライン上には、幾重にも重なる同質性があり、単なる偶然で線上に乗っただけとは思えません。(なお、今回は触れていませんが、梅の宮大社もほぼ線上で、松尾大社と同じ酒造祖神。)この意味はだれにも解明されていませんが、これもまた、京都千年の都の、知られざる不思議だと思います。ネタも限界ですが、三つクリックしていただくと大変励みになります。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

下鴨神社の『糺の森』と天照御魂神社の『元糺の森』・謎だらけの京都神社案内