記紀神話が書かれた最も大きな目的は何か？それは、天皇家の統治権の起源や由来を示すものでした。そしてその核心部は、言うまでもなく天孫降臨神話です。天孫降臨神話とは、最高神である天照大神の孫、瓊瓊杵（ニニギ）尊が高天原から葦原中国へ降臨するストーリーです。ところが原典の『日本書紀』を…… more 読む限り、それを命じた主役は天照大神ではなく、むしろ高皇産霊神（たかみむすびのかみ）でした。高天原における最高の司令塔は、高皇産霊神（たかみむすびのかみ）なのです。その高皇産霊神を祀る神秘のお社がありました。奈良県御所市北窪、奈良盆地をはるかに見下ろす高台に鎮座する高天彦神社（たかまひこじんじゃ）です。歴史を感じさせる杉並木の先に、神体山と社殿が見えました。ご神体は背後の白雲岳（標高694メートル）で、三輪山と同じタイプの原始信仰です。境内の左には、ほっとする光景が・・・このお社の境内は、社務所もない質素なものですが、式内名神大社という高い格式を誇ります。摂社・末社もありました。そして最も重要だと思ったのは、この磐座でした。境内の奥に位置していますから、ここに神霊が降臨するという信仰があったはずです。磐座の周囲を掃き清めておられた地元の女性がおられたので、この磐座について聞いてみました。するとやはり、背後の山からここへ神様が降りてこられるのだそうです。この磐座は土着の土蜘蛛を埋めたところとも、白雲岳の中腹にあった磐座を移したものともいわれて諸説あるようですが、境内奥という立地点を見る限り、主祭神が降臨する最も重要な磐座であることは確実でしょう。ただし、地元の女性は「女の神様」といわれました。高皇産霊神であれ高天彦であれ、男性神だと思っていたので、そこは謎です。まさか天照大神の原始の姿では・・・・この女性の話では、境内に近づくと震えが止まらなくなる人もおられるそうです。神威パワーがすごいのですね。たしかに零感（ゼロカン）な私でも、霊気あふれる神聖な場所であるという雰囲気は感じます。またこの境内で花火をしていた若い人が、帰路で正面衝突の事故を起こしたものの、双方けがはなかったとか。こんな不思議な話がいくつも地元に語られる高天彦神社は、古代からの厚い信仰が続く聖地なのでしょう。また社名の「高天（たかま）」はこのあたり一帯の地名であり、高天原の伝承地とする説が古くからあります。ひょっとすると、高天原の司令塔である高皇産霊神をはじめとする、多くの神々を境内に祀り、葦原中つ国たる奈良盆地をはるか下方に見下ろすこの地こそ、神話の高天原のモデルになった場所かもしれません。下の写真の中央部は畝傍山です。そしてこの説明板。正に天孫降臨の聖地と書かれています。天孫降臨地は九州の高千穂なんだから、ここであるわけがないと思われた方もあるでしょう。しかし高千穂とは本来、積み上げた稲穂を意味する言葉とされます。そして青木紀元氏らが古くから論じられたように、降臨地は大和王権の拡大によって何度か変更されたと考えるのが妥当です。ひょっとすると高天の原と天孫降臨神話の原型は、この白雲岳にあったのかもしれません。いずれにしろこの高天彦神社は、卑弥呼や大和王権成立の時代に関わる、重大な謎を秘めたお社であることはまちがいありません。三輪山同様、山中にはさまざまな祭祀遺跡があるはずです。祀りにふさわしい開けた場所もあるとか。この山頂には何があるのか、そこにはどんな古代祭祀遺跡が眠っているのか、想像が広がります。なんとか記事を続けています。三つクリックしていただくと大変励みになりますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

高天彦神社・実在した『高天の原』の至高神とは？