鈴鹿山脈は、岐阜県・三重県・滋賀県の県境に位置し、中部地方と近畿地方を分ける長大な山脈です。国道一号線・鈴鹿峠辺りから北へと高度を上げ、千メートルを超す山頂をいくつも経て、滋賀県米原市の霊仙山へと連なります。（霊仙・ウィキペディアより）もっとも有名なのが御在所山でしょう。目もくら…… more む高度差のロープウェイ。御座所山の山腹には、不思議な造形の岩々があります。横から見ると・・・豆腐のような巨石。最北の霊仙山付近には、以前記事にした大杉神社や比婆神社の神秘的な景色。　　☆さて、鈴鹿峠と御在所山の間、御幣川の深い渓谷に、こんな岩山がそびえています。高さ113mの石灰岩の岩山で、「石大神（しゃくだいじん）」と呼ばれています。敏達天皇がここに行幸した時、天照皇大神がこの岩上に顕現したと伝えられ、伊勢神宮ともかかわるのだとか。この頂上には、さまざまな祭祀遺物が今でも残っているのかもしれませんね。そして、この御幣川を挟んで向き合うのは入道ヶ岳です。ここは椿大神社の神体山で、さまざまな磐座の中には、こんな見事なものもありました。これは「奥の院のいわくら」で、ここに降臨した神は、最終的に椿大神社境内の「みふねいわくら(御船の磐座)」に到着します。この椿大神宮は、猿田彦を祀る神社の総本宮ともいわれる、きわめて古い由緒あるお社です。下は、昭和４５年発行の「猿田彦大本宮物語」です。当時の宮司である、山本行輝様の話を伊勢新聞社がまとめたものです。これは、「奥の院のいわくら」の前におられる山本宮司。この冊子には、太古の時代、人々はこのあたりの山の上で「高山生活」をしていたもので、後に「低地生活」に移行したと書かれています。それらの人々は、日本における先住民族であり、猿田彦大神を元首とする「猿田彦神族」だったとも。さらに猿田彦神族は、「天照大神との間に重大な関係を有する強力な民族、大陸的な偉大な存在で、原始時代の主導的な位置に坐していた優秀な民族」とも。まあ地元ではそんな風に考えておられるんだな・・・という程度で読み進めていたところ、うーんとうなった部分がありました。天孫降臨神話では、邇邇芸命一行の道案内をした猿田彦に対し、天照大神がうずめの命に「汝送り奉れ」と言います。その場面に関して、「ここで注意されるのは、古事記によると、天照大神は、うずめの命に『汝送り奉れ』と、猿田彦大神に敬語を使っていることである。」と書かれていたことです。あわてて古事記を開いてみました。するとたしかに、最高神の「奉れ」という表現が明記されており、かなり特殊かもしれません。猿田彦大神とは、そんなに特別な存在だったのでしょうか？神話学の第一人者であった松前健先生は、古事記に「上は高天の原を照らし、下は葦原中国を照らす神」と表現される猿田彦を「もともと伊勢・志摩地方で、漁民の奉じていたらしい原始的な男性太陽神であった」とされました。ひょっとすると、鈴鹿山脈で生活する縄文先住民的な人々がいて、その人々が信仰する原始の太陽神が猿田彦だったとしても不思議はありません。伊勢湾もかつては内陸に入り込んでいましたから、海洋民的な要素があって不も思議はないでしょう。ひょっとすると、山中の奇妙な岩々も、その人たちの信仰対象だったのでしょうか？猿田彦と鈴鹿山脈、謎は深そうですね。なんとか記事を続けています。三つクリックしていただくと大変励みになりますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

石大神と鈴鹿山脈・縄文先住民の巨石信仰？