西場富士（にしばふじ）　秋葉神社（あきばじんじゃ）【データ】　西場富士　159メートル。国土地理院の地図に山名無し。西場町の北にある159.2三角点▼最寄駅　JR両毛線・富田駅▼登山口　栃木県足利市西場町の西場の百観音▼石仏　山頂の秋葉神社、地図の赤丸印。青丸は西場の百観音▼地図…… more は国土地理院ホームページより【独り言１】　百観音　西場富士は大小山と尾根続きの小さな山です。登山口は西場の百観音で知られた勧行寺跡。山に登る前に、寺跡に並ぶ百観音の石仏を案内します。 　観音石仏は西国・坂東・秩父の観音札所の本尊100体。入口に立つ案内によると、観音は寛政二年（1790）から同十年にかけて、勧行寺の円海和尚の勧進により造立されたとあります。その高さは95センチ前後の舟形光背、本尊を中心にその両脇に札所番号と寺院銘が入っています。どれも丁寧に彫られた観音たちです。台座には願主の銘が入り、勧進に応じた近隣集落の人たちが先祖供養のために建てたことがわかります。台座の一つに「西場邑勧行寺／館林邑足利町石工新潟伐七」とありました。写真はいつものように、西国の９番南円堂の不空羂索、11番上醍醐の准胝、29番松尾の馬頭です。【独り言２】　西場富士　百観音から西に、西場富士の山裾をトラバースする道が稲荷神社まで続いています。その途中に西場富士への道があります。登り出してすぐ馬頭観音が三基並ぶ西場城（砦）跡です。「明和二酉（1765）」の立像、「寛政十一未（1799）」の文字塔、造立年不明の文字塔です。　ここにも案内があり、それによると西場城は平安時代の末期に造られた砦のようです。しかし一帯は砦らしい様子はまったくない地形です。以前に中世の山城跡めぐりのおともを数回したことがあります。そこで覚えたのは、山城を見るには想像力が必要ということでした。曲輪を囲う土塁、敵を防ぐ堀切、人が出入りする虎口など山城を構成する人工物は、400年以上の間に限りなく平たくなってしまったうえに、森や林に埋もれてしまい、想像力を巧みにしないと当時の城跡が浮かび上がってこないのです。しかし西場城は想像する人工物は一切ありませんでした。　そして西場富士の山頂です。ここには「秋葉神社／明治三十六年／稲岡中」の石祠が一基あるだけ。富士浅間の石造物はありませんでした。秋葉神社は静岡県春野町にある火伏の神で、稲岡は西場富士の東山麓の平野部の集落です。江戸時代に流行った神の多くは山岳信仰でしたから、山のない平野部の集落では勧請して祀る場所選びに苦労したようです。塚を築いたりして少しでも高い場所に祀りました。西場富士のほとんどは西場村の持ち分で、わずかですが稲岡村の持ち分もあった秋葉神社を勧請したのでしょう。 close

石仏番外　西場富士（栃木）秋葉神社