新峯山（しんみねさん）　不動八大童子（ふどうはちだいどうじ）　白川大神（しらかわおおかみ）【データ】　新峯山　250メートル（国土地理院地図に山名無し。新東名岡崎東IC北の262.48三角点の北、地図の青丸印）▼最寄駅　名鉄名古屋本線・本宿駅▼登山口　愛知県岡崎市夏山町の鬼沢八幡…… more 社。地図の黒丸印▼石仏　新峯山の北尾根一帯、地図の赤丸印。緑丸は白川大神▼地図は国土地理院ホームページより【独り言】　国土地理院地図には明記されていませんが、岡崎市の東の三河の山がはじまる所に新嶽山、新峯山、おおだ山の峰が連なっています。おおだ山の登山口は鬼沢八幡社で、道はよく整備されていました。ここに案内する不動八大童子、白川大神はおおだ山の北、岩峰の新峯山から始まります。　八幡社からしばらく登ると、台座に「王滝不動尊」銘がある不動明王がお出迎えです。稜線にでると台座に「十二大権現」銘が入る子安観音。群馬では十二様という山の神を見ましたが、この十二大権現も山の神なのでしょうか。それとも木曽御嶽山の黒沢口にある木花開耶姫を祀った十二権現なのでしょうか。ここから尾根歩きになり、新峯山の手前の岩場に「新峯山」の石碑が立っていました。銘は「抑修験道之開祖神変大菩薩…」から始まる役行者の来歴を記したものです。信仰の山の石造物では、奈良の大峰山に近くなる地方ほど役行者像を建てる傾向があるようです。ここも本来なら役行者の像を建てるところなのでしょうが、それでは足りないので、江戸時代になって神変大菩薩とう諡号を送られた役行者の業績を称える石碑を建てたのでしょう。岩場を越えると新峯山で、台座に「三笠山大神」銘がある石像はお出迎えです。ここから不動八大童子が始まります。置かれた順番に紹介します。慧光童子慧喜童子阿耨達多童子指徳童子烏俱婆童子清浄童子矜迦羅童子制迦童子　童子の間に大黒天や摩利支天もありました。【案内】　白川大神　新峯山の石仏は、不動八大童子に続いて不動三十六童子が尾根通しに新嶽山まで続く。その尾根に白川大神が立つ。この神の素性はよくわからない。しかし、新峯山には三笠大神があり、新嶽山の中腹には八海山大神や覚明行者の石像があったことは前回の新嶽山で案内した。つまりこの山一帯に祀られた石造物は、木曽の御嶽山に関係するものであり、白川大神のその一神と思われる。　生駒勘七氏の『御嶽の歴史』（注１）によると、御嶽には頂上に王権現・日権現など18座、中腹に湯之権現・大江権現など６座、山麓に岩戸・大宮など13座、合わせて38座の神々が祀られていたという。これは御嶽山とその山麓に古くから祀られていた神々に、大峰山修験の影響を受けた神々を合わせたものと生駒氏は推測している。この38座のなかに白川大権現が含まれている。　生駒勘七氏の『御嶽の信仰と登山の歴史』（注２）に白川大権現が取り上げられている。白川社は黒沢口から登って二つ目の社。「御嶽三十八社のひとつで（略）頂上奥社にも祀られているところからみて、重要視されていたことがうかがわれる。白川なる地名は、湯川の水が白濁してこれが白川になったものではなかろうか（略）御嶽縁起の成立とともに、阿古太丸の姓氏、白川にちなんで、ここに白川少将父子が白川権現として習合されるようになったものであろう」と推測している。　阿古太丸伝承は『御嶽の歴史』の「御嶽座生権現縁起」に詳細されている。京都北白川の護衛少将・重頼が清水寺に祈願して授かった子供が阿古太丸。しかし妻の死後にむかえた後添えの憎みから逃れるため奥州へ向かった阿古太丸は、途中の木曽山中で亡くなってしまう。ときに延長3年（925）という話だ。　白川大神は黒沢口からの道にあり、この道から登った覚明行者の郷里である尾張方面の御嶽信仰の組織にとって重要な神のようである。一方黒沢口から登った普寛行者の布教地である関東信越に白川大神の石造物は見ていない。（注１）生駒勘七著『『御嶽の歴史』1966年、宗教法人木曽御嶽本教（注２）生駒勘七著『御嶽の信仰と登山の歴史』1988年、第一法規出版社 close

石仏952新峯山（愛知）不動八大童子、白川大神