あまりにも有名な、奈良の東大寺。ここには、二月堂、三月堂、四月堂はあるのに、なぜか一月堂（正月堂）がありません。それはいったいなぜ？その正月堂は、東大寺の北東約12km、古代巨石信仰で知られる笠置山にありました。東大寺の開山で初代別当の良弁（ろうべん）は、この千手窟にこもり、千手…… more の秘法を行ったことで、東大寺造営のための建築用材を無事、調達することができました。さらに、良弁の高弟である実忠和尚が千手窟に入って進んでいくと、いつの間にか兜率天内院にいることに気づきます。そこでは諸天衆が十一面観音悔過の修行に励んでいました。実忠和尚は、その修行に感動を受け、この修行を人間界にも伝えたいと一人の菩薩にお願いします。しかしその菩薩は、複雑で難しい行法であることや、兜率天の1日は人間界の400年に相当することなどから、実忠和尚の願いを最初は断ったそうです。それにしても、兜率天の1日が人間界の400年に相当するなんて、浦島太郎どころではありません。竜宮城の１日は、人間界の100日でしたからね(^^♪前回勝手に命名した「わかさパラドックス」の極端なパターンとしか思えません。結局のところ実忠和尚は、この千手窟から弥勒菩薩の住む兜率天に入って内院四十九院をめぐり、そこで行われた行法を人間界に伝えたとされます。これが東大寺「お水取り」の起源なのです。　　☆これは福井県小浜市にある、若狭国一宮若狭彦神社（わかさひこじんじゃ）です。式内名神大社という高い格式のお社で、上社（小浜市龍前）が「若狭彦神社」、下社（小浜市遠敷）が「若狭姫神社」です。この神は「遠敷明神」として知られます。それぞれ伝統ある古社の霊気が漂っていました。当地の伝説では、東大寺二月堂の修二会で神名帳を読んで全国の神を招いたものの、遠敷明神は漁で忙しかったため遅刻してしまったそうです。そのお詫びとして、遠敷明神は二月堂の本尊である十一面観音にお供えの閼伽水を送ると約束したとされます。何とも不思議なことに、下の鵜ノ瀬と呼ばれる淵は・・・・・・・・この、東大寺二月堂の若狭井に通じているのだとか。旧暦2月には、鵜の瀬で二月堂に水を送る「お水送り神事」が行われます。その水を受けとる祭事が二月堂の「お水取り」になります。ただし今日では、神宮寺であった若狭神宮寺が主体となって行われています。その若狭神宮寺の閼伽井戸。それにしても鵜ノ瀬の水が、100㎞ほども離れた二月堂の若狭井に通じているという信仰伝承は、何とも不思議です。私のような凡人には理解不能。　　☆竜宮城の１年が人間界の100年だった浦島太郎。人魚の肉を食べて800歳まで生きた八百比丘尼。不老長寿の薬を求めた秦の徐福。そして兜率天の1日が人間界の400年に相当するというお水取りの千手窟。さらに水を100㎞通す不思議な伝承。なぜ若狭地方やそれに関わる場所に、こんな伝説が集中するのでしょうか？これらの「わかさタイムパラドックス」は、もはやSFとしか思えません。その背後には、いったいどんな秘密があるのでしょうか。三つクリックしていただくと、ネタ探しの元気が出ます。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

若狭彦神社と東大寺と笠置山