鳳来寺山・行者返し（ぎょうじゃがえし）　十六羅漢（じゅうろくらかん）【データ】　鳳来寺山　695メートル▼最寄駅　ＪＲ飯田線・本長篠駅▼登山口　愛知県新城市門谷▼石仏　鳳来寺から大野への道、地図の赤丸印。青丸は僧房医王院▼地図は国土地理院ホームページより【案内】　門谷からの鳳来寺…… more 山表参道は、「殺生禁断」の結界石の先の石段から始まる。鳳来寺まで1425段続く石段だ。登り出すとすぐ薬師如来の種字・バイが入った「一町」銘の町石が立つ。これは鳳来寺まで点々と置かれている。　鳳来寺本堂から東照宮に出ると、尾根続きに大野へ下る道が東海道自然歩道として残されている。この道は鳳来寺と秋葉山を結ぶ信仰の道でもあった。この道に入ってしばらくしたところにも薬師のバイと「廿七丁」銘の道標がある。これは大野から始まり鳳来寺へ続く道標だ。尾根から急に下った先にある大きな岩場が行者返。「廿五丁」があるその岩場に十六羅漢の石像が置かれている。　羅漢は仏教修業の最高位に達した聖者で阿羅漢という。その数や尊名・図像は諸説あるが、玄奘（602～664）訳の「法住記」によって十六尊が定まったという。役目は仏法の守護。江戸時代に土佐秀信がまとめた『仏像圖彙』には、それぞれの住む国と像容が描かれている。それにしたがって行者返しの十六羅漢をみていくが、小僧を従える諾迦跋釐駄（だかばりだ）や両手で経巻を持つ迦哩（かり）など特徴がある尊者は判別できるが、同じような姿の弗多羅（ぶったら）や阿氏多（あした）などの尊者は区別が難しい。それよりも行者返しは岸壁で足場が悪い。岩場を昇り降りして14尊を数えた。【独り言】　薬師如来（やくしにょらい）　鳳来寺は薬師の山ですから、薬師の石仏がたくさんあるだろうと門谷から登ってみました。まず出会った薬師は石段がはじまる手前にあった坐像の薬師でした。しかし薬師はこれだけ。あとは薬師の種字が入った道標と、僧房医王院前にある石灯籠の銘。それからかつて銅製の薬師があった場所の「峯薬師如来」の石碑でした。岩本院跡に残っている四国八十八ヶ所霊場の本尊のなかに薬師もいくつかありましたが、期待したほど無いという印象でした。　そのようななか、東側の山麓の秋葉道の登山口でもある大野の近くの湯谷温泉に立派な薬師がありました。この温泉は鳳来寺を開いた利修が見つけたという温泉です。利修についての伝承は前回の鳳来寺山の峯ノ薬師で案内しましたが、この温泉のお陰で利修は308歳まで生きたそうです。宇連川の温泉街を望む崖を背に祀られたこの薬師、案内には「薬師如来の石像一体が奉安されたのは、寛政十二年（1800）五月で、鳳来寺の歇堂という人」とありました。その薬師は台座も入れた高さが250センチもある大きな如来。連弁の台座に座る豪快な薬師でした。 close

石仏960鳳来寺山・行者返し（愛知）十六羅漢、薬師如来