前回、前々回は、神体山とその位置関係についての記事でした、神社や神体山が直線上に並ぶからと言って、何か意味があるとは限りません。しかし、目視できる範囲で相互に関連する信仰の場が並ぶ事には、何らかの共通原理があった可能性が高いと思っています。ひょっとするとこれも・・・と密かに思う場…… more 所が、屋久島にありました。まずは、屋久島の尾之間地区に鎮座する保食神社。大規模な整備が行われていましたが、どうも巨石信仰のお社のようです。鳥居から見える巨岩は、もとは古い本殿の後ろにあり、岩の上には小さい祠があったそうです。不思議なことに、白い巨岩は周囲の花崗岩と種類が違うように思います。この岩は、屋久島奥深くに見られる岩だと思うのですが、なぜここにあるのでしょう？さて、神社背後に見える岩峰は、モッチョム岳と耳岳、割石岳の尾之間三山。なかなかの迫力です。屋久島には、集落の安全や豊穣を山の神に祈る「岳参り」の伝統がありました。特にこのモッチョムとは、地域の言葉で女性の秘部を表す言葉に由来するとも言われています。日本一の陰陽山とも呼ばれ、山の西方からは陽、東方からは陰に例えられる姿を見ることができるのだとか。頂上巨岩の南側の岩陰には尾之間地区の岳参りの祠があり、この山が岳参りの「前岳」とされてきた歴史を持つことが分ります。　　☆モッチョム岳から真北には、標高1497mを誇る屋久島の太忠岳が位置しています。その頂上付近にそびえる『天柱石』は、もはや神の領域。私たちはヤクスギランドから撮影しただけですが、実際に登ると・・・　（環境庁ホームページより）海際からもこの岩は見え、当然ながら「岳参り」の山となっています。岩の陰には一品宝寿大権現の祠があるそうで、巨石磐座信仰の典型だと思います。ここからさらに真北へと伸ばした線上には、いろいろ山があるのですが、最後には海際の益救（やく）神社にぶち当たります。ここは御嶽信仰のお社で、孤島にもかかわらず、何と由緒ある式内社。この由緒で注目すべきキーワードは、「龍宮」と「一品宝寿大権現」でしょう。まず「一品宝寿大権現」は、真南にある超巨石、天柱石にも祀られています。あきらかにこの南北線が意識されているわけですね。そしてもうひとつの「龍宮」は、意外なところにありました。益救神社から北は大隅海峡なのですが、このラインを真北へとさらに伸ばすと、薩摩の開聞岳がありました。　（ウィキペディアより）この開聞岳や山麓の枚聞（ひらきき）神社は、龍宮伝説で知られます。つまり大隅海峡を隔てて、龍宮伝説色濃い神社が南北に相対しているわけです。ところで太平洋戦争中、旧知覧町の陸軍飛行場（現知覧特攻平和会館）から出撃した特別攻撃隊機は、まず開聞岳へと進路をとり、富士山にも似たその山容に故郷や家族への別れを告げつつ南方へと向かったとのだそうです。特攻隊員にとっては、内地のシンボル、神宿る聖山だったのでしょうね。あるいは縄文の昔から、黒潮の海を渡ってきた人々にとって、開聞岳は孤島ではない巨大な陸地に着いたという聖なる目印だったと思います。もし太忠岳の『天柱石』によじ登ったなら、南にモッチョム岳、そして遥か北の海の向こうには、美しいシルエットの開聞岳が見える事でしょう。単なる妄想かもしれませんが、モッチョム岳から開聞岳に至る南北線、何か秘められた重要な意味があったような気がします。四苦八苦のネタ探し、三つクリックしていただくと元気が出ますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

屋久島の保食神社とモッチョム岳南北ライン