西国三十三所の再興の地? 聖徳太子の眠る叡福寺に行ってきました! - 西国お遍路“行雲流水”の詳細

西国三十三所の再興の地? 聖徳太子の眠る叡福寺に行ってきました! - 西国お遍路“行雲流水”
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記事タイトル 西国三十三所の再興の地? 聖徳太子の眠る叡福寺に行ってきました! - 西国お遍路“行雲流水”
概要

聖徳太子御廟 叡福寺えいふくじは大阪府南河内郡太子町にあるお寺で、宮内庁が管轄する聖徳太子の御廟があることから、四天王寺、法隆寺と並んで太子信仰の中心となったお寺です。また、上之太子とも称され、中之太子(野中寺)や下之太子(大聖勝軍寺)とともに三太子の一つにも数えられています。…… more 巡礼情報 縁起 見所 南大門 宝塔 金堂 聖霊殿 念仏堂 弘法大師堂 見真大師堂 浄土堂 聖徳太子御廟 ご詠歌 アクセス 公共交通機関 お車 叡福寺データ 境内案内図 南坊の巡礼記(2021.3.3) 巡礼情報 折しも聖徳太子1400年御遠忌大法会が2021年4月10日(土)から5月11日(火)まで開催されるとのことで、今注目を集めているお寺の一つでしょう。 縁起 叡福寺の成立縁起は、叡福寺のホームページに詳しく記載されています。 それによると、聖徳太子は生前、自らの墓所をこの磯長しながと定めておられ、推古天皇30(622)年2月21日にまずお妃であった膳部大郎女かしわべのおおいらつめが亡くなられ、先に埋葬されます。しかし何と、続けて翌日には聖徳太子も49歳の若さでお亡くなりになってしまい、二ヶ月前に亡くなっていたお母さまの穴穂部間人あなほのべのはしひと皇后とともに埋葬されました。この形式は三骨一廟と呼ばれるそうです。 その後、推古天皇から六町四方の土地を賜り、霊廟を守る香華寺として僧坊を置いたのがお寺の起源とされます。神亀元(724)年には聖武天皇の勅願により七堂伽藍が整備されたということです。 その後このお寺は、聖徳太子が救世観音の生まれ変わりであるとされた太子信仰の象徴となり、空海や親鸞、一遍や日蓮などが参籠しました。 天正2(1574)年に織田信長の兵火によって堂塔のすべてが失われましたが、慶長8(1603)年に豊臣秀頼により聖霊殿が再建されたのをはじめ、江戸時代中期にわたって伽藍が再興されたそうです。 実はこのお寺は、西国三十三所巡礼とも深く関わっているのです。『中山寺由来記』*1には、以下のような記述があります。 時に 花山法皇御発心の初め長谷寺に詣でて大士に誓ひ戒師を求め給ふに五更寂寞たる時しも一僧来りて告げて曰く 河州石川寺の僧佛眼は三学了解の明師なり 彼所に至りて度を求め給へと、法皇教へに任せ給ふに果して一僧あり眼芒光輝す、是則ち佛眼上人にして然かも熊野権現の化身なり、依って受戒得度し法諱を入覚と号し奉る、法皇殊に戒恩に酬い厚く金銀を擲ち玉はんとす、佛眼曰く 夫れ報恩は只衆生解脱の方便にありて更に金銀に非ず、爰に観音巡礼の法あり、往昔徳道、閻王の告げにより四海其行に倣へども今中絶年久し、想ふに法皇其人に当れり宜しく再興して一切衆生を彼岸に導き給へと 徳道上人が始めた西国三十三所の観音巡礼も、200年以上経って廃れてしまっていたなか、花山法皇が長谷寺で受戒得度の師を求められたところ、お告げがあって河内国石川寺(叡福寺のこと*2)の僧侶佛眼は優れた僧侶であるから、そこへ行きなさい、とのことでした。そこで花山法皇が叡福寺に行ってみると、はたして目の輝きが尋常ではない佛眼上人ぶつげんしょうにんがいらっしゃいました。しかも実は熊野権現の化身だったのです。そこで受戒得度し、お礼をしようとしたところ、佛眼上人はお礼は結構ですので、西国三十三所の観音巡礼を再興して衆生を救ってください、とおっしゃいました、というのが大意です。 つまり、西国三十三所を再興したのが花山法皇ならば、再興の地はこの叡福寺ということになるわけです。現在、叡福寺はとくにこのことをアピールしておられませんが、新西国霊場の客番として、観音信仰の流布に努めておられます。 見所 南大門 ※南大門 叡福寺の仁王門です。織田信長に焼かれたあと、再建されましたが、腐朽がひどく、1958年に再建されました。こじんまりした印象ですが、鮮やかな朱が青天に映えます。 宝塔 ※宝塔 江戸時代前期の承応元(1652)年、江戸の三谷三九郎によって再建されました*3。ご本尊は東向きに釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩の三尊像、西向きに大日如来が配されているそうです。国指定の重要文化財です。 金堂 ※金堂 行事準備のため業者来訪中 江戸時代中期の享保17(1732)年の建立です。ご本尊は如意輪観世音菩薩の坐像。聖徳太子の本地を観世音菩薩であるとする平安時代以来の信仰に基づいているそうです。大阪府の指定文化財です。 聖霊殿 ※聖霊殿 太子堂とも呼ばれ、聖徳太子像が祀られています。16歳像は文治3(1187)年後鳥羽天皇が宮中にあった16歳像をご下賜されたとのことです。建物は桃山時代末期の特徴が見られるそうです。こちらも国指定の重要文化財です。毎月11日にご開帳が行われます。 念仏堂 ※念仏堂 ご本尊は阿弥陀如来。善光寺四十八願所の第十三番札所とされます。なお、この霊場会は現在存在しない模様です。 弘法大師堂 ※弘法大師堂 弘法大師が60歳のとき、自ら三鈷をもって刻まれた大師像がご本尊です。弘法大師の命日にあたる毎月21日には、ご開扉が行われて法要が行われます。 見真大師堂 ※見真大師堂 建物は1912年の建立です。親鸞聖人が88歳でご参籠された際、自ら刻まれた聖人像がご本尊です。 浄土堂 ※浄土堂 慶長2(1597)年の再建です。ご本尊は阿弥陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩の三尊です。普段は永代供養のご位牌を安置しておられるようですが、聖徳太子1400年御遠忌大法会のため修復中で、ご位牌は太子廟西側の上之御堂に仮奉安しているとのことです。 聖徳太子御廟 ※聖徳太子御廟 宮内庁の管轄 聖徳太子、お母さま、お妃さまが眠っておられる御廟です。それゆえ、三骨一廟の形式とされます。直径54.3メートル、高さ7.2メートルの小さな円墳で、太子の人柄がしのばれます。さすが、宮内庁が管轄しています。   ご詠歌 ご詠歌とは、仏や霊場をたたえる巡礼歌のこと*4とされます。 磯長しながなる み寺にいまも うまやどの  みこのみたまは しずまりてます 聖徳太子は厩戸王うまやとおうと呼ばれることもあります。磯長山にあるお寺には、今も聖徳太子のみ魂が鎮座されていますよ、ということでしょう。和歌の解釈は門外漢ですので、掛詞等分かりません。 アクセス 叡福寺のホームページに詳しいアクセス情報が掲載されています。 公共交通機関 近鉄「上ノ太子駅」から金剛バス「喜志駅前」行に乗車「聖徳太子御廟前」下車すぐ(「上ノ太子駅」から10分)。 お車 南阪奈道路「太子IC」から南西へ。約5分。 駐車場あり。10数台。無料。 叡福寺データ ご本尊 :聖如意輪観世音菩薩 宗派  :単立 霊場  :新西国三十三箇所 客番      仏塔古寺十八尊 2番      河内西国霊場 21番      聖徳太子遺跡霊場 6番      西山国師霊場 15番      河内飛鳥古社寺霊場 15番           神仏霊場巡拝の道 第57番 所在地 :〒583-0995 大阪府南河内郡太子町太子2146 電話番号:0721-98-0019 拝観時間:7:30~17:00 拝観料 :無料 URL        : https://eifukuji-taishi.jp/index.php 境内案内図 上記サイトの下部に案内図があります。 南坊の巡礼記(2021.3.3) 午前中に施福寺せふくじの難所をクリアし、いったん和泉府中駅にスタンプをいただきに行きました。そこでついでに昼食もいただきます。12時少し前でしたでしょうか。個室麵屋ひいらぎ和泉府中店で、ラーメンと炒飯のセットをいただきました。疲れているときには、こういうセットは元気の源となります。 さて、『中山寺由来記』を読んでから、行ってみたいと思うようになっていた叡福寺えいふくじを訪れます。恥ずかしながら太子町というのは初めて訪れましたが、小山が多い、いかにも古墳が眠っていそうな歴史を感じさせるところですね。12時40分、叡福寺の駐車場に到着です。仁王門の下、道路に面したところは数台程度しか停められませんでしたが、右の少しだけ上ったところにある、集会所のようなところの手前に10台程度停められます。広々としたそちらに停めさせていただきました。参拝者の方もちらほらといらっしゃるようです。 仁王門に少々違和感を覚えます。仁王像と門の大きさがアンバランスで、仁王像が小さくないでしょうか。スペースがもったいないような気がします。そう思うのは私が貧乏性だからでしょうか。 ※仁王門 しかし、境内に入ってまず思ったのは……。 ※叡福寺境内 キレイだし、立派だな、ということです。お庭もキレイに整備されています。広々とした境内に伽藍が点在していて、こんなに立派なお寺だとは正直まったく知りませんでした。自分の不勉強さに恥じ入るばかりです。 金堂の中から人の声がするので入ることができるのか、と思いましたが、どうやら聖徳太子御遠忌の準備の方のようで、どうりで金堂前には軽トラックが停まっているわけです。 やはり一番の見所は聖徳太子御廟でしょうか。 ※聖徳太子御廟の高札 以下に高札の内容を引用します。 推古天皇皇太子聖徳太子            磯長墓 一、みだりに域内に立ち入らぬこと 一、魚鳥等を取らぬこと 一、竹木等を切らぬこと            宮内庁 まず、字が達筆ですね。高札をいつ立てたのかは分かりませんが、宮内庁職員の方の筆でしょうか。「みだりに」立ち入ってはいけないということですが、「みだりに」ではなかったら入っていいんでしょうか。いや、いいわけないですよね。 鳥はともかく、魚はいるんでしょうか。Googleマップの航空写真で確認すると、この南東側に小さな池のようなものがありますので、もしかするとそこまでがご陵墓の範囲なのかもしれません。あまりにも簡潔すぎて、いろいろと突っ込みを入れたくなってしまいます。 最後に、朱印所でご朱印を押していただきます。若いお坊さんが書いてくださいました。西国三十三所ですと、真ん中には「大悲殿」と墨書されることが多いですが、ここでは「聖徳廟」と書いてくださいます。これは日本でも唯一、ここだけのご朱印でしょう。何しろ、聖徳太子の御廟はここにしかありませんからね。 それにしても、日本の仏教界において聖徳太子の占める位置が大きい、ということに改めて気づかされました。これだけの立派なお寺ですから、皆さんもぜひ一度は訪れてみてください。 巡礼情報 縁起 見所 南大門 宝塔 金堂 聖霊殿 念仏堂 弘法大師堂 見真大師堂 浄土堂 聖徳太子御廟 ご詠歌 アクセス 公共交通機関 お車 叡福寺データ 境内案内図 南坊の巡礼記(2021.3.3) *1:国立国会図書館デジタルコレクション『中山寺由来記』2021.4.13閲覧 *2:叡福寺ホームページ「叡福寺由緒」2021.4.13閲覧 *3:太子町ホームページ「叡福寺」2021.4.13閲覧 *4:新西国霊場会ホームページ「御詠歌一覧」2021.4.13閲覧 close

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サイト名 御朱印(神社・仏閣)
タグ お寺 お遍路
投稿日時 2021-04-14 00:44:02

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