本日は、なんとも不思議な石室を持つ古墳の話題です。この古墳は、寝屋川市の東端、打上元町の山中にありました。名前は、「石の宝殿古墳」。主体部の横口式石槨は2つの巨石を組み合わせたもので、底石の上に、直径3メートル 、高さ1.5メートルで内部をくり抜いた蓋石を置いています。くり抜かれ…… more た空洞部は、幅0.9メートル×高さ0.8メートル、奥行き2.2メートル。『河内国名所図絵』には、ここに置かれた金銅の壺内に白骨が収められていたと書かれています。火葬後の骨を安置したのでしょう。側面です。なんとも不思議なのは、前面に2つの石が立てられ、羨道部を形成していることです。明日香村の鬼の爼や雪隠などが似ているとはいえ、きわめて特異な形状のものです。なぜこんな特殊な文化がここにあるのでしょうか？　　☆石の宝殿古墳の手前に、高良神社があります。神社脇の山道から奥へ行くと、古墳に至るわけです。ひょっとすると、この古墳を護るためのお社が、高良神社である可能性があります。いずれにしろ、同じ文化圏にあると見ていいと思います。では、「高良」とは何か？全国に60社以上ある高良神社の祭神は、武内宿弥がいちばん多く、次に高良神なのだそうです。福岡の高良大社では、祭神の「高良玉垂命（こうらたまたれのみこと）」が中世以降に八幡神第一の伴神とされたことから、応神天皇（八幡神）に仕えた武内宿禰がこれに比定されているわけです。しかし高良神であれ武内宿弥であれ、同じような古墳が見つかっていないのですから、結局よくわかりません。実は、高良＝高麗ではないかという説があります。寝屋川から交野にかけての北河内地区は、秦氏をはじめとする渡来人文化が強い地域です。かなり可能性があると思います。ただし、渡来人であろうと、石の宝殿古墳のような墓が造られていた地域が朝鮮半島からユーラシアにかけてのどこかにあったのかと言うと、やはり皆目見当がつきません。どこかユーラシア大陸のどこかに、こんな墓制が存在したのでしょうか？それとも、何か特別な思想のもとに作られた、特異な施設なのでしょうか？羨道左前に「天岩戸大日如来」と刻した石碑が立ち、麓の明光寺の山号は「天照山」であるなど、石宝殿古墳は天岩戸であるとの伝承もあります。ひょっとして太陽信仰に関わるのでしょうか。何とも謎めいた、石の宝殿古墳の紹介でした。三つクリックしていただくとありがたいです。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

石の宝殿古墳と高良神社（寝屋川）