このシンプルな神社をご覧ください。社務所はおろか、手水舎もないローカルなお社です。しかしここは、神道史における極めて重要なお社でした。なんとこの下から、3万年以上前の石器が出土しました。そして、旧石器時代から土器文化(縄文時代)への過渡期の文化層が認められたという、特別な遺跡なの…… more です。では、ここはどこなのか？答えは、佐世保市の福井洞窟。岩陰に稲荷神社が祀られています。令和3年4月28日、ここから約4キロの場所に福井洞窟ミュージアムがオープンしました。コロナで閉館していたようですが、先月再開したようです。　（佐世保市ホームページより）ここは洞窟遺跡をテーマとした博物館で、福井洞窟から出土した石器・土器などの出土品(国指定重要文化財を含む)約400点を展示するとともに、旧石器時代から縄文時代の人々の暮らしを映像パネルなどでわかりやすく紹介しています。中でも発掘現場を再現したジオラマと6メートルの地層（実物）は必見なのだとか。では日本の神社は、縄文時代あるいはそれ以前から存在したのでしょうか？　☆実は、この稲荷神社と遺跡との関係については、何も語られていません。当然でしょう、いつ創建された神社なのか、資料がなさそうなのです。縄文時代から続くという証拠はなく、たまたま後世に祀られただけなのだろう、というのがみなさんの考えなのかもしれません。しかし以前にも話題にしたように、神道史研究の大家である西田長男氏は、相模三宮の比比多神社と縄文遺跡との関係から「神社一万年」を論じられました。また、平凡社新書の「原始の神社をもとめて」の著者、岡谷公二氏は、『延喜式』の名神大社と縄文遺跡が結びつく例がしばしばみられることなど、縄文の遺物を出土する神社の例を多く挙げて、縄文時代を起源とする神社の存在について示唆されました。あるいは神社の側からも、縄文起源が論じられています。下は、京都府亀岡市の出雲大神宮の写真です。「皇祖より壱萬年以前」といえば、今から一万三千年近く前。明らかに縄文時代の起源ということになります。単なるでっち上げ的な「年齢詐称」とは異なり、神体山や特殊な磐座、「元出雲」という名称は、起源の古さを物語ります。さらに、北海道小樽市蘭島に鎮座する金吾龍神社のＨＰには、驚くべき由緒が記されています。金吾龍神社は、北海道小樽市と余市町の境界となる西崎山の尾根（フゴッペ岬の付け根）に鎮座しております。この地は太古の昔から聖地とされ、周辺は大小100以上の環状列石（ストーンサークル）や有名なフゴッペ洞窟壁画、多数の集落や貝塚など、国内でも稀有な縄文遺跡の密集地帯として知られています。当社の創始年代は不詳ながらもかなり古く、境内地から出土した祭祀用の縄文土器などの分析から、約5000年以上前から祭祀が行われていたと推測されています。　☆洞窟や岩屋を神聖視する伝統観念は、神道・仏教を問わず、全国あまねくみられます。私のような昭和世代のオジサンは学校で、縄文時代は生産力も文化程度も≪原始的≫な人々だったと習いました。しかしそんな縄文人は、私たちの想像を超える文化を持っていることが分かってきました。以上のようなことから考えるならば、稲荷信仰自体はなかったにせよ、福井洞窟を神聖視する観念が、かなり古くからずっと続いていた可能性はあるかもしれません。神社の起源も、案外普通に縄文時代には存在したのかもしれませんね。ありえない話ではないかもな、と思われましたら、ポチよろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

縄文起源の神社はほんとうにあるのか？