4月18日、京都駅よりJRの特急「ひだ」号に乗車し、岐阜へと向かいました。JR岐阜駅に降り立つと、金ピカの信長像に出迎えられます。さて、今回の目的地は岐阜駅からバスで10分程のところにある美江寺（みえじ）観音です。こちらのご本尊である秘仏・十一面観音像が毎年4月18日が開帳される…… more という噂を聞きつけはるばる岐阜までやってきたというわけです。美江寺の起源は古く、717年に元正天皇勅願により伊賀寺（現在の三重県名張市）の十一面観音を美濃国（岐阜県瑞穂市）に移されたのが始まり。そして、戦国時代に斎藤道三が城下町繁栄のために現在地に移したのだそうです。さっそく本堂を拝観させていただきます。受付らしき場所で拝観料を納めようとしたところ、なんと「無料です」とのこと。秘仏開帳日だというのになんとも良心的なお寺さんです。その分、お賽銭はいつもより多めに納めまさせていただきました。まず本堂中央には御前立の十一面観音立像が祀られていました。この御前立像の裏手に通路があり、その奥が小さな収蔵庫になっているようです。（※お寺の方に断ったうえで撮影させていただきました）そして奥に進むと、ご本尊の十一面観音様がいらっしゃいました。素朴で優しいお顔ながらも、威厳を感じるのお姿をしていらっしゃいます。奈良時代の仏像で脱活乾漆仏としては唯一の十一面観音像だそうです。そもそも高価な漆を大量に用いる脱活乾漆という技法で作られた像が地方にいらっしゃること自体が珍しいことだと思われます。岐阜にこんなに素晴らしい観音様がいらっしゃったとは驚きです。ご本尊の隣には、珍しい半跏の不動明王像も祀られていました。こちらは鎌倉時代の作のようです。本堂外陣には、庚申信仰でおなじみの青面金剛も祀られていました。忿怒の形相ですが、首飾りのドクロはポップな印象です。また、御前立像の前には台座が異様に長い円空仏もまつられていました。像高37センチと小さな像ですが、そのうち台座部分は20センチもあります。こちらは2013年に発見されたものだそうです。貴重な脱活乾漆造の天平秘仏をはじめ、珍しい不動明王半跏像や円空仏など美江寺はみどころ満載でした。何年後かの4月18日にまた再訪したいと思います。最後に、美江寺の御朱印です。「大悲殿」美江寺観音　見仏メモ■寺号：美江寺（みえじ）■山号：大日山■通称：美江寺観音■住所：岐阜市美江寺町2-3■宗派：天台宗■本尊：十一面観音立像（重文）　　※秘仏（毎年4月18日開帳）■創建：719年（養老3年）■開基：勤操、元正天皇勅願■拝観時間：拝観自由■拝観料：無料■交通：JR岐阜駅よりバス約10分、「市民会館・裁判所前」下車すぐ■今回見仏した御仏　　・十一面観音立像（本尊） － 重文、天平時代、脱活乾漆造、像高176.6cm　　・十一面観音立像（御前立） － 岐阜市指定、平安時代、木造　　・不動明王半跏像 － 鎌倉時代、木造　　 他■地図　■関連書籍　　美江寺観音は「東海美仏散歩」にて紹介されています。 close

岐阜の天平秘仏を拝観（美江寺観音）