もし貴方が、あるお社の宮司さんだとします。古くからの伝統ある神社で、宮司家も先祖代々の由緒ある家系です。ところが、神社背後の神体山に、高速道路のトンネルを貫通させる計画が突如告げられました。片側二車線の四車線、かなり大きい空洞がご神域の下を貫くことになるのです。宮司としては、背後…… more の山は清浄なご神域であり、神様の鎮まる場所を汚すことはできません。工事中に死亡事故でも起これば、大変なことになります。幸い無事に工事が終了しても、工事中の地響きや振動は、ご神域を揺るがします。下手をすると、神様やご先祖の霊に叱られるかもしれないのです。もし貴方が宮司なら、この高速道路建設に、どういう態度を取られますでしょうか。・・・おそらく、こんなご意見が多いかと思います。道路建設は公共の福祉や住民サービス、地域振興につながるものであり、中止を求めるのは無理がある。トンネルの位置をずらすなど、条件闘争にするべきではないか・・・。　　☆私の知っている例では、京都府亀岡市の鍬山神社の背後、祭神が降臨した、その名も天岡峯に京都縦貫道が通っています。鍬山神社では、大己貴命（大国主命）と誉田別尊（応神天皇）の二柱をお祀りしています。誉田別尊は、永万元年（一一六五）に天岡峯に弓矢を負った武人の姿で降臨されたと伝えられ、八幡宮として祀られました。その後、社殿に嫗の舞楽面が降り、皇居に降った翁面と合わせて神宝として当社に祀ったと言われています。このことから天岡峯は面降山とも呼ばれるようになりました。かつて私がお会いした宮司様は、「二人以上なら、山上の磐座へ案内してあげますよ」と言ってくださった、とても優しく親切な方でした。残念ながら、神体山にトンネルが貫通していることについては、お聞きしていません。しかし、いろいろな思いがおありになったのだろうとお察しします。　　☆下は、和歌山県西牟婁郡白浜町十九渕の日神社（にちじんじゃ）です。平安時代（１１６７）に吉田少将藤原範秀が、伊勢に鎮座する天照皇大神の御分霊を奉斎したのに始まります。藤原範秀は、天児屋根命の後裔・藤原淡海公十六世の孫であり、敏秀の子孫が代々宮司として祭祀を受け継いでおられます。というわけで、宮司様の家系は、まさに名門ですね。かつて社殿は荘厳美麗を極め、人々はここを紀州日光と呼び、例祭には田楽舞、流鏑馬等の神事がありました。しかし戦乱などで、現在はそれも絶えています。名門ながら気さくで優しい宮司様のお話を伺うと、ある日突然、背後の山に紀勢自動車道のトンネルを貫通させる計画が出てきたのだとか。先祖代々、天児屋根命の後裔たる立場で、天照皇大神のご神域を守ってきたのに、四車線の高規格道路を通すというのですから、大変驚かれたそうです。当然ながら、トンネルの位置を少しずらすなどの交渉をしたものの、結局は当初の計画通りにトンネルは完成しました。「私はね、できたトンネルを一度も通ったことがないのですよ。通る気にはなれません」優しいながらも、きちんと宮司としての筋を通す、立派な方でした。さぞかし思うところがいろいろあったのだろうとお察しします。　☆ここからは、私の勝手な想像です。ご神域の山の下を貫通したトンネルは、紀伊田辺や温泉地の白浜と、潮岬に近いすさみ地域を結ぶ幹線道路です。先日のニュースでは、この道路は「二階さんの道路」と呼ばれているのだとか。大地震で国道や鉄道が寸断されても、標高の高い地域を頑丈なトンネルで結ぶ道路があれば命と暮らしは最低限守られます。それを二階幹事長（前）の剛腕で、早く実現できたと思われているようです。この流れでは、宮司様がいくら条件を出されても、やはり無理だったのかと勝手に想像する次第です。（ただし、最低限の交換条件は、宮司のプライドをかけてなんとか飲ませたとか）　　☆不思議なことに、その大地震と津波に関して、このお社は大変重要な文化財を所蔵しておられました。そしてそこには、少し気味の悪い、過去の大地震の予兆も記されていたのです。正直私は不安になっています。そのことについては、また明日。四苦八苦のネタ探し、三つクリックしていただくと元気が出ますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

神体山に巨大なトンネル・・・日神社の苦悩