和歌山県田辺市本宮町本宮にある熊野本宮大社です。延喜式では式内社（名神大社）に列せられ、明白な創建年代は不明でありますが神武東征以前には既に御鎮座になったと云われており、社殿は崇神天皇65年（紀元前33年）に創建されたと『皇年代略記』や『神社縁起』に記されています。全国にある約3…… more 千社の熊野神社・十二所神社の総本社で、また現在はユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の1つともなっています。平安時代には宇多法皇に始まる歴代法皇・上皇・女院の熊野御幸は百余度に及び、幾度かの御幸に供奉した藤原定家が『明月記』の中で「感涙禁じ難し」と記しており 、熊野本宮大社への熊野詣がいかに困難でお参りできることの感動が大きいか窺い知ることができます。現在の本殿の御鎮座している場所は創建時の鎮座地ではなく、かつてはここより少し離れた熊野川の中洲にありましたが、1889年（明治22年）8月に発生した十津川大水害により多くの社殿が流され、その後、現在位置に再建されました。創建時よりずっと御鎮座されていた中州に近年になって大規模な洪水が引き起こされた理由は、一説には明治期に入り山林の伐採が急激に行われたことにより山林の保水力が失われた為と考えられています。御祭神は主祭神として熊野坐大神（家都美御子大神）古くには熊野坐大神(くまのにいますおおかみ)「熊野にいらっしゃる神」と呼ばれ、御神名が明確ではありませんでしたが社殿が創建される頃には家都美御子大神となり、奈良時代には仏教を取り入れ神仏習合の頃になると仏化により「熊野権現」と称されるようになりました。ちなみに熊野本宮大社の家都美御子神は阿弥陀如来、新宮の熊野速玉男神は薬師如来、熊野那智大社の熊野牟須美神は千手観音とされ、この熊野三山のある熊野全体が仏教における浄土、浄化の地とみなされていました。室町時代以降は武士や庶民の間に熊野信仰が広がり、熊野本宮大社に大勢の人々が競って参詣し「蟻の熊野詣」と呼ばれる現象を起こすまでに至りました。かつては創建の地である熊野川の中州に、上四社、中四社、下四社を始め拝殿や様々な社殿が立ち並んでいましたが、大水害により上四社以外の建物は全て流されてしまったため、中四社、下四社と様々な摂末社の再建は行われず、洪水で流されなかった上四社のみ現社地に移築され現在の形となっています。移築された本殿は第一・二殿と第四殿は享和2年（1802年）、第三殿は文化7年（1810年）の建立と判明しており重要文化財に指定されています。各建物は入母屋造屋根を用いる点、木割が太く、装飾の少ない簡素な構成とする点に特色があり、床下に連子窓を設けるなどの細部形式にも特色があり、社殿の形式や配置は中世の絵画資料にみられるものと一致し、古くからの形式を保持していることがわかります。○いつもポチッと投票ありがとうございます(o´ω`o)励みになります♪○ close

▼熊野本宮大社-本殿▼