今回訪れたのはこちら海龍王寺です。【所在】奈良県奈良市法華寺北町897【山号】無し【宗派】真言律宗【開基】光明皇后（発願）【本尊】十一面観音【海龍王寺】海龍王寺の前身は藤原不比等の邸内北東隅にあった寺院である。不比等の没後、娘の光明皇后が相続して邸宅は皇后宮となり、皇后宮内寺院の…… more 整備が行われた。皇后宮の北東隅にあったため古くは隅寺とも呼ばれ、初代住持には天平7年（734）に帰国した玄昉が就いた。寺号の海龍王寺は、唐からの帰路、暴風雨に遭うも「海龍王経」を唱え無事に帰国したことにちなむ。玄昉は海龍王寺を「平城京内道場」と定めて宮中の仏堂とし、天皇家を支えた。また「般若心経」写経の発祥寺院であり、「隅寺心経」と称される般若心経の写経が今も残る。平安遷都後は衰退したが、鎌倉期に西大寺僧・叡尊上人によって伽藍の復興が進められ、戒律の道場として栄えた。その後、室町期の戦乱の余波や明治期の廃仏毀釈などで寺は再び荒廃したが、昭和40年～42年の解体修理を経て復興が進み、現在に至る。国宝「五重小塔」、重要文化財「西金堂」は皇后宮内に残る唯一の奈良時代の建造物であり、宮廷寺院の伽藍を現在まで伝える貴重な遺構である。春、境内は雪柳の白一色に染まる。（境内説明板より）この時季に訪れようと思っていたものの、桜を優先してしまい、タイミングを逃し続けていた海龍王寺。境内は優しい白に包まれていました。表門から入ります。【海龍王寺表門】海龍王寺は光明皇后が天平3年（731）に創立したと伝え、この表門の位置は平城京の東二坊大路に面する場所にある。円形の本柱の前後に立つ合計四本の控柱の数から、このような形の門を四脚門という。控柱の角の欠き取り部分（面という）が大きく、屋根の垂木の先が反り増しているなど、中世建築の様式を今に伝えており貴重である。（海龍王寺表門 説明板より）この先で拝観料を納めます。通常は500円ですが、この日は十一面観音特別開帳時でしたので、600円でした。まずはこちらは経蔵。写真が撮りづらい所に建っています。【一切経蔵】正応元年（1288）建立。室町時代と、寛永七年（1630）に修理が行われ、昭和四十年～四十二年にかけて解体修理が行われました。経典や文書を納めたことから、高床式の建物になっています。（一切経蔵 説明板より）西金堂は、奈良時代に建てられた重要文化財です。幾度かの大規模な修理を受け、一部に奈良時代の木材を残します。この西金堂に安置されているのが国宝の五重小塔です。【五重小塔】高さ4.01ｍ、奈良時代初期。創建当時から西金堂内に安置される小塔で、奈良時代の建造物としての五重塔はこの1基しか現存しない。細部にかなり早い時期の天平建築の技法がみられ、塔の建築様式の発展をたどる上でも貴重である。また屋内に安置する工芸品としての性格も強く、外部は組物などの細部に至るまで精緻に作られている。また上層に行くに従って塔身が細くなり、上層と下層の均整を重視した寸法取りがみられる。皇后宮寺院という限られた敷地に「東西両塔」を備えた伽藍形式を持ち込むべく五重小塔を造立し、東金堂（明治初年に喪失）と西金堂にそれぞれ納めたと考えられる。（五重小塔 説明板より）敷地に建てるスペースが無いので、小塔を造り、東西両金堂に納めたってことでしょうか。本堂です。本尊の十一面観音菩薩立像は、鎌倉時代の造立で、金泥が見事に残ります。【海龍王寺本堂】本堂は奈良時代に建っていた中金堂の位置を踏襲しており、深い軒の出と勾配の緩い屋根、それに堂内の柱配置が整然としていることなど、奈良時代の仏堂の様式と似ている点が多い。建立年代は寛文年間（1665年頃）とも伝えられ、江戸時代の建物でありながら古風な造りであり、古い伝統建築の様式が好まれた奈良の地域性を知ることができて貴重である。（海龍王寺本堂 説明板より）本堂からの眺め。本堂と西金堂。燈籠と雪柳。境内の雪柳は8分咲きでした。このあたりで表門へ戻り、海龍王寺のそぞろ歩きは終わりです。隣接する法華寺と同じく、こちらも光明皇后にゆかりのあるお寺です。可憐な白い花がゆらゆらと春風に揺れる様は、光明皇后が参詣者を迎えてくれている様です。にほんブログ村 close

海龍王寺の雪柳