冬至の朝日が、伊勢内宮の五十鈴橋の正面に昇ることは､何度も記事にしてきました。祭神の天照大神は太陽神ですから、重要な祭祀日である冬至の朝日が重要なのは当然かもしれません。しかし、いつ誰が、何のためにこの橋の設計をしたのか、それは分かっていないのです。つまりあの伊勢神宮でさえ、太陽…… more 祭祀文化が過去から現代まで、連綿として受け継がれてきた・・・・というわけでもないわけですね。そもそも内宮と外宮の関係が悪化した時期もあり、文明十八年（一四八六）には武力衝突で外宮が火災で燃えたりしています。500年、1000年の間には、伊勢神宮にもさまざまな紆余曲折があったわけで、古い信仰の一部が受け継がれていないとして不思議はありません。　　☆というわけで、それと同じ、古い太陽信仰が受け継がれていないと私が勝手に思うのが、姫路市の高岳神社（たかおかじんじゃ）です。ここは丘の周囲が姫路市街という、街中に不思議に盛り上がった丘陵です。そして本殿裏の頂上部には、こんな不思議な露岩があります。この隙間から、冬至の朝日が昇る事は、以前に記事にしています。しかし、ここが太陽信仰の磐座であることは、私だけが推論している事であって、ほかに賛同者がいるわけではありません。内宮の宇治橋の向きと同じで、この磐座がなぜ冬至の朝日の向きになっているのか、それはすでに分からないのです。先日の記事でも載せたように、太陽信仰とは、具体的な日の出や日の入りが極めて重要です。皆様は、高岳神社の冬至の朝の写真を見て、「何の意味もない、単なる偶然だよ」と思われますでしょうか。それとも、「たしかに、ここでかつては冬至祭儀が行われていた可能性はあるかもね」と思われるでしょうか。　　☆そんな大事なことが、今の高岳神社の祭祀に受け継がれていないのはおかしい、と言う意見もあると思います。しかし、伊勢神宮の宇治橋の光景の意味は、現在の伊勢神宮に受け継がれていません。高岳神社にしても、磐座研究者のバイブルともいうべき『磐座紀行』には、こう記されています。「元は西が正面であったらしく、巨岩に玉垣をめぐらし、正面に一対の狛犬、石の鳥居だけあって、岩を拝するようになっている」「これほど整った磐座があるのに、八丈岩山を高岳神社の旧地と考えたのは、いかなる時、いかなる人か、今我々が考えさせられるところである。」つまり、神社の向きが後世変化している事と、「八丈岩山が高岳神社の旧地である」という伝承にたいする疑問を記されているわけです。立派な神社だから、大昔からの伝統を受け継いでいる、と言う考えは必ずしも正しくありません。私の知っている、日本史上における重要な人物を祀る古い神社の宮司様は、「いや、ここは戦国時代に古文書類も焼かれて無人の社となり、私の先祖が宮司としてここに来たのはそのずっと後なので、詳しい歴史はわからないのですよ」と仰っていました。　☆さて本日は、この高岳神社を、もう少し詳しく紹介したいと思います。これは、参道途中にある稲荷の祠です。よく見ると、小さな洞窟の入口に位置していることが分かります。実はここもまた、特定の日の太陽光が差し込む角度になっているのではないかと思っています。実際に立証できましたら、改めて報告したいと思います。さらに次は、同じく参道の途中にある金刀羅宮です。ここは、巨石信仰のお社といえると思います。そして、山上の本殿。さらにその上に、先ほどの不思議な露岩があるわけです。そこから、もうちょっと奥へと尾根をたどります。すると御旅所がありました。やはり巨石です。その近くの、この岩も磐座群でしょうか？ここからは、不思議な露岩を参拝（調査？）されている集団が見えました。いかがでしょうか。神社関係の方からは、勝手なことばかり書いていると睨まれているような気がしますが、神社にはさまざまな謎と神秘があることの、ささやかな問題提起になれば幸いです。三つクリックしていただくと、ブログ継続の元気が出ます。よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

高岳神社・失われた古代太陽信仰