前回最後に載せたこの写真。これは、兵庫県朝来市の生野銀山で撮ったものです。洞窟の入り口がこれです。説明板です。説明板の後半には、鉱業の守護神である金山彦を祀った、山神宮の分社だと書かれています。そしてご神体に当たるのは、鏡でも玉でもなく、黄銅鉱の原石のようです。たとえば、こんな鉱…… more 石なのでしょう。さすが鉱山のお社ですね。しかしこれを磐座とみるかどうか、議論の分かれるところだと思います。さらに生野銀山には、他にも神仏が祀られています。例えば、観音岩。滝不動。さらに下は、神社の祭礼の時、鉱山から出た極上の鉱石を山車に乗せ、その周囲には、金糸・銀糸を織りなした飾幕で装飾して賑やかに曳き廻した「御見石」です。鉱山の世界でも、様々な神社仏閣や祭礼があるわけですね。そもそも生野銀山は、大同２年（807年）に開坑され、織田、豊臣、徳川それぞれの直轄鉱山として栄えた鉱山です。銀や銅などの鉱物を数多く産出しましたが、昭和48年（1973年）に閉山。現在は一般公開されています。　　☆この岩壁をご覧ください。上下に小さな洞窟が掘られています。この穴は、行者が修行をした洞窟でも、天岩戸的なご神体洞窟でもありません。坑道の試掘現場あるいは坑道の入口なのです。このような洞窟が、その意味を忘れられたころに、修験や原始神道の聖地として崇められた例は、全国にたくさんありそうな気がします。では、生野銀山の様子をどうぞ。　　☆さて、資料館にはこんな展示物がありました。「信長・秀吉を支えた生野の銀」「江戸時代の貨幣制度を支えた銀」という、きわめて重要な説明です。昨今のニュースで明らかなように、統一教会に関わる金銭の流れを見ると、日本の政治や社会の理解に、新たな視点が提供されます。それと同じように、信長や秀吉の資金源はどこにあったのか、あるいは生野銀山などの利益はどう利用されて社会の何を変えたのか。そして、新たな鉱山発見の任務を帯びて全国の情報を集めていたのは、いったい誰だったのか？・・・英雄的個人の運と才知で歴史を表面的に見ることの不十分さを、私はしみじみ感じます。別の例ですが、鎌倉幕府の成立は、はたして源頼朝や義経などの有能な武将が、「驕る平家」を戦術として負かしたからでしょうか。いや、「多田源氏」とよばれた源氏の資金源は、多田銀山だという説があります。事実、源満仲は猪名川で初めて砂金を採取した人物であり、源氏と鉱山との関係は深いようです。歴史上の英雄的人物たちは、その才能・才覚と組織力や努力や運などが注目されますが、その経済基盤はどこにあり、資金はどう流れたか、そしてパトロン的人物は何を目的としていたか、それはトータルに歴史を見る場合に必須の視点かもしれません。「もののけ姫」と谷川健一さんと若尾五雄さんが残したものの一つは、そこだと勝手に思っています。四苦八苦のネタ探し、三つクリックしていただくと元気が出ますので、よろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

生野銀山と神社