ここは、徳島県美馬市美馬町中鳥に鎮座する、伊射奈美神社（いざなみじんじゃ）です。「イザナギ」を社名にする式内社は7社ありますが、イザナミを社名にする式内社はこの阿波国美馬郡の1社のみ。イザナギの妻としてついでに祭られる・・・・と言っては失礼ですが、二柱合わせて祀られるお社と違って…… more 、イザナミ単体で祀られるのには、何か深い由来があるに違いありません。ところが下のように、いくつか磐座かと思う岩もあるものの、全体としてそう古い起源とは思えない、きれいで新しい境内なのです。実はここ、洪水対策事業の一環として平成４年１０月、社殿を移転・新築落成した場所でした。では、元々はどこにあったかというと、神社正面を流れる吉野川の中州、中鳥島に鎮座していました。藪が密生し、現在では神社跡地に到達困難な状況だとか。ところがさらに調べると、伊射奈美神社本宮遥拝所という場所が対岸にあることが判明。それはどこかと迷いながら探すと、なんとか発見したのがこの入口でした。足場の悪い坂道を下ると・・・・まずは、遥拝所らしいシンプルな鳥居。その向こうには、河原の岩の向こうに中鳥島が見えます。河原に降りて、島を撮ろうとすると、岩の上に何やら祠が遠望できました。何だろうと思って近寄ると・・・・そこには、目を見張るような、磐座信仰の場があったのです。しかも、この見事な祭壇。台風などの豪雨で増水すれば、すぐに流される場所です。にもかかわらず、これだけの祭祀物があるというのは、いままで見たことがありません。よほど厚い信仰が連綿と続いているのでしょう。傍若無人な私も、さすがに帽子を取り、深々と礼をして両手を合わせました。そして周囲の岩も、水辺の磐座にふさわしい「奇しき岩」でした。畏怖感のある、美しい岩々です。イザナミ信仰は、ここから生まれたとして不思議はない、特別の雰囲気を感じます。では次に、地図をご覧ください。紫色は、引っ越し先の伊射奈美神社ですから、位置関係からは外します。オレンジ色は、左（西側）から伊射奈美神社原社跡、磐座、伊射奈美神社本宮遥拝所と並び、ほぼ一直線に並んでいることがわかります。伊射奈美神社原社跡の位置は、グーグルではややずれているらしく、古い絵地図などを見るともう少し島の中央よりなので、間違いなく線上に並びます。猿田彦の記事でも書きましたが、いくつかの関連する地点が直線上に位置するのは、古い神社信仰における重要なパターンです。伊射奈美神社におけるこの位置関係は、イザナミ信仰の起源にも関わる、重要な意味をもっているものと思われます。ただし、式内伊射奈美神社の論社は、実はほかにもあります。そこには何か重要な事実が秘められていないのか、それは次回。つづく興味深く読んでいただけましたら、ポチよろしくお願いいたします(^_^)/~にほんブログ村神社・仏閣ランキング close

伊射奈美神社（美馬市）・イザナミ信仰の原郷か？