金蛇水神社の牡丹と熊野信仰の詳細

金蛇水神社の牡丹と熊野信仰
秩父・仙台まほろばの道
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記事タイトル 金蛇水神社の牡丹と熊野信仰
概要

久々に名取の話。 全然、話違いますけど今、温暖化といわれていますが、 もうそろそろプチ氷河期に入るのですか? そんな話も結構ありますね。専門家の指摘で氷河期がくるそうです。 なんだか、極端に暑い所と寒い所がでてくるようです。 今年の夏は、もっと猛暑になるらしいので覚悟してます・・…… more ・。 さて、もうシーズン終わってしまいましたが、 先月、金蛇水神社の牡丹祭りに行ってきました。 今年はちょっと元気がないみたい・・・。 でも牡丹は大きい花できれですね~。 藤もきれいでした。 あ、これは岩沼の公園で。 牡丹は昔から美しい女性をたとえています。 中国から由来する花ですが、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合」 といわれ、立っている姿の美しさは芍薬。芍薬は牡丹とよく似ているのですが、 芍薬は草で、牡丹は木です。牡丹は低い位置で咲くので座ってみるのが美しい。 百合はうつむいて咲くので、うつむいて歩く姿が美しいと描写されているそうです。 すべて薬草としても使われていたので、不老不死からもたらされた 中国らしい花だと思います。 牡丹について興味深い伝承があります。 牡丹と唐獅子がいつも描かれるのは、 「獅子は、百獣に君臨する王といわれる。 その無敵の獅子でさえ、ただ一つだけ恐れるものがある。 それは、獅子身中の虫。 我身の体毛の中に発生し、増殖し、やがて皮を破り肉に食らいつく害虫。 しかし、この害虫は、牡丹の花から滴り落ちる夜露にあたると死んでしまう。 そのため、獅子は夜に、牡丹の花の下で休む。 獅子にとっての安住の地が、そこに在る。」 唐獅子は中国の唐ですが、牡丹と一緒に描かれることが多いです。 虫というのは、三尸(さんし)の道教に由来する人間の体内にいると考えられていた虫と 話が似ています。 庚申待ちというもので、 60日に一度めぐってくる庚申(こうしん)の日に眠ると、この三尸が人間の体から抜け出し 天帝にその宿主の罪悪を告げ、その人間の寿命を縮めると言い伝えられ、 そこから、庚申の夜は眠らずに過ごすという風習が行われた。 一人では夜あかしをして過ごすことは難しいことから、 庚申待(こうしんまち)の行事がおこなわれる。 唐の時代の図がありますが、唐獅子といわれた獅子と虫の関係とは、 具体的にどうなのか、よくわかりません。 上尸は頭、中尸は胴体、下尸は脚と考えられ、 これはハイヌヴェレ信仰でも、身体を3つにわけて埋める話と同じです。 ※唐代の中国の書『太上除三尸九虫保生経』にある三尸の画。 向かって右から順に上尸、中尸、下尸。 獅子は、エジプトのスフィンクスが由来だとされます。 ピラミッドを守る門番として存在するスフィンクスが、獅子(ライオン)を 門番とするアッシリアの地域に伝播したもので、それが狛犬となっているそうです。 ------------------------------------------------------- ところで、話は金蛇水神社に戻りますが、この神社の聖水とは、 日本刀で有名な三条小鍛冶の名刀を創る時に使用した水と伝わります。 熊野堂郷土史年表では、 「989年9月京都の三条小鍛冶宗近、勅命により宝刀を造る際、 岩沼の金蛇水神社のご神体を造り奉納する。」 三条小鍛冶宗近は熊野堂神社御宝物の金注連を造った人物と伝えられる。 金注連とは、名取老女が巫女である証拠のひとつで、名取老女が身につけていたと伝わるもの。 僧侶のかける輪袈裟、修験者の用いる結袈裟を製鉄にしたのが、金注連と考えられる。 名取に熊野三社を建てたのは、鉄を造るのに最適な環境にありました。 高舘山(熊野那智神社)は、一定に吹く強い風が自然のフイゴになったそうです。 実際、製鉄跡も見つかっているようです。 確かに住んでいてわかりますが、那智の風はとても良い気をもたらしています。 夏場は常に風が吹いていますが結構強い風です。 熱い夏には最適な風で、自然の扇風機になっています。 また金蛇水神社から仙台方面へ街道を(39号線)すすむと、 藤原実方のお墓があります。 「995年 近衛中将藤原実方、陸奥守となり熊野堂を通過し、栗木を渡り、 西多賀を経て国府多賀城に至る。(西多賀郷土史)」 998年12月、実方中将は、笠島道祖神にて落馬し没す。 その子孫紀州熊野別当となる。」 別当とは、9世紀から13世紀末頃にかけて、現地において熊野三山 (熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の統括にあたった役職。 名取郡は、713年に置かれた。 715年に陸奥鎮所が太白区郡山におかれ、 720年に閖上の猟師により十一面観音菩薩を引上げ、後に高舘山に祭祀した。 それが那智山観音大権現の由来となっている。 742年には、「稲田社」として現在の熊野堂、熊野神社境内に稲の神を祀ったとある。 藤原実方の伝承には謎が多く、お墓のあるところから少し北上した所に、 猿田彦とアメノウズメを祀る道祖神がありますが、 そこで亡くなった(落馬)と伝わります。 古来の陸奥街道で熊野へ行く道でもありましたが、熊野別当になった実方の子は、 熊野別当九代殊勝の娘とある。 母は熊野別当祖泰救母とあり、系譜が、穂積氏にあたる。 紀州熊野水軍による布教があった地に鈴木姓があり(発祥地?)、鈴木姓と熊野は 深い関係があるようです。穂積氏はその「ススキ」から由来すると考えられる。 鈴木屋敷というのがあるそうですが、そこには源義経が牛若丸の時に、 何度も訪れていたそうだ。 ※藤白鈴木氏が代々神職を務めた藤白神社 (始祖は饒速日命 ) 鈴を使った神事や祈祷とする由来や、小竹のササやスズという言葉から祭事に使うもの、 いずれにしても鈴は祭事に使用するものを意味し、穂は、ススキから由来する。 そう考えると、東北地方の海側に五十鈴神社が多く祀られていること、 室根山に穂積氏が紀州熊野から瀬織津姫を移したという伝承など、 熊野信仰が深く関係していることなどを考えれば、 実方中将は、熊野信仰を陸奥へもたらすために必要な役目として派遣されたのではないか、 という妄想が広がります。 また、穂積氏は日本紀の「姓氏録」によると、 櫛玉神饒速日命(くしたまかむにぎはやひ)の後裔物部氏で熊野国造である。 本拠は、紀州国牟婁(むろ)郡新宮であるが、いま、この地に鈴木氏が中心となっている。 この地には、鈴木一族が移住し、丸子の両氏をおさえて熊野社家の中心勢力を かたちづくる大豪族に発展したと考えられる。(資料:姓氏 丹羽基二著) 丸子氏とは、出羽三山でも書きましたが、 丸子氏は、遊佐町丸子に住み、鳥海山信仰に大きな影響を与えた一族であるといわれる。 鳥海山の麓、大物忌神社のある地域に丸子氏が移住していた話もあり、 鶏を食べないタブー伝承もある。 同じ熊野別当から派生した一族とあれば、その一派が出羽三山の修験になったとか。 なので、月山登山途中に「行者返し」という道がありますが、 出羽派と吉野派の派閥となり、いろいろあったのでしょう。 熊野縁起紀によると、 「第5代孝昭天皇のとき、紀伊国(和歌山)の山奥、 千尾の峯に、神人が竜に乗って、み姿をあらわした。 人々があがめ奉るなかに、一人の男が進み出て、十二本の榎のもとに 神を勧請した。神は、榎本の姓を賜った。 神は感じて餅にゆかりの丸子(わにこ)後の宇井、鵜居の姓を与えた。 第三の弟は、稲の穂を奉納した。神は穂積の姓を授けた。 この3人の祖は、漢の国からはるばる日本にやってきた司符将軍の末孫だという。 長男を真俊、次男を基成、三男を基行という」 室根山のムロが、牟婁から由来しているのは想像できる。 出羽国にあった山形県千歳山のあこや姫伝承と藤原実方の関係性、親子だったという説、 あこや姫はそれから笹谷峠を通り、川崎町にも登場し、青根温泉を見つけたという伝説もあるが、 それ以降の北の方では、ぱったり途絶えている。 妄想するに、同じ熊野信仰から生まれた巫女伝承ですが、 あこや姫は熊野信者によりもたらされたが、出羽三山を開山した由来に関係しているのかもしれない。 名取老女も熊野信仰によりもたらされた開山の祖となっている。 どちらもルーツとなる祖は同じ二ギハヤヒであることを伝えているものだが、 ニギハヤヒの神宝とされる「高倉下」の神刀をルーツとする剣(刀)もあるだろう。 その場所に共通するのは、藤原実方伝承で、 岩沼~名取にかけては実方と名取老女の由来が続いているのである。 時代はあこや姫の方が古いが、それは先に日本海に鉄民の出羽三山信仰がうまれていたからだろう。 後に陸奥の太平洋側に同じ鉄民の熊野信仰がやってきたと考えれば、 あこや姫から名取老女に変わった巫女伝承がみえてくる。 とにかく東北は、「みちのおく」といわれるだけあって奥が深すぎるねぇ。 close

金蛇水神社の牡丹と熊野信仰
サイト名 秩父・仙台まほろばの道
タグ 名取熊野老女 神社
投稿日時 2017-06-04 16:40:01

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