真野にある零羊崎神社と香野姫(3)の詳細

真野にある零羊崎神社と香野姫(3)
秩父・仙台まほろばの道
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記事タイトル 真野にある零羊崎神社と香野姫(3)
概要

福島(川俣町)で養蚕を伝えた小手姫伝承について、おさらい。 「小手姫古事より」 「常陸より来られ 女神山中腹の堂平に住み蚕を伝える。47歳でなくなる。 1014年、桑苗及蚕種類を上州に遣わし、蚕を飼い教えたり」 「全国蚕神考」の一部に、機織りの祭神は小手姫、赫夜姫、白瀧姫といず…… more れも婦人である。 上州は群馬県。 先月、福島の花見山へいき、その近くに春日神社がありました。 境内に養蚕の祖神も祀られていましたが、ルーツが群馬県にあるかもしれません。 春日神社は、群馬県の太田市が有名なのですが、養蚕と関係が深い神様です。 養蚕の守り神とされ、群馬県の春日神社の太々神楽は、 渋川の赤城神社から前橋の産泰神社を経て伝わったものです。 コノハナサクヤヒメを祀るのは産泰神社。 その神楽の中に、「衣笠大明神」から、蚕の飼い方を教えてもらう場面があります。 また、この神楽には「ひょっとこ」が登場します。 ひょっとこは、火男のことで産鉄のタタラのことです。 ひょっとこがおかしい顔をしているのは、火を吹く姿から。 なので、太々神楽はタタラの神楽と考えられる。 「衣笠」が、宮廷歌人の「笠女郎」と関係していそうな気もしますが。 北関東に多い雷電神社も養蚕信仰でした。 小手姫神社にも風神・雷神があります。 こちらのサイトに、群馬県の養蚕信仰がのっています。 ※養蚕信仰 http://www.geocities.jp/sisekisanpo/yousansinkou/yousansinkou.html 月舘町伝承民話集より。 「その当時、皇后も后妃も自ら蚕を飼い、機織りをして衣としていたことがわかっている。 百済から来た技術者と考えられ、ごく一部の朝廷や豪族の家で習っていた。 小手姫は11か12歳でその技術を学んでいたといわれ、なぜ福島県に逃れてきたのかは、 崇峻天皇暗殺からとの話からである。 皇子は出羽三山へのがれ、その夜、3、4名の従者と飛鳥を脱出。 朝廷の及ばない陸奥国へ逃れたと考えられている。」 小手姫神社 -------------------------------------------------- ところで、「小手(おて)」の由来がよくわからなかったのですが、 藤原実方伝承の中に、小手姫伝説と関係すると思われる 「小手森の樵明神」の話があり、ここから小手の姫になったとか? 武蔵の小手指も小手なんだけど、この小手森は、二本松に小手森城跡があるので、 そのあたりのことを差していると思います。 しかし、漢字にすると「こて」ともよめる。 「こて」を機織りで繋げると、織り物をする時の「へら」のような形で、 それを「こて」とも言います。 コトバンクより、 「裁縫用具としては、柄杓(ひしゃく)形の鉄、銅製の中に炭火を入れて使う火熨斗(ひのし)と、 小部分に用いるためのこてがある。 絹織物の地直しや、絹、毛織物などの手ではつかないきせかけや、 縫い目を整えるのに用いる。」 室町時代から使われていたものです。 ※女神山山頂:小手姫のご神体が祀られている。 昔、羽黒講の女性が、ここで神降ろしをした話がある。 さて、実方と会った小手森の樵明神が、小手姫の女神山を指しているか定かではありませんが、 「香野姫明神」として二本松に祀られている話がある。 小手森とは、香野姫(カノ)、草野姫(カヤノ)=焼畑の伝承であった。 カノが、香野姫説、加夜説、アイヌ語説などからみえてきました。 「香野姫明神」 「あこや姫の松を探しに藤原実方は陸奥へ行く。 夫の実方をずっと待っていた香野姫は、後を追って旅をするが、 実方を見つけることができず病で倒れる。 すると白い猪がどこからともなく現れ、香野姫を助ける。 白い猪は、香野姫をのせ、山・谷を超えてある里までやってきた。 里人は驚き、姫を介護し、お礼に姫は機織りを伝えた。 しかし、夫の実方に会うことができず、帰らぬ人となった。 後に村人は、香野姫明神を祀った。」 香野姫明神は二本松に鎮座し、安達太良山がある。 この由来によれば、実方の奥方が、香野姫になっている…。 菊紋様の笛を吹くお笛田の話は、実方っぽいね~。 実方があこやの松を探しにきた時は、出羽ではなく陸奥になっていました。 あこやの松は、当時出羽国だったのですが、それを知らない実方は出羽のあこや姫の場所を 探していました。 その時、おじいさん(樵明神)に会い、あこや姫は、今は陸奥国になった事を教える。 それで実方はあこや姫の場所まで行くことができたという話。 ※あだち野のむかし物語より 「真野の萱~」の歌の、萱が香野姫(カヤノヒメ)と考える。 カヤノヒメは、草野姫。 神産みにおいて伊弉諾尊 (いざなぎ)・伊弉冉尊(いざなみ)の間に生まれた。 『古事記』においては、山の神である大山祇神との間に、4対8柱の神を生んだ。 神名の「カヤ」は萱のことである。 別名、野の精霊。 おそらく、大綿津見神を男神とし、大山津見神を女神にしていると思います。 ナグサトベも、「名草」とかくねぇ。 それで、カヤは、「火野」と書いて、焼畑のことを言ってました。 東北地方では「かや」と言うことが多いそうで、 関東ではサス山があるように、サスが焼畑で伝わっている。 やはり、北海道の小牧市にもカヤノヒメが祀られている。 ここも「牧」の地名。 となると、萱=カヤ=カノ姫となり、草野姫と漢字をあてて、クサやスサとよばれる ようになり、焼畑を意味するものになった。 それは、原始農耕が伝える自然なサイクルだった。 焼畑とは、「ある土地の現存植生を伐採・焼却などの方法を用いて整地し、 作物栽培を短期間で行った後、放棄し、自然の遷移によりその土地を回復させる休閑期間を へて再度利用する循環農耕の事」(Wikipediaより) それで「ウカノミタマ」も「カノ」が含まれている。 「宇香野御魂」とも読める。 宇の「ウ」は宇宙(天)で屋根の意味。 大きな屋根をもつ、香野の霊魂。 それに対して小さな屋根をもつ天孫は、アマノコヤネで春日権現。 ということで、「真野の萱」の枕詞には、 萱という香野姫にかける言葉となる。 真野の萱=香野姫を物語る歌であることを、宮廷の人たちは伝えていたと思うのです。 春日神のアマノコヤネが登場しましたが、養蚕を祀っているのは、 春日神も同じです。 中臣氏の春日神は福島県あたりまで繁栄していたのですが、 そこから北上すると鹿島神が増えてきます。 物部氏の鹿島神に変わっているようなのです。 また、その萱が「加夜」とかく阿太加夜神社(あだがやじんじゃ)に繋がることもある。 「あだがや」が、「あだたら」に、似ている。 場所は東出雲。 阿太加夜神社について。 御祭神は、 阿太加夜奴志多岐喜比賣命(あだかやぬしたききひめ) 配祀神: 國之底立命 須佐之男命 淑母陀流命(おもだる) 阿志古泥命(かしこね) 日本三大船神事の一つ 「ホーライエンヤ」で有名な神社だそうです。 ここにも須田川という須の川があり、 「春日」という名前の縄文遺跡がある。 ニニギの天孫は、養蚕と新しい鉄の技術をもたらし、 麻と古代の鉄民を受け入れたのが、猿田彦であったでしょう。 その時代は、「焼畑」の縄文時代の森の多様性から、「植林」という弥生時代の 生産性の時代であり、征伐をしてきた背景に植林があった。 ただ、多くの森林を失うことになるので、焼畑農業の衰退は大きな打撃だった ことは確かです。そのため、今、山の崩落が増えているのでしょう。 --------------------------------------------- もうひとつ考えられるのが、アイヌ語のカイナーですが、 以前、私もこの言葉に謎があって書いていたのですが、 アイヌ語に「クイ」や「カイ」とよばれた言葉があります。 「アイヌと深い交流のあった松浦武四郎は、蝦夷地を命名する際に 「アイヌの国」を意味する「カイ」を取り入れ 「北加伊道」という名を提案、これがのちに「北海道」となった。」(Wikipedia - 音威子府村)より しかし、言語学者の金田一京助は、当時のそのような事実を示す証拠は見つかっていない と、唱えている。 「カイ」が「この国に生まれた者」という意味は、見出せないと。 謎とされているけれど、 「アイヌが隣人たちによっておおむねクイなどに近い音で呼ばれていたことがわかる」 ということから、カイやクイという言葉を、アイヌ人が隣人や和人に対しても? 使っていた言葉と考えられるのです。 そうなると、千葉県の鹿野山がうかぶ。 ここから、なぜ、マロが悪路王の体を分けて埋めたハイヌヴェレ伝承が出てくるのかは、 千葉県の鹿野山に関連がありそうです。 鹿野山の歴史 「日本武尊が東征の際訪れ、先住民の豪族の阿久留王(あくるおう、「悪路王」ともいわれる) と戦い征伐したという伝説がある。 598年、聖徳太子により神野寺が開山され、その後修験道の山として、 また上総国と安房国を結ぶ街道の町として栄えた。 「山名の由来は、鹿が多くいたことから鹿野苑にちなんで名づけられたという説や、 砂鉄が採れたので「金生山」と呼ばれていたという説などがある。 当山を構成する3峰の名称は、それぞれの山頂に 白鳥神社・熊野神社・春日神社が祀られたことに由来する。」 という事で、香野山も香野姫のことででしょう。 砂金、金採掘、鹿、白鳥神社、熊野信仰、春日権現。 そのまま北上して福島の女神山、石巻の牧山へ続いていると思います。 福島・宮城県境にある鹿狼山は、手長・足長明神の貝塚に 関係している山ですが、カノ山が、カロウ山に転じたという話もあるように、 鹿(海)と狼(山)をもたらした先住民=鹿狼山となる。 ※鹿野山より望む九十九谷 で、もう終わりたいのさっ!笑 次で最後にします。 真野から春日山古墳に繋がって、アテルイに繋がってしまった。 「牧」繋がり。 やっぱり、そうなるねぇ。 てなことで、つづき。 close

真野にある零羊崎神社と香野姫(3)
サイト名 秩父・仙台まほろばの道
タグ 東北地方の伝説(福島県) 神社
投稿日時 2018-04-05 14:40:01

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