青岸渡寺 駐車場
西国三十三所のアクセス方法について説明します。車がいいのか公共交通機関がいいのか、よく分からないという方もいらっしゃると思います。ここでは、西国三十三所の各札所までの交通手段について、説明していきます。
札所までの交通機関
歩……
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き遍路
車遍路
公共交通機関
日帰りバスツアー
結果のまとめ
最後に
札所までの交通機関
四国八十八ヶ所を巡っていると、いわゆる「歩き遍路」か「車遍路」かというお話になります。歩き遍路とは、歩いて八十八ヶ所のすべての札所を巡ることで、約40日かかると言われています。一方の車遍路とは、自家用車等の自動車を用いて札所を回ることで、10日から2週間ほどで回りきれます。
同様に、西国三十三所でも「歩き遍路」か「車遍路」、さらに「公共交通機関遍路」、さらにさらにそれらの組み合わせ遍路などを選ぶことができます。西国三十三所の札所を回る場合、やはり歩き遍路では約30~40日、車遍路では10日前後かかります。公共交通機関を利用した場合は、バス等の時間によってかなりの待ち時間が発生することから、車遍路よりもう少し時間がかかるでしょう。
実際問題どれがお得なのか、どれが便利なのか、考えてみたいと思います。
歩き遍路
昔の巡礼者の苦難を実際に味わうことができる唯一の方法がこの歩き遍路です。歩き遍路の場合は交通費が一切かかりませんが、逆に宿泊費がかさみます。
NPO法人西国古道ウォーキングサポートさんが、Web上に歩き遍路のための地図を公開してくださっています。
これを元に、1日35km前後歩くとして、かなりの大雑把な試算をしたところ、西国三十三所を全部歩こうと思ったら33泊かかることが分かりました。さすが三十三所だけあって33泊、これは決して偶然ではありません!(偶然です)
しかしこれは一番札所青岸渡寺から三十三番札所華厳寺までの行程です。お住まいの地域から青岸渡寺まで、また華厳寺からご自宅までの日数も別途必要となります。
以下に、大雑把な試算の結果を挙げておきます。なお、西国古道ウィーキングサポートさんが制作しておられる地図にホテルや民宿等が掲載されている地域だけでなく、掲載されていない地域も泊地としている場合があります。ただし、その場合でも必ず電車の駅や役場等が近くにある場所を選んでいます。また、ホテルや民宿等が掲載されていても、すでに廃業している場合もありますので、計画を立てられる際には、くれぐれもご留意ください。
1日目 一番札所 青岸渡寺出発
湯の峯温泉泊
2日目 近露王子付近泊
3日目 JR紀伊田辺駅周辺泊
4日目 JR紀伊御坊駅周辺泊
5日目 JR紀伊宮原駅周辺泊
6日目 二番札所 紀三井寺
JR和歌山駅周辺泊
7日目 三番札所 粉河寺
粉河寺付近泊
8日目 四番札所 施福寺(地図では槇尾寺)
関西サイクルスポーツセンター付近泊
9日目 五番札所 葛井寺
太子町役場付近泊
10日目 六番札所 南法華寺(地図では壷阪寺)
近鉄飛鳥駅周辺泊
11日目 七番札所 岡寺
八番札所 長谷寺
天理駅周辺泊
12日目 九番札所 南円堂
JR城陽駅周辺泊
13日目 十番札所 三室戸寺
十一番札所 上醍醐・准胝堂(地図では上醍醐寺)
十二番札所 正法寺(地図では岩間寺)
石山寺付近泊
14日目 十三番札所 石山寺
十四番札所 園城寺(地図では三井寺)
十五番札所 今熊野観音寺
清水寺付近泊
15日目 十六番札所 清水寺
十七番札所 六波羅蜜寺
十九番札所 革堂 行願寺(地図では革堂)
十八番札所 六角堂 頂法寺(地図では六角堂)
※十八番と十九番は逆順となっています。
向日市役所付近泊
16日目 二十番札所 善峯寺
亀岡市役所付近泊
17日目 二十一番札所 穴太寺
JR総持寺周辺泊
18日目 二十二番札所 総持寺
二十三番札所 勝尾寺
二十四番札所 中山寺
JR宝塚駅周辺泊
19日目 JR三田駅周辺泊
20日目 二十五番 播州清水寺駅
JR社町駅周辺泊
21日目 二十六番札所 一乗寺
姫路城付近泊
22日目 二十七番札所 圓教寺
神河町役場付近泊
23日目 JR竹田駅周辺泊
24日目 JR上夜久野駅周辺泊
25日目 与謝野町観光協会付近泊
26日目 二十八番札所 成相寺
宮津市役所付近泊
27日目 松尾寺付近泊
28日目 二十九番札所 松尾寺
小浜市役所付近泊
29日目 今津港付近泊
30日目 三十番札所 宝厳寺
三十一番札所 長命寺
長命寺付近泊
31日目 三十二番札所 観音正寺
JR南彦根駅周辺泊
32日目 JR関ケ原駅周辺泊
33日目 池田町役場付近泊
34日目 三十三番札所 華厳寺
泊地の関係で1日に40km近く歩いている日もあると思います。少し厳しい設定かもしれません。
仮に1泊あたり6,000円宿泊費用がかかるとしたら、宿泊費だけで20万円近くかかる計算になります。また、食費を1日2,000円とすると、約7万円かかりますので、トータルすると30万円近くかかる計算になります。
金銭面ばかりでなく、時間が34日以上かかっていますので、実はかなり贅沢な巡礼だと言うことができるでしょう。
車遍路
昨今で一番多いのは車遍路かもしれません。これはちまちまと細かいお金はかかりますが、宿泊費は一番抑えられます。何なら、自宅からすべて回ることもできます。
しかし、高速道路料金は意外と馬鹿になりません。
出発点を札所が梅田よりだいたい東にある場合は梅田IC、西にある場合は福島ICとし、平日の料金(現金払い)で計算してみました。ただし、料金は2021年4月1日現在のものです。なお、金額・ルートともに最適化はされていませんので、実際に行かれる場合は、きちんと事前に下調べをしていただくことをお勧めします。あくまで、概算のための目安のルートです。同一日に行くことが望ましい場合、赤字で表記しておきます。その場合は、その日の最初の札所までの行きの料金と、最後の札所からの帰りの料金を計上します。
一番札所 青岸渡寺まで 梅田IC~南紀田辺IC 4,410円
二番札所 紀三井寺まで 梅田IC~和歌山南スマートIC 2,360円
三番札所 粉河寺まで 梅田IC~紀の川東IC 2,070円
四番札所 施福寺まで 梅田IC~岸和田和泉IC 2,080円
五番札所 葛井寺まで 梅田IC~藤井寺IC 1,740円
六番札所 南法華寺まで 梅田IC~御所南IC 2,340円
七番札所 岡寺まで 梅田IC~葛城IC 2,340円
八番札所 長谷寺まで 梅田IC~葛城IC 2,340円
九番札所 南円堂まで 梅田IC~宝来IC 2,030円
十番札所 三室戸寺まで 梅田IC~宇治西IC 3,440円
十一番札所 上醍醐・准胝堂まで 梅田IC~山科IC 3,850円
十二番札所 正法寺まで 梅田IC~石山IC 3,970円
十三番札所 石山寺まで 梅田IC~石山IC 3,970円
十四番札所 園城寺まで 梅田IC~京都東IC 3,450円
十五番札所 今熊野観音寺まで 梅田IC~鴨川西IC 3,850円
十六番札所 清水寺まで 梅田IC~鴨川西IC 3,850円
十七番札所 六波羅蜜寺まで 梅田IC~鴨川西IC 3,850円
十八番札所 六角堂 頂法寺まで 梅田IC~鴨川西IC 3,850円
十九番札所 革堂 行願寺まで 梅田IC~鴨川西IC 3,850円
二十番札所 善峯寺まで 梅田IC~長岡京IC 2,970円
二十一番札所 穴太寺まで 梅田IC~長岡京IC 2,970円
二十二番札所 総持寺まで 梅田IC~茨木IC 2,350円
二十三番札所 勝尾寺まで 梅田ICから高速使用なし 0円
二十四番札所 中山寺まで 福島IC~池田IC 890円
二十五番 播州清水寺駅まで 福島IC~三田西IC 2,120円
二十六番札所 一乗寺まで 福島IC~明石西IC 3,240円
二十七番札所 圓教寺まで 福島IC~夢前スマートIC 3,240円
二十八番札所 成相寺まで 福島IC~与謝天橋立IC 4,050円
二十九番札所 松尾寺まで 福島IC~舞鶴東IC 4,230円
三十番札所 宝厳寺まで 梅田IC~長浜IC 6,250円
三十一番札所 長命寺まで 梅田IC~竜王IC 4,860円
三十二番札所 観音正寺まで 梅田IC~八日市IC 5,200円
三十三番札所 華厳寺まで 梅田IC~大野神戸IC 7,220円
合計すると、全部で10万円を少し超えるくらいになります。1日あたり200km平均の移動と考えると、燃費が1Lあたり20km、ガソリン代が1Lあたり140円の場合、1日あたりガソリンを10L使用することになります。するとガソリン代が1日に1,400円かかります。15日かけて結願するとすると、ガソリン台は約21,000円となりますね。また駐車場代が平均500円とすると、16,500円かかります。食費は昼のみと考えて、1日1,000円とすると15,000円が加わりますが、トータルしても16万円弱で、歩き遍路の半額くらいで済む、ということが分かります。
公共交通機関
公共交通機関を使った場合、いくらくらいかかるでしょうか。詳しいアクセス方法は各お寺のレポートに付しますので、ここでは金額だけ概算で書いておきます。いずれも出発地点はJR大阪駅とします。なお、バス等は休日しか運行していない場合がありますので、ご注意ください。
一番札所 青岸渡寺まで 大阪駅~那智山バス停 7,850円
二番札所 紀三井寺まで 大阪駅~紀三井寺駅 1,340円
三番札所 粉河寺まで 大阪駅~粉河駅 1,690円
四番札所 施福寺まで 大阪駅~槇尾山バス停 1,430円
五番札所 葛井寺まで 大阪駅~藤井寺駅 500円
六番札所 南法華寺まで 大阪駅~壷阪寺口バス停 1,250円
七番札所 岡寺まで 大阪駅~岡寺駅 920円
八番札所 長谷寺まで 大阪駅~長谷寺駅 880円
九番札所 南円堂まで 大阪駅~近鉄奈良駅 680円
十番札所 三室戸寺まで 大阪駅~三室戸駅 570円
十一番札所 上醍醐・准胝堂まで 大阪駅~醍醐寺前バス停 1,080円
十二番札所 正法寺まで 大阪駅~中千町バス停 1,240円
十三番札所 石山寺まで 大阪駅~石山寺駅 1,160円
十四番札所 園城寺まで 大阪駅~三井寺駅 1,100円
十五番札所 今熊野観音寺まで 大阪駅~泉涌寺道バス停 800円
十六番札所 清水寺まで 大阪駅~清水道バス停 800円
十七番札所 六波羅蜜寺まで 大阪駅~五条坂バス停 800円
十八番札所 六角堂 頂法寺まで 大阪駅~烏丸御池駅 790円
十九番札所 革堂 行願寺まで 大阪駅~河原町丸太町バス停 800円
二十番札所 善峯寺まで 大阪駅~善峯寺バス停 940円
二十一番札所 穴太寺まで 大阪駅~穴太寺前バス停 1,320円
二十二番札所 総持寺まで 大阪駅~JR総持寺駅 260円
二十三番札所 勝尾寺まで 大阪駅~勝尾寺バス停 980円
二十四番札所 中山寺まで 大阪駅~中山寺駅 330円
二十五番 播州清水寺駅まで 大阪駅~清水バス停 1,470円
二十六番札所 一乗寺まで 大阪駅~法華山一乗寺バス停 2,180円
二十七番札所 圓教寺まで 大阪駅C~玉田バス停 1,800円
二十八番札所 成相寺まで 大阪駅~中野本坂 3,080円
二十九番札所 松尾寺まで 大阪駅~松尾寺口バス停 2,990円
三十番札所 宝厳寺まで 大阪駅~長浜駅 1,980円
三十一番札所 長命寺まで 大阪駅~長命寺バス停 2,020円
三十二番札所 観音正寺まで 大阪駅~安土駅 1,520円
三十三番札所 華厳寺まで 大阪駅~谷汲山バス停 3,570円
これも往復で10万円を少し超えたくらいになります。ただし、公共交通機関の計算に関しては、札所をすべて1日1ヶ所回るという計算にしています。公共交通機関の待ち合わせがスムーズにいかないことも多いと考え、このようにしました。京都市内の札所は1日で回り切れると思いますので、実際にはもう少し交通費は安くなると思います。これにあとは昼食費を入れるだけ、と考えると33,000円が加わりますが、トータルでも13万円くらいで済む計算になります。ですから、これが一番安上がりな巡礼方法と言えるでしょう。
ただ、2人以上で巡礼をする場合は、公共交通機関の運賃は単純に2倍になるのに対し、車のガソリン代や高速料金は頭割りができますので、一人当たりの計算では車遍路の方が安くなっていくと思います。
日帰りバスツアー
多くの旅行会社が、西国三十三所のバスツアーを行っています。宿泊を伴うものもありますが、大阪発だとすべての札所で日帰りが可能です。ここでは、関西人に馴染みの深い trapics ブランドの阪急交通社を例に、梅田発の日帰りバスツアーの料金を挙げていきます。
一番札所 青岸渡寺 10,800円
二番札所 紀三井寺
三番札所 粉河寺
四番札所 施福寺 以上3ヶ所セット 12,000円
五番札所 葛井寺
六番札所 南法華寺
七番札所 岡寺
八番札所 長谷寺 以上4ヶ所セット 14,000円
九番札所 南円堂
十番札所 三室戸寺
十一番札所 上醍醐・准胝堂 以上3ヶ所セット 14,000円
十二番札所 正法寺
十三番札所 石山寺
十四番札所 園城寺
十五番札所 今熊野観音寺 以上4ヶ所セット 15,500円
十六番札所 清水寺
十七番札所 六波羅蜜寺
十八番札所 六角堂 頂法寺
十九番札所 革堂 行願寺 以上4ヶ所セット 15,000円
二十番札所 善峯寺
二十一番札所 穴太寺
二十二番札所 総持寺
二十三番札所 勝尾寺 以上4ヶ所セット 14,500円
二十四番札所 中山寺
二十五番 播州清水寺駅 以上2ヶ所セット 15,800円
二十六番札所 一乗寺
二十七番札所 圓教寺 以上2ヶ所セット 14,500円
二十八番札所 成相寺
二十九番札所 松尾寺 以上2ヶ所セット 14,000円
三十番札所 宝厳寺
三十一番札所 長命寺 以上2ヶ所セット 17,000円
三十二番札所 観音正寺
三十三番札所 華厳寺 以上2ヶ所セット 16,800円
ツアーのほとんどが昼食付で、さらに番外札所3ヶ所も回ってくれます。また、先達せんだつさんという巡礼の大先輩が一緒に回ってくださり、手解きまでしてくださるという至れり尽くせりのサービスとなります。合計しても17万円ほどです。安いと考えるか高いと考えるかは、あなたの価値観次第ですね。
結果のまとめ
計算結果をまとめます。
歩き遍路 約30万円
車遍路 約16万円
公共交通機関 約13万円
日帰りバスツアー 約17万円
単純に費用面で考えると公共交通機関を使用するのが一番安上がりと言えますが、2人以上で巡礼する場合は、車遍路の方が一人当たりの費用は安くなりそうです。
右も左も分からないという方は、日帰りバスツアーを利用されるのも手ですね。
また、人生で一度は歩いてみたい気もします。
最後に
いかがでしたでしょうか。西国三十三所巡礼の交通手段について考察してみました。
あれこれと述べましたが、しかし結局これは皆さんのライフスタイルに一番適したものを利用されるのがベストだと言えます。このページを参考にしていただき、ぜひ巡礼を楽しんでみてください。
というわけで皆さん! Let's start the Pilgrimage West!
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西国三十三所 交通手段は何がベスト? 車と公共交通機関のどちらがいい? - 西国お遍路“行雲流水”