金木駅から徒歩約10分、南台寺の前に太宰治の小説「思い出」の一説を書いた 案内板があります。 ------------------------------------------------- 六つ七つになると思い出もはっきりしている。私がたけという女中から本を読むことを教え…… more られ二人で様々の本を読み合った。 たけは私の教育に夢中であった。私は病身だったので、寝ながらたくさん本を読んだ。 読む本がなくなればたけは村の日曜学校などから子供の本をどしどし借りて来て私に読ませた。私は黙読することを覚えていたので、いくら本を読んでも疲れないのだ。 ------------------------------------------------------------------------------ 太宰治の本名は津島 修治（つしま しゅうじ）。生家津島家は県内屈指の財産家です。南台寺は津島家の菩提寺で、日曜学校が開かれていました。祖母イツの教育方針で、タケさんに連れられて昔噺などに興じたり、本を借りて読んだりしたということです。 日曜学校の発起・尽力を尽くしたのが住職生玉慈照、助役高橋良三郎、校長羽賀猛雄で、高橋弥左ヱ門、高橋昌五郎、中村喜徳、木村園男も助力あったそうです。 南台寺は、真宗大谷派東本願寺末寺で、本尊は阿弥陀如来。縁起によりますと、開創の休西坊は摂津国東成郡生玉庄中村（生玉庄内大坂は蓮如が石山本願寺を建てた場所、つまり現在の大阪城周辺）の住人で、俗名を生玉角兵衛といい、教如上人（石山合戦で織田信長と争った）の法弟です。文禄2年（1593）金木村に草庵を創建しました。宝永元年（1704）玄貞の代に寺院を拡張し、翌年、本山より寺号を許されています。 南台寺参道の松が素晴らしいです。 大正14年、津島文治（太宰治の兄）が鐘楼を寄進しました。 本堂です。 本堂に「金龍山」の扁額 ステキな庫裏ですね。 庫裏の懸魚には亀と波の彫刻が見られます。 太宰の墓は東京の三鷹禅林寺にありますが、こちらは太宰の生家津島家の墓ですね。中央に「封馬性」「祖先累代之墓」右は従三位勲一等　津島文治（太宰の兄）の墓で、左は貴族院議員君四等津島源右衛門（太宰の父）の墓です。 ウィキペディアによれば、津島家は津軽地方有数の大地主でした。金木銀行を設立し急成長を遂げ、青森県を代表する地方財閥へとのし上がりました。太宰の父・津島源右衛門の代には多額納税による貴族院議員の資格も与えられるようになったそうです。 第二次世界大戦後は、GHQによる農地改革によって没落を余儀なくされましたが、政治家一家として今でも続き、現在までに4人の国会議員を輩出しています。 太宰治の生家は、当時の四万円（現在の約8億円）の巨費を投じて造られており、家の造りは豪華絢爛を極めました。 津島家墓所の左に大変立派な「高橋昌五郎忠寛之墓」があります。南台寺日曜学校開校に尽力された方で、大変なお金持ちだったそうです。金木八幡宮の社号標にも名前が刻まれていました。 本堂前の常夜燈にも「高橋昌五郎」の名が刻まれています。 http://kingendaikeizu.net/dazaiosamu.htm　 津島家は現在も政治家の血が受け継がれています。 所在地：青森県五所川原市金木町朝日山183 メモ：2016年9月12日撮影　1週間1人旅5日目 close

南台寺と津島家（五所川原市）